音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」 (ヨハネス・ブラームス)

2009-06-17 | クラシック (協奏曲)


ブラームスの曲を本格的に聴いたのは、音楽小事典と出会いがきっかけで、この夏休み自由研究レポートが始めてであったが、まず、交響曲第1番、所謂、「ブライチ」には色々な意味で驚き、発見があった。そして、私のブラームス好きを決定的にするのが、なんといっても、このヴァイオリン協奏曲である。俗にいう4大ヴァイオリン協奏曲についてはメンデルスゾーンの鑑賞でも触れたが、二長調の3曲は構成が良く似ている。似ているというか、多分、ブラームスがベートーベンを見倣って作り、更に、チャイコがその流れを継承したに違いない。「ブラコン」とも呼ばれるこの曲は、ブライチ同様、ベートーベンの恩恵と呪詛を多分に許容しているのである。通説では、この作品を聴いたシベリウスは、その交響的な響きに衝撃を受け、自作のヴァイオリン協奏曲を全面的に改訂するきっかけとなったとか、同様にチャイコフスキーは、メック夫人へ宛の手紙で、この曲について「私の好みに合わない」「詩情が欠けているのに、異常なほどに深遠さを装ってみせる」と酷評している。そういえば、この音楽史に残る名曲「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」がヨハネスもチャイコも同じ1878年に作曲されている。

又、この曲はヴァイオリン協奏曲というわりには、ヴァイオリン以外の楽器が活躍している。特にオーボエである。取り分け第2楽章などはオーボエ協奏曲なのかと思ってしまう。又、他の3つのヴァイオリン協奏曲、もっとも、メンコンは別としても、他の2曲に比べると矢鱈と難しく、簡単に口ずさむという事のできるレベルにはない。特に第1楽章のカデンツァは、相当な演奏家泣かせの曲なんだろうと思う。尤も、ブラームスはこのカデンツァを書いていないが、彼には、ヨーゼフ・ヨアヒムという世紀のヴァイオリニストの親友が居て、初演は彼が弾いているから、その後の演奏も彼の影響が大きいと思う。メンコンなどは、クラシック弦楽器を弾けない私が、ギターなんかで気楽に演奏したりするが、ブラコンはそういうレベルには無い。そんな事をしたらバチが当たると思う。また、私は実はこの曲は第3楽章が大好きだ。昨今もハリウッド映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」に使われ、その音楽効果もあり、自身の高い映画評価に繋がった。この変則的なロンド・ソナタ形式が何とも言えない。ブラームスは新古典主義なんていう言い方をされるが、この楽章を聴いていると、「ハンガリー舞曲」などにもあるジプシー音楽を取り入れた当時としてはとても斬新な構成だと思う。

ブラームスはピアノの協奏曲も2曲ほど書いているが、実は中々この2曲も素晴らしい。しかし、一方で、ピアノ協奏曲で言えば、ベートーベンの皇帝やチャイコの1番と比べるとどうか。恐らくクラシックファンならずとも、この2曲は、絶対どこかで聴いたことがあると思うくらい身近で親しみやすく、又、納得する旋律であるのに比べると、ブラームスは少し難しいと思ってしまうだろう。そういう意味では、面白いことに、これが、ブラームスという音楽家の位置なのである。私の場合「ブラームスはお好きです・・・」。


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