音楽は語るなかれ

音楽に関する戯れ言です。

キャプテン・アンド・ミー (ドゥービー・ブラザーズ/1973年)

2009-08-21 | ロック (アメリカ)


アメリカンロックというとどのバンドを思い出すか。面白いもので真っ先に「これだ」と思い出せるバンドといのは無い。私は、ジャクソン・ブラウンの大ファンなので、その絡みから考えるとイーグルスなのだが、かといって真っ先なのかどうかは分からない。好きなバンドはというと、スティーリー・ダンであり、レーナード・スキナードであり、ザ・バンドであり、それからオールマンも良いかなぁと・・・。だが、一言でアメリカンロックといっても、例えば、カンサスなんかもそうであり、でもこのバンドはどちらかというとプログレに近い。それからボストンとかTOTOという70代の中盤以降に出てきたバンドは、寧ろAORという括りに入っていて、何か、アメリカンロックとは違うところに置かれてしまって。ただ、それをいうなら、スティーリー・ダンも一時期そんな位置づけをされていて個人的には大変不快だった思いがある。そう、これは、「フュージョン」と称して、70代後半に、ロックとジャズの間にある音楽を最初はクロスオーバーとか名乗っていたが、どこがオーバーしているんだってことになりその後「フュージョン」と命名しなおされたが、正直あの、「フュージョン」に勝手に属されてしまったアーティストたちは、本来、皆ジャズである。だからジャズでいいのに、ジャズというと売れなくなってしまうからへんてこな新しいジャンルを作っていたのだ。1970年代後半は、こういう根拠のない商業ベースの音楽の位置づけがとても音楽ファンを戸惑わせた。

そうそう、アメリカンロックの話だった。私は、音楽的に言うと、このドゥービー・ブラザーズは、アメリカンという言葉にピッタリだと思う。というか、正確に言うと「ウエスト・コーストのバンド」であろう。アメリカと言っても当時、イーストとウエストは可也音楽が違っていた。但し、ドゥービーは正式なウエスト・コーストのバンドかというと実はそうではなく、サンフランシスコのバンドであり、たまたま契約したワーナーがロスだったのでウエスト・コーストの仲間入りしているが雰囲気は随分違う。それと、ドゥービーは私自身が個人的にもバンドで良く曲を演奏した。理由は曲構成が簡単で、それでいて結構弾き手も聴き手も乗れるからであり、コンサートのアンコールや、踊りたい連中がいるときには、ホーンセクションなしでもすぐに演奏できる。特にこのアルバムの「ロング・トレイン・ランニング」は、青春時代しょっちゅうディスコ(クラブではなくディスコだよ。六本木のビブロスとかインフィニティに行ってました。それから某ディスコで皿を回してましたとさ・・・)で掛かっていた。だから実は面白いことにこのバンドって自分の中では「ライブ・バンド」ってイメージが強い。だが、そんなノリノリアップテンポの曲ばかりでなく、このアルバムにもあるようにカントリーっぽいアコースティックも結構多いのだが、残念ながらこの部分は、やはりイーグルスなんかの方が良いのである。そんなところが、前述したウエスト・コーストのバンドらしくなく、たまたま当時は西海岸ならロス、東海岸ならニューヨークに成功したい輩は出て行ってレーベルと契約をする。たまたまドゥービーはロスの方が都合が良かっただけだ。

同時にドゥービーは、「この1枚」っていうアルバムが無い。それはツェッペリンでいう「この1枚」と違い、ドゥービーはどれも中途半端な出来である。そして、残念ながらドゥービーファンには怒られてしまうかもしれないが、アルバムの完成度は「ミニット・バイ・ミニット」が一番良いと思うが、このアルバムは絶対「ドゥービー的」ではない。ドゥービーは絶対に「スタンピード」の前後にライブアルバムを出すべきであったのだ。そう、1976年くらいに出しておけば「フランプトン・カムズ・アライブ」くらい売れたのだ(なぜ、あのアルバムが売れたのか・・・)。非常に残念なバンドなのである。


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