ゆめ456 『言うことが聞けないの』 2013年11月26日 02時34分47秒 | だれかのゆめのにっき 「ほら、好き嫌いしないで。ちゃんと飲み込みなさい」 「……」 「なぁにその顔は? お母さんの言うことが聞けないの?」 「……」 「なんとか言いなさい!」 「……」 「ああもう! また変な虫連れてきたりして!」 「……」 「臭いわねぇ! あんた臭いのよ! お風呂に入りなさい! 床までドロドロじゃないの!」 「……」
ゆめ455 『蝋人形』 2013年11月26日 02時34分04秒 | だれかのゆめのにっき 川上から出来損ないの蝋人形が流れてくる。 それを作っているのは、戦争で片腕をなくしてしまった私の父だ。 私は自分の弟妹たちを積み上げて家を建てる。
ゆめ454 『呪い』 2013年11月26日 02時32分51秒 | だれかのゆめのにっき 「お前さあ、傷もないのに血が出るのはそれ、呪いだよ呪い」 「呪い?」 「そうだよ、何度も繰り返し同じ夢を見ることはない?」 「そういえば最近同じ夢ばかり見る。女が……」 「やっぱり。間違いない」 「でも誰がそんな怖いこと……呪いだなんて」 「気づいてないの?」 「えっ」 「お前だよ」
全力マリー 2013年11月22日 19時52分42秒 | 冗談 パンがないならお菓子を食べればいいじゃない。 え? お菓子もないの? えっと、じゃあ菓子パンを食べればいいじゃない。 あ、パンないのか。間違えた。 じゃああれだ、惣菜パン、惣菜パンは、パンか。パンはないのか。 あのー、ほら、あれ、ドーナツとか。 ん? ドーナツはパン? いや、お菓子か? どっちだ? ドーナツはパンなのかお菓子なのか、パン……ちげえわ、パンにしろお菓子にしろ結局どっちもないんじゃねえかクソ。 えーと、クロワッサン、はダメだ、デニッシュ、じゃなくて、ベーグル、もパンだ、あっバゲット、クソ、パンしか出てこねえ。 フォカッチャ、クイニーアマン、ヴィエノワズリー、ヴァイツェンブロート、パン詳しいな私、なんだこれ。
ゆめ453 『プッチン』 2013年11月22日 10時29分00秒 | だれかのゆめのにっき 「絶対開けちゃダメだよ」と言われていたおばあちゃんの箪笥を開けたら、そこにはプッチンプリンのプッチンの部分が引き出しいっぱいに入っていた。
ゆめ452 『ロシアンルーレット』 2013年11月22日 10時28分08秒 | だれかのゆめのにっき テーブルを囲んだ六人のうち、既に半分が頭から血を流して死んでいる。 「俺の番だ」と言って隣の黒人が引き金を引くと、銃声と共に脳がはじけた。 ロシアンルーレットは続く。 私は黒人の手から拳銃を外して、自分のこめかみにあてがった。 生き残りたくない。
やばい体験 2013年11月22日 00時49分18秒 | 冗談 昨晩僕が自宅のベランダでタバコを吸っていたところ、近所の小学校の裏山上空に不審な物体を発見した (屋根があるのがベランダで、ないのがバルコニーなので僕がいたのは間違いなくベランダ)。 その物体はLEDのような明るい光を発しながら、ものすごいスピードで一定の範囲内を飛び回っていた。動きは不規則だった。 スピードがとにかく速く、また周囲が暗かったので僕は「全然確認できねえ、あの物体が何なのか全然確認ができねえ」と思い、 そしてその瞬間、その物体が何か気づいてしまった。 ユーホーだ。 ユーホーを知らない人のために簡単に説明をしておくと、ユーホーというのは「未確認飛行物体」を英語にした言葉だ。 確認のできていない飛行する物体、つまり僕が目撃したものはユーホーに間違いなかった。 鳥肌が立った。実際は長袖を着ていたので目撃してはいないが確実に鳥肌の立っている感じがしていた。 僕が鳥肌を感じているとユーホーは突然速度をゆるめ裏山に向かって降下し始めた。 それはつまり、ユーホーが地球に降り立つということを意味していた。 全身をぞくぞくしたものが走り抜け、僕は袖をまくった。今度は確実に鳥肌が立っていた。どこに出しても恥ずかしくない立派な鳥肌だった。 僕は焦る気持ちを抑えながらしっかりと準備をして家を出た。 母が「こんな時間にどこ行くの?」とか「コンビニ?」とか「コンビニだったら雪見だいふく」みたいなことを言っていたが構わず自転車にまたがる。 自転車のカゴの中のトートバックには懐中電灯、非常食のお菓子、言葉が通じなかったときのためのペンとメモ、 焦って入れてしまった布団用の大きな洗濯ばさみがぶち込まれていた。厚着もかなりしている。完璧だった。 全力の立ちこぎで麓までたどり着くと、夜の裏山はしんと静まり返っていた。 僕の荒い息遣いが空気を掻き乱すばかりでフクロウの鳴く声も聞こえない。というかこの山にフクロウはいない。 そして一生懸命自転車をこいだことによって僕はもう汗だくだった。 この時点で既に厚着で来たことを後悔していた。イライラしていたし、正直「ユーホー死ね」と思った。 しかしそれでも僕の足は自然と山の中へ向かっていた。 そのときは自分がまるで何かに吸い寄せられるように歩を進めていることにまったく違和感すら感じていなかったが、 今になってよくよく考えてみればやはりあのときの僕はユーホーにすごく興味があったのだと思う。 興味がなければきっとイライラした時点で帰るはずだからだ。 あのときの僕はユーホーにすごく興味があった。これだけは今間違いなくはっきりと断言することができる。 とにかく僕はイライラしながら懐中電灯の明かりを頼りに林を分け入っていった。 ユーホーがどのあたりに降り立ったかはぶっちゃけ見当もつかなかったがとりあえずてっぺんまで行ってみようと考えていた。 てっぺんはいいものだ。てっぺんまで行けば何かしらいいことがある。基本的に僕はそういうスタンスだった。そういうスタンスで歩いていた。 しばらく歩くと急に妙な音が聞こえ始めた。それはちょうど聴力検査のときに聴くようなピーッとした感じのやつだった。 神経を逆なでする嫌な音だ。僕はより一層イライラしながら音のするほうへ進んでいった。 ふいに木々がひらけると、そこには暗闇の中、小さな建物みたいなものがそびえていた。 ぎょっとしながらもそれが何なのか確かめようと明かりを向けると、サーチライトは思いがけず人の姿をとらえた。 建物みたいなものの前にはなんと人が立っていたのだ。 「先を越されたかクソ、豚野郎が」と思い、向こうに聞こえるように思いっきり舌打ちをしたが、よく見ると何やらおかしい。 そいつはとてもおかしな見た目をしていた。もちろん防寒だけを目的とした僕の服装もおかしいというか、 ジャージを三枚重ね着している時点でちょっとあれだったが、そいつのそれはまさに異常の一言だった。 見ればそいつは銀色の服、つまりメタリックな感じの衣装に身を包んでいるのだった。近未来だ。テクノロジー。 まさかこいつがユーホーの正体なのか!!? 僕が衝撃を受けていると例のピー音がその強さを増し、脳内にボーカロイドのような声が響いた。 「私は金星人です。私の後ろにあるやつは乗り物です」 そんなようなことを言っていた。つまりそいつは暗に、自分ではなく建物みたいなもののほうこそがユーホーだと言うのだった。 てめえはフェイクか。まんまと騙された恥ずかしさの余り僕は悲鳴を上げそうだった。 そして「金星人のくせに銀色の服なんか着てんじゃねえ」とも思ったが、 地球人なのにアースミュージック&エコロジーの服を着ていない僕には何も言う資格がなかった。 何を言う資格もなく黙っている僕にユーホーの乗組員は「はじめまして。銀色の服を着ていてごめんなさい」と言いながら近付いてきた。 乗組員は明らかに僕の心を読んでいたが、そんなことよりも驚くべきことがあった。 そいつはタレントのローラによく似ていたのだ。 本人と見紛うばかりかといえばそれほどでもなかったが、ローラかトリンドルかで言うなら、かなりローラだった。 正直な話、僕はローラよりもトリンドルのほうが好みだ。付き合いたいとさえ思う。 電車のエステの広告もローラのやつよりトリンドルのやつをよく見ちゃうし、 「トリひつじってなんやねん、鳥なのか羊なのか分かんねーよ、かわいい」といつも思う。そしてそんなことはこの話に全然関係がなかった。 ローラに似た女は僕のすぐ目の前まで来ると「友達。こんにちは、友達」などと言いながら僕の股間に手を触れてきた。 痴女だ!!!!! とっさにそんなことが頭をよぎったが、僕には抵抗することなどできなかった。「遠くのトリンドルより近くのローラ」とはよく言ったものだ。 僕の股間が不思議な温かさに包まれる。なんだこのテクノロジーは。このままでは僕の金星からユーホーがテイクオフしてもおかしくない状態だった。 「トリンドルごめん」 僕に残されたわずかな理性が最後の瞬きを見せると同時に、まぶたの裏にトリンドルの卑屈な笑みが浮かび消えた。そして僕は失神した。 目が覚めると辺りは既に明るくなっていた。体は冷えきっていて頭がやけに重い。風邪のひきはじめの感じに似ていた。 僕が寝ていたのは昨日の場所に違いなかったが、巨大な円柱もローラもきれいさっぱり姿を消していた。パンツはきれいなままだった。 「なんだ夢か」とがっかりしながら、付けっぱなしで放り捨てられていた懐中電灯を拾う。 せっかく夢ならがっつりエロいことをすればよかった。歯茎とかすげえ舐めまわせばよかった。 どうしようもないもどかしさにイライラしながら山を下ると自転車がなかった。 本当の絶望を味わったとき、人は涙も声さえも出ないのだと知った。 自転車を盗まれたという事実のみが僕にとっての今現在の全てで、それ以外の一切は色も質感も失い、 僕は荒涼とした砂漠のような家路をとぼとぼと歩いた。 道中、腹が鳴ったので非常食のカントリーマアム(ずんだ味)を口にしたが味は感じず、それも砂のように僕を渇かせただけだった。 僕は居間のドアを開けて母の姿を目視するや、開口一番に「ごめんなさい、自転車盗まれちゃいました」と頭を下げた。 すると母はけげんな顔で「誰の自転車?」と聞いてきた。「俺の」と答えると「あんた自転車持ってないでしょ」と言う。 そんなはずはなかった。駅前のサイクルスポットで最近買ったあの紺色の自転車は間違いなく僕のであった。恥ずかしい名前もつけていた。 しかし、僕がどれだけ弁を振るおうとも母はそんなものは最初からないのだと突っぱねた。 とにかくらちが明かないので、一旦その話はやめにしてタバコでも吸うことにした。 二階に上がって自分の部屋に入る。しかしテーブルの上にはタバコもライターも灰皿もない。 ベランダに置きっぱなしだったかと思い、サッシを開けるが見当たらない。 ベランダに出るためにサンダルを履こうとすると頭にぽつぽつと水滴が当たった。 見上げれば頭上の曇天から細かな雨粒がいくつも落ちてきていた。 僕はバルコニーに出ようとしていた(屋根があるのがベランダで、ないのがバルコニーなので僕が出ようとしていたのは間違いなくバルコニー)。 階段を転がるように駆け降り、実際転んだ。テレビを見ている母に我が家の異常を訴えた。 僕が可能な限り冷静沈着に「うちのベランダがバルコニー、バルコニー」と言うと母は「ベランダはベランダでしょ」と答える。 「違う、屋根、バルコニー屋根ない」と言うと「屋根なんてないでしょ、うちのベランダには」と答える。 「屋根ないのがバルコニーなの!うちはベランダだったのに!!」と怒鳴ると、 「さっきから何とんちんかんなこと言ってんのあんたは!!!」と、母もついにぶち切れた。 こんな意味の分からない親子喧嘩は生まれて初めてだったし、とんちんかんという言葉も久しぶりに聞いた。 僕はもうほとんど泣きそうになりながら「タバコもねえ」と言った。 「あるわけないでしょ、吸わないんだから」と母は言った。 「肺弱いんだから。え、吸ってるの?」母の質問には答えず、僕はハナクソのような顔でソファに腰を下ろした。 ぼんやりとテレビを眺める。画面の中ではローラが「ウフフ」と笑っていた。