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うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

DEAD SPACE   85点(゜◎゜)

2011年08月16日 | ゲーム日記
DEAD SPACE PS3 北米版
クリエーター情報なし
EA



救難信号を出したまま詳細の知れぬ宇宙船・石村に、普通の救援気分で訪れた一行。しかし石村では想像もつかぬ大災害が発生しており、エンジニアのアイザックは工具を手に、得体の知れぬ化け物との戦いに巻き込まれていくのであった……



PS3、XBOX360のホラーTPS。日本未発売(一部表現がひどすぎるから)。
ストーリー的には「宇宙船に行ったらエイリアンだらけで参っちゃったよ」という映画『エイリアン』まんまだし、アドベンチャー的には一つ一つの場所を敵を掃討しながら調べていくという『バイオハザード』の初期作そのもの。戦闘的には主人公の背中を映したビハインドカメラで敵を倒すたびに弾薬を拾いながら武器を強化していく、という『バイオハザード4』そのままで、そういうことを考えるとまったく全然目新しいところのないありきたりのTPSだ。
でもこえぇぇぇぇ~!
そしておもしれえぇぇぇ~!

とにかくね、敵がどこからどうやってでてくるかまったく予想ができない。
作業用宇宙船という舞台の都合上、パイプのはりめぐらされた通路とか、そういう隙間だらけの場所をたくさん通るんだけど、もう通路の下とか上とか壁の隙間とか、化け物しか通れない隙間から気がついたら出てくる出てくる。すごい警戒しながら後ろを定期的に振り向きながら歩いているのに、気がついたら真後ろとかにいて「ええ!?どっから!?」とかそういうことがありまくり。で、やり直して注目してるとすごい小さな排気口から這い出してきてたりして「そこかよ!?」みたいになって、もうほんとあらゆる場所から敵が出てくる感じがして油断がならない。
方向感覚・距離感覚抜群の音響がまたそれをもりあげる。どこから出てくるかわからないゆえにわずかな物音にも敏感に反応せざるを得ないし、音響がまたそれにこたえてくれるから臨場感抜群。そしてそれだけ耳をみましているのに気がついたら真後ろで奇声を発している化け物とかもう最高。
さらにその敵、ネクロモーフのデザインも秀逸。人間ぽいのに明らかに人間じゃなくて、頭ふきとばしても死なないし、かといって不死身なわけでなくてあっさり死んだりもするし、なんかもういろいろ不安定でイライラする。死んだふりもするし死んだ後もぴくぴくしているのもあるしで、なにをもって死んだと判断していいのかわからなくて、弾薬節約しなきゃなのについつい追い撃ちとかしちゃう。そして「あ、もう死んでた」とか後悔する。このわけわかんないものと戦わされている感じがたまらん。

弾薬節約しなきゃというのも、弾数が少ないというのもあるけど、もし余ったらストアに売って金に替えられるというのもある。それでその金で好きな武器の弾薬に換えてもいいし、回復アイテムにしてもいいし、ちょっと高いけど武器パワーアップさせるアイテムを買ってもいい。こういう選択肢のおかげで、武器の強い弱い以外に「この武器は強いけど弾が高いから温存しなくちゃ」とか「この武器は弱いけど弾が安いからばら撒き用に」とか、コスト管理の面からも武器の使用方が変わってくる。

そんでその武器も、主人公のアイザックが戦闘員じゃなくてエンジニアという都合上、ありあわせの工具で戦っているのがまたいい。無骨で力強い感じが武器として個性的だし、まきこまれちゃった一般人であるアイザックさんのがんばりとかが伝わってきてとてもいい。
このアイザックさんの姿は、『スターウォーズ』のクローン・トルーパーのような、ロボットじみた無表情な宇宙服に過ぎないんだけど、この無表情なスーツだからこそ想像力を喚起させもすれば、グロいシーンに独特の味わいが生まれてユーモラスさえ感じ、非常に愛着がわく姿になっている。

洋ゲーに対する自分の(偏見かもしれない)個人的な不満として、ゲーム的に優れていても外見・演出・強さ的にもりあがるボスキャラをあまり配置しない、というのがあるのだが、今作は中盤と終盤では大型のボスがいるし、それ以外でもしつこい不死身の敵などイベント戦の盛り上げ方が日本のゲーム的で、非常に満足のいくものだった。このあたり、日本のゲームを研究して作っているな、と感じた。洋ゲーと和ゲーの融合だ。

ほかに特筆すべき点としてはインターフェイスの秀逸さ。
主人公の体力は宇宙服の背中に光るインジケーターに、ほかのゲージも背中に、アイテム欄などは主人公が見ている投影型ディスプレイに、という形で、世界観の中に極力ゲーム的な事情をもちこまないすっきりとした画面デザインは秀逸の一言。ここまで徹底したゲームはほかに見たことがなく、それでいて操作性も悪くない。これは全世界基準の一つとなるべきとすら思った。

日本版未発売ゆえに(ちなみに未発売の理由は「人間の死体を意図的に損壊するから」だそうな。今作はあちこちに落ちてる同僚の死体を、エイリアンにのっとられて襲ってくる前にバラバラにして安全を確保する、というのがゲームシステムに組み込まれているため、どうやっても規制回避不可能)字幕も吹き替えも日本語が用意されておらず、アジア版か北米版で遊ぶしかないため、ストーリーはまるで理解できない。
しかしストーリーは『エイリアン』と、あとちょっとロメロ監督のゾンビ三部作のテイストも含まれているが(混乱した人間達による内輪もめのあたり)、基本的には単純明快なパニックホラーなので、ストーリー理解自体はどうとでもなる。検索したらすぐ見つかる攻略サイトなどがやたら充実していて、全セリフ翻訳が載っていたりするので、自分はクリア後にそちらで理解した。
とはいえ、それは面倒臭かったので、なんとか日本語版が出てくれていたらなあ、とは思った。謎解きのときねいくつかなにを謎解きさせられているかすらわからずに攻略サイトに頼っちゃったところもあるし。

まさかいまさらバイオ式のシステムで、アメリカ的なびっくり方式で「こえぇ~」と思うホラーゲームが出るとはまったく思わなかった。もちろんグラフィックもクオリティが高く、「宇宙」というホラーゲームとしては新しい切り口が効を奏したのもある。
しかしなにをいうにも本作を盛り上げるのは優れたゲームバランスが生み出す緊張感。ただ弾切れを心配させるだけでなく、コスト管理まで考えさせられる感覚には恐れ入った。
ただ緊張させるだけでなく、緊張と弛緩のバランスも洋ゲーというよりは和ゲー的でいい。章がおわりホームに戻ってくるごとに無事生還したことに対する安堵感と、次の章がはじまったときの「また踏み出さなければいけない」という繰り返しは退屈させない緊張感の波を生んでいる。
まさに洋ゲーの中に和ゲーの良いところを取り込んだ傑作ホラーであり傑作TPS。
PS3&XBOX360世代の中で「ホラー好きはやらなきゃ損」と断言できる一作。
「洋ゲーはちょっと……」とか「どうせアメ公のびっくりホラーでしょ?」とか偏見で警戒している人(僕のことですけどね)にこそやって欲しい。






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