渋谷署強行犯係義闘〜今野敏

タイトルから警察が主役かと思ったら違った。整体の先生が中心にいた。

深夜に武装した暴走族が叩きのめされた。なぞの大きな男に。刑事が整体師のもとに訪れる。

まさに、義闘。自分の正義にしたがって闘う。だけど、端から見れば、正義のもとに何をしてもいいわけではないと、整体師の正義によって諭される。

ぶたぶたさん〜矢崎存美

11の短編が入っている。ぶたぶたさんに関わった人が、みんな穏やかになっていく。ぶたぶたさんの人柄が出ているお話がたくさん。
ぶたぶたさんに対してだけではなく、言いたいことを上手に言葉に出せない葛藤、的確に表現できない拙さなど、共感できる場面もあった。

ぶたぶた日記〜矢崎存美

おそらくこれがシリーズ最初のお話。ぶたぶたさんの家族について触れられていた。奥さんと二人の女の子がいる家族。一緒にお風呂に入るのが楽しみ。など。
でも、それ以外は他のシリーズと変わらず。優しい中年のおじさんキャラクターで見た目とのギャップが面白かった。

吉祥寺の朝日奈くん〜中田永一

短編５本が収録。表題の話は最後に出てくるが、映画化もされているらしい。

印象に残ったのは、最初の話と最後の話。

最初の話は、交換日記。最後まで、交換日記に記された言葉だけ。なかなかないタイプの話で面白かった。二人だけの秘密の交換日記なのに、いろんな人が書き込んでいくところも、意外性があって良かった。

最後の話は、予想外の展開。結末まで読んでから、もう一度読むと印象がずいぶん変わって面白かった。

直球ではないけど、ニュアンスやにじみ出る雰囲気がじわっと伝わる話ばかりだった。