音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

リボルバー (ビートルズ/1966年)

2011-11-21 | ロック (イギリス)


「ラバーソウル」のレビューでも書いたが、「サージェント・ペパーズ~」がロックの歴史で最も評価の高い作品だとしても、ビートルズの中で最も好きかどうかとは違う。で、多分、私は好き嫌いで言ったら、多分この「リボルバー」が一番好きなんだと思う。その理由を上げれば限がないが、一言で述べたらこの作品がビートルズの中で最も「ロック」な内容だからであろう。何れにしても前作「ラバーソウル」から、本格的なアルバム制作をするようになったこれからが、まさにビートルズの本領発揮というところである。

この作品では幾つかの新しい試みがある。まず1曲目の"Taxman"はジョージの曲であるが、いきなり名指しで英国首相他の政治家を名指しで批判するなど、社会風刺が見られる様になった。また、前作ではアクセント的に使っていた「シタール」を前面に押しだした曲も作った。また、楽団の他に、ストリングスを使ったり、或いは変拍子をやってみたりある意味では実験要素の高い作品になっている。また、全体の構成も。次回作「サージェント~」に可也似ていることから、この作品でビートルズのアルバム制作ポリシーはかなり確立されていたと考えられる。だから「サージェント」が話題になったのは、ペパーズ軍曹というキャラ設定と、1967年のサイケデリック・イヤーの二つの要素がこの2作の明暗を分けたといえる。しかし、「名盤コレクション」と題した執筆や特集では、敢えて「サージェント」を外してこの作品を選んだり、「ローリングストーンズ誌のアルバムベスト500」では、1位の「サージェント」、2位のビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」に継ぐ3位に選出されており、これは、「ラバーソウル」の5位、「ザ・ビートルズ」(ホワイト・アルバム)の10位、「アビーロード」も14位よりも上位である。ただ、一方で残念だったのは、この作品は彼らの最後のアメリカ・ツアーの前に発売されたが、このアルバムからは1曲も演奏されなかったという。再現が難しいとされたが、後にシングルでも発売された"Got To Get You Into My Life"などは、普通のロックンロールなのだから演奏は可能だったと思う。しかし、このショウビズの国で、一切の公演活動を中止してアルバム制作に取り組むなんてこと自体が異例のことであったが、一方で「僕らはキリストより人気がある」発言の誤解による排斥運動によりツアーがやりにくくなったのも事実で、逆に自分たちの音楽を見なおしたことが、これから後、一連の神話に繋がっていく。そういう意味では分岐点の作品であり、彼らの活動の中で最も「意味のある」レコーディングだったのではという部分も強く感じるのである。個人的にも好きな曲が多く、"Eleanor Rigby"、"Here, There And Everywhere"などは勿論、最後の"Tomorrow Never Knows"は特殊な曲である一方で、次回作や「イエロー・サブマリン」を彷彿させる曲として、このアルバムの中で、あるいはビートルズの曲の中でも大変意味のある曲である。であるからして、冒頭の言い方を変えれば、「サージェントはロック界で最も重要な作品だが、リボルバーはビートルズの中で最も重要な作品」 という言い方になると思う。

この作品のタイトルであるが、ずっと、ビートルズが来日公演した際の警備の警官が、皆リボルバーを携帯していたのでこのタイトルになったと言われてきたが、2009年リマスター版収録のインタビューにて初公開された内容によると、アルバムタイトルは、「レコードは何をする?」「回転する!」「Great!(いいね!)」というメンバーのやり取りから「リボルバー」となったと解説されている。なるほど、この方がビートルズらしいし、この頃はまだ、皆、仲良しだったのが嬉しい。


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