弁護士法人かごしま 上山法律事務所 TOPICS

業務の中から・・報道を見て・・話題を取り上げます。

著しく不適切な事案

2016-07-20 | 民事
手術後後遺症で逆転敗訴=一部賠償命令の二審破棄―最高裁


「患者が適切な医療を受けられなかった場合に医師が責任を負うかどうかは、その行為が著しく不適切な事案に限って検討する」

原告は「その行為が著しく不適切な事案」  に該当することを主張立証せよ  ということか。

その基準は?

時事通信の記事からです。

※引用

手術後後遺症で逆転敗訴=一部賠償命令の二審破棄―最高裁

 東京都台東区の病院で脳の外科手術後に後遺症が残った新潟市の男性(48)が、病院側に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は19日、一部賠償を認めた二審判決を破棄し、請求を棄却した。男性側逆転敗訴が確定した。

 判決によると、男性は2009年に手術を受けた直後に脳内出血し、手足の筋力が低下するなどして日常生活で介護が必要な状態となった。男性側は、医師らは出血の兆候が出た時点でコンピューター断層撮影(CT)検査をすべきだったのに怠ったとして提訴した。

 一審新潟地裁は請求を棄却。しかし、二審東京高裁は医師が注意を怠ったと認定した上で、男性は適切な治療を受けられず精神的苦痛を受けたとして、5000万円の請求に対して1100万円の賠償を命じた。

 これに対し第3小法廷は「患者が適切な医療を受けられなかった場合に医師が責任を負うかどうかは、その行為が著しく不適切な事案に限って検討する」と指摘。男性の場合は医師が経過観察を続けるなどしており、不適切なケースに当たらないと判断した。 

女児の傾向

2016-07-20 | 民事
小2に飛び降り強要、小4両親に1千万円賠償命令


女児の傾向を気づいていない  ということがあり得るのだろうか。

先日の高齢者障害者委員会と社会福祉士会の協議会で監督義務者の責任を議論しただけにとても考えさせられる記事です。

両親の免責の要件はどのように考えるべきなのか?


朝日新聞の記事からです。

※引用

小2に飛び降り強要、小4両親に1千万円賠償命令

 東京都内の小学校に通っていた当時2年生の女子児童が2013年、同じ小学校の4年生の女子児童に命じられてマンション屋上から飛び降り、重傷を負ったとして、2年生の女児と両親が4年生の女児の両親に3千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、東京地裁であった。小野瀬厚裁判長は4年生の女児の両親に監督義務があったと認め、約1025万円の支払いを命じた。

 判決によると、13年1月、当時10歳だった4年生の女児は、8歳だった2年生の女児が学校の前で縄跳びを振り回しているのを注意。さらに説教しようと9階建ての自宅マンションの屋上(高さ約26メートル)に連れて行き、「飛び降りろ。ここから落ちて死んでしまえ」と言って飛び降りさせた。2年生の女児は木の枝に当たるなどして一命は取り留めたが、肋骨(ろっこつ)や足の骨などを折る約11週間の重傷を負った。

 4年生の女児は重度の難聴で両親は専門のクリニックに通って育て方の指導を受けていた。また、事件後に社会性の乏しさなどがみられる広汎(こうはん)性発達障害と診断された。

 判決は、年齢や障害などを考慮して、4年生の女児に責任能力はなかったと判断。その上で、両親の監督義務について「専門家に相談するなど子育てに相当の努力を払った」と認める一方、「他者が思い通りに動かないと怒りを持つ女児の傾向に気づいておらず、対応は不十分だった」として賠償責任を負うと判断した。

面割り   間違い ??? ない ???

2016-07-20 | 誤認逮捕
面割りと言われる手法ですが

 「間違いない」という発言を信じて???しまうところがすごいですね。

  何らかの事情って 何なのですか?

  ドライブレコーダーの存在は弁護側が指摘するまで明らかにされなかった。


朝日新聞の記事からです。

※引用

写真選ばせ「犯人」特定 東京地検、起訴誤り公表へ

 東京都八王子市の傷害事件で東京地検立川支部が中国籍の男性被告2人を誤認起訴した疑いがある問題で、捜査側が2人を「犯人」と特定した主な証拠が、目撃者に複数の写真から犯人を選ばせる「写真面割り」だったことが関係者への取材でわかった。過去の冤罪(えんざい)事件でも問題になった手法で、検察内部からも批判が出ている。

 地検は近く、「起訴は誤りだった」との見解を公表する方針。裁判で無罪を求めるか、公訴を取り消すとみられる。

 事件は2014年1月に起きた。男性2人が外国語を話す複数の男に相次いで殴られけがをした。関係者によると、事件から1カ月半後、警視庁八王子署の捜査員が被告を含む24枚の写真を、現場にいた被害者の知人に示したところ、「間違いない」と被告1人の写真を選んだ。

別記事の引用

※引用

八王子署、映像確認せず逮捕 誤認起訴疑いの傷害事件

 東京都八王子市の傷害事件で東京地検立川支部が男性2人を誤認起訴した疑いがある問題で、警視庁八王子署が、犯人が逃走に使ったとみられるタクシーのドライブレコーダーの存在を知りながら、その映像を確認せずに2人を逮捕していたことが13日、捜査関係者への取材でわかった。署は「逮捕にいたる経緯を検証している」としている。

 事件は2014年1月に発生。40代の男性2人が複数の男に殴られ、全治2週間と1カ月のけがをした。署は今年3月、いずれも中国籍の会社経営者2人を傷害容疑で逮捕。2人は容疑を否認したが、同支部が起訴した。公判では、タクシーで逃走する犯人の目撃情報が証拠の一つとされたが、弁護側がドライブレコーダーを確認したところ、別人が映っていたという。検察側はこれを受け、12日に「有罪を求めない」と弁護側に伝えた。

 捜査関係者によると、八王子署もタクシーのドライブレコーダーが車内を記録していることを認識しており、捜査員が確認のためタクシー会社を訪問した。だが、何らかの事情で映像が見られなかったという。検察側は目撃証言を主な証拠として起訴したが、ドライブレコーダーの存在は、弁護側が指摘するまで明かされなかった。

 八王子署は13日、朝日新聞の取材に対し、「係争中なのでコメントする立場にないが、逮捕にいたる過程で不備な点がなかったかを検証している」と答えた。

長女の調書

2016-07-13 | 取調可視化
「ジャイアンがママでスネ夫がパパ」 被告の長女が説明


「ジャイアンがママ、スネ夫がパパ。ドラえもんはうちの家にはいなかった」

 一般の人も裁判所も分かりやすいと思うかもしれませんが、
 長女が取調官に自分からこういう例え方はしないように思います。

「たとえば、ドラえもんで言ったらどんなふうだったかなあ??」
「お母さんはどんな感じ~???」
「お父さんは誰に似てたかな~???」
「ドラえもんはいたかな~???」
・・・という風に
 聞き取られたことがこのようにまとめられているのだと思います。
 
 読み聞かせで確認をしてサインはしているでしょうけど
 おそらくそのようにして作られているのですから
 取調官の意図や趣味が入ることは間違いないですね。

ここで例えられるようになると  国民的 ○○ になるのでしょうか。


※引用

「ジャイアンがママでスネ夫がパパ」 被告の長女が説明

 福岡県筑後市のリサイクル店事件で、経営者夫婦の夫の公判が12日、福岡地裁であった。妻=一審で懲役30年、控訴=の妹と両被告の長女の調書を検察側が読み上げ、店や家族内での支配関係などを説明した。

 この日は、2006年10月に義弟とその息子を暴行で死亡させたとされる傷害致死罪の審理が始まった。

 両被告の長女の調書によると、長女は当時6歳前後で、2歳年下の大斗ちゃんが両被告宅に住んでいた。

 長女と大斗ちゃんは普段、正座や「気をつけ」の姿勢で被告(妻)に怒られた。ある時には浴室に裸で立たされた2人が被告(妻)から平手打ちや殴打をされ、「大斗ちゃんは『気をつけ』のまますごく泣いていた」と振り返った。

 長女は「ママが言うことが絶対で私とパパはママの機嫌や顔色を見て生活していた」とし、「ジャイアンがママ、スネ夫がパパ。ドラえもんはうちの家にはいなかった」と説明した。

忘れられる権利 < 知る権利

2016-07-12 | 民事
グーグル検索で逮捕歴、削除命令を取り消し 東京高裁


被保全権利  更生を妨げられない権利  という構成なのですかね?
処罰を受けてからの期間 約5年前の犯罪行為(児童売春等)の場合は ネットでの検索でひっかかっても・・・ということなのだろうか?
単純に多くの削除申請に対応できないでしょ  ということなのだろうか?


朝日新聞からの引用です。

※引用

グーグル検索で逮捕歴、削除命令を取り消し 東京高裁

 検索サイト「グーグル」で名前などを検索すると、過去の記事などで逮捕歴が分かるとして、男性が検索結果の削除を求めた仮処分申し立ての保全抗告審で、東京高裁(杉原則彦裁判長)は12日、「忘れられる権利」を認めてグーグルに削除を命じた昨年12月のさいたま地裁の決定を取り消した。

 高裁決定は「プライバシー権に基づいてネット上での削除が認められる場合はある」と認めた上で、今回のケースについては「処罰を受けてからの期間などを考慮しても、削除の必要はない」と判断した。

 決定などによると、男性は約5年前に女子高生に金を払ってわいせつな行為をしたとして逮捕され、児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で罰金50万円の略式命令を受けた。検索すると当時の実名入りの記事を転載した掲示板などが表示されるのは「更生を妨げられない権利」を侵害しているとして昨年、地裁に削除の仮処分を申し立てていた。

リーマンブラザーズ証券  三角相殺 否定

2016-07-11 | 破産  再生
リーマン破綻、債権・債務3者相殺は無効 最高裁が初判断 手続き開始後認めず


リーマンブラザーズ証券って 民事再生法適用だったのですね。


産経新聞の記事からです。

※引用

リーマン破綻、債権・債務3者相殺は無効 最高裁が初判断 手続き開始後認めず

 破綻したリーマン・ブラザーズ証券の民事再生手続き開始後、取引先同士がリーマンとの債権・債務を相殺できるかが争われた訴訟で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は8日、「民事再生申請後に相殺が許されるのは申請した会社との2者間に限られ、合意があっても3者間では相殺できない」と初判断。相殺を認めた2審判決を破棄し、相殺を無効とする判決を言い渡した。

 リーマンが販売したデリバティブ取引で債務を負った野村信託銀行が、「契約終了日が指定された場合、当事者で相殺できる」との契約条項を理由に、同グループの野村証券がリーマンに持つ債権と相殺できると主張。リーマンは「相殺は民事再生法違反」として野村信託に債務支払いを求め提訴した。

 同小法廷は「民事再生法の基本原則は債権者の平等。今回の相殺は基本原則に反する」と指摘した。一方、千葉勝美裁判官は現行法では今回の相殺はできないとしつつ「グループ企業内のリスク管理として考えられる手法。立法で相殺を認めるかは、検討課題だ」とする補足意見を述べた。

 平成20年9月、リーマンが東京地裁で民事再生手続きを開始し、デリバティブ契約も終了。野村信託は約4億3千万円の債務をリーマンに抱えたが、野村証券は同じ取引でリーマンに17億円余りの債権があった。1審東京地裁、2審東京高裁はいずれも野村信託の主張を認め相殺を有効と判断した。