意外というか、いや嬉しい悲鳴というのか、最近なぜかマイブラが流行っているのをタワレコで知ったのがかれこれ2ヶ月前。無論、そんなソフト実家の倉庫にしかないけど、整理していないから探すのが大変、なので買った方が早い。えっと、確か、こっちが先だったよなと、なんか、久々に子供みたいにはしゃいでしまった。マイブラって言うと殆どの人に「マイラバ」でしょって言われてしまう程の日本での認知度。マイラバも好きだけど、マイブラの比ではない。で、ちょっと興奮気味だけど、まず、「シューゲイザー」について一言。この聞きなれない(音楽ファンには周知が高い)単語はロックのスタイルのひとつ。"Shoegazer"の表記でお分かりいただけるように、「靴」である。そもそもこれは1990年初頭に英国音楽紙『Sounds』に掲載された。ムースのライブでボーカルのラッセル・イェーツが、歌詞を憶えられず床に貼り付けたカードを見ながら演奏していたことについての批評記事で、その光景はまるで靴を見つめているかのようで、同音楽紙記者がシューゲイザー(=靴を見つめる人)と表現し、その後も一部のメディアが揶揄を込めてシューゲイザーと呼ぶようになった。だから、音楽的な要素を表している訳ではないのだが、一方で、ドイツのシューゲルアインシュタインケリッヒが開発した、「音響装置」に音が似ているためシューゲイザーと呼ばれたというジョークもあるらしい。だから筆者はこんな分類はせず、オルタナだと思っているが、一方でネオサイケとも関わりがあるから最初に触れておいた。
さて、この表題の作品だが、結果論でいうとこの時点でまだマイブラはバンドとしてのオトを確立しているとは全く以て言えない。なにかアマチュアバンドのデモテープを聴いているようで、実際、当時このアルバムをクルマで聴いているとき「オマエの演奏?」って何人からか尋ねられたほど。ネオサイケの流れで言えば、コクトーツインズとか、ジーザス&メリーチェインのノイジーなギターとポップなメロディが支持されていて、このバンドもそんな流れを踏襲しているのだろうが、一方で後者の作品「サイコキャンディー」はこの分野の音楽をある意味で総括・総決算にしてしまったから、ここでまたロックは行き場を失っていた。考えてみると、ポリスの事実上解散、プリンスの音楽的融合、そしてニューウェーヴの終焉以降、ロック音楽はずっとこんなことを繰り返していた気がする。残念なのはこの作品もオトに対するプロ意識が足りないのだろうか。それは、インディロックシーンのすべてに言えることかもしれないが、やはりインディーで満足(してはいないのだろうが、ひとつの意思表示はしている)というこれも産業ロックの汚物なのかもしれないテキトーさ。そんなオトだから、専門家が聴いてもオマエのバンドかなんて言われてしまうのだと思う。だが、このマイブラ、3年後の次作は歴史的名盤を発表するが、そのアルバムの1曲目のイントロはこの作品の1曲目と全く同じドラムの連打だが、2小節目からは全く違うサウンド、そう、プロの魅力的なオトに変わっているので、それを聴き比べるだけでも面白い。
一旦解散したが2007年に復活。そして今、日本ではやたらとブームになっているようだが(シガーロスもらしい、嬉しいが同軸で語られていることがどこか可笑しい)、来年には来日公演があるらしい。なるほど、商業的に必死な訳だ・・・(笑)
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