趣味人Tの伝言

日々の趣味活動についてご紹介

脱線分岐器と脱線転轍器-2

2024-05-22 20:33:00 | gallery:線路

その2では非連動(現場扱い)の脱線転撤器と脱線分岐器を取り上げてみます。

まずは工場の入口と旅客営業線の合流点に設置されている例から

脱線転撤器の転換は本線側の分岐器から双動で行うため、鋼管が接続されています。

安全側線と同様に、本線が開通している状態が定位(脱線側)となります。

 

下の場所は専用同士の合流点で、転轍機は標識付き転換器の灯火が省略されたものが使用されていました。(いわゆるクビなし)

専用線の合流点には安全側線よりも脱線転轍器や脱線器が使用されることが多いです。

旅客輸送ではないので簡易的な保安設備でも大丈夫ということなのでしょうかね。

 

こちらは上の専用線の先にある駅構内の合流点に設置された脱線転轍器で、 転換に発条転轍機(スプリングポイント)が使用されている点が特筆できます。

対向側の転轍機標識はスプリングポイントを示す丸いSマークの上から赤い脱線転轍機標識を重ねたような表示です。こちら側から進入する場合は手動で反位に切り替える必要があります。

なお、現在は用途廃止となり標識も隠されてしまっているようです…

 

下は背向側から見た内方脱線転轍器で、標識付き転換器が使用されています。

 

保線用の側線に設けられた脱線転轍器。

より簡易的な錘付き転換器(通称ダルマポイント)が使用されていました。

錘付き転換器は錘の上半分が白の場合は定位、黒の場合は反位と判別が出来ます。

 

下の場所は錘の上側が黒なので反位(開通方向)の状態ですね。

ダブルの車輪止めも開放されています。

 

斜面に沿っている線形では谷への転落を避けるため尾根側に脱線させます。

ただ壁面に衝突すると被害が大きくなるため、下の場所では逸脱防止レールが設置されていました。

ダルマの一部を赤く塗ることで、脱線方向に開通していることを分かりやすくしていますね。

 

以下は脱線分岐器です。脱線転撤器と異なりクロッシングが付いていますが、非連動のため安全側線用緊急防護装置(EM)は設置されません。

上の場所では電気鎖錠機付きの転てつ転撤器と脱線転轍機標識が設置されています。

 

こちらは側線に設けられた脱線分岐器で、S形ポイントリバー転換器が使用されています。

S形ポイントリバーは軌道内の箱にあるクランクやバネによってトングレールの密着を確保できます。ダルマと同様に上半分が白の場合は定位となるため、上の場所は普通分岐器の一部が使用されている可能性が高そうです。

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脱線分岐器と脱線転轍器-1

2022-08-14 07:23:20 | gallery:線路

脱線分岐器と脱線転轍器とついてまとめてみました。

いずれも線形や土地の制約などにより安全側線を設置するスペースが無い場合に使用されます。

今回は連動装置を使用した安全側線に近い用途のものに的を絞ってみました。

まずは鉄道会社と専用線の接続点にあたる操車場から

脱線転轍器と渡り線を構成する2つの分岐器は機械連動装置で一括して転換されます。

転轍機てこはロッドやクランクを介した、ずっと手前にある信号所にあります。

このような機械連動装置は電気転轍機の普及によって風前の灯となりましたが、ポイントの転換方向を間違えるといった人為的なミスは無くなるため、安全性は大きく向上しました。

続いて転車台への接続線に設けられた脱線転轍器。時計塔の下にあるのが分かりますか?

拡大してみました。

電気転轍機が使用されているため、継電連動装置か電子連動装置が使用されています。

安全側線用緊急防護装置は設置されていないため、万一脱線側に車両が進入しても列車防護をする機能はありません。ただ、転車台の稼働と連動する仕組みがあったのかどうかは気になる所です。

その他、現存はしませんが本線同士の平面交差の手前などにも脱線転轍器が設置されていたことがありました。

下の場所では車両基地から駅構内に続く線路に脱線転轍器が設置されています。

線路の手前が駅構内になります。

転轍機標識は小形のタイプで、トングレールは乗越しポイントが使用されています。

道路側の線路は駅構内の側線なので、安全側線を設置するのは苦しかったと思われます。

こちらも車両基地と駅構内の合流点にある脱線転轍器。

転轍機標識がなく、合成枕木が使用されているため近代的な印象を受けます。

下の場所は曲線の外側に分岐しているので外方脱線転轍器とでも言いましょうか

ただし、脱線側の先端がくいっと曲げられており、大きく逸脱しないようになっています。

オーバーランや転動防止目的で設置されています。

こちらは本線と合流する専用線に設置されている例

電気転轍機と標識がセットで並んでいます。また、直接加熱式のヒーターが付いています。

脱線転轍器における定位(脱線方向)の標識は、矩形で白縁の入った赤い表示です。

転轍機標識については安全側線-6も参照下さい。

授受線と本線の間に設けられた脱線転轍器。定位のため入替標識は横並びの停止表示です。

出発信号機に連動した勾配の転動防止用に設置された例。

斜面に沿った線区では脱線方向を山側に向けるように配置します。

降雪地帯なので耐雪カバーが付いております。ダクトは温風ヒーターですね。

寒冷地ではブレーキの効きが悪くなったり、雪でスリップしたりと様々な要因に対処する必要があります。

こちらは専用線の廃止により使用停止となった脱線転撤器で標識は黒塗りされていました。

最初の場所と同じく軌間内のトングレールを長くした線形です。

最後に車両工場と駅構内の合流地点にある脱線分岐器

脱線転轍器以上、安全側線未満の知る人ぞ知る存在です。

脱線転轍器には設置されることのない安全側線用緊急防護装置(EM)が備わっています。

さらに転轍機標識の影に隠れるように、車両限界接触標識も手前気味に設置されていますね。

安全側線のように過走距離は稼げませんが、列車防護は必要だったのでしょう。

高速鉄道においても旅客用の留置線と保線区の側線の境界部に設置されていました。

ただ、意外なことにEMは設置されていませんでした。

続きます

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2024/4/30 画像追加、加筆修正

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安全側線-7

2020-09-13 19:05:00 | gallery:線路

2022/06/07 画像追加、加筆修正

 

その7では安全側線用緊急防護装置(以下、EM)の応用例を見てみたいと思います。

安全側線自体は登場しないのでタイトル詐欺ですがご了承下さい。

EMは安全側線に車両が進入したこと(≒緊急事態)を付近の信号に伝えて列車防護をするために設置されています。この仕組みを利用して駅構内や留置線の終端にも設置が進みました。

↑高架線上の行き止まりホームの先端に設置されたEM

終端部は軌道スラブを設置せずにバラスト軌道となっています。

 

↓こちらは地下駅構内の行き止まりホームの先端。

第二種車止めとEMの組み合わせは安全側線よりも駅や留置線でよく見られます。

 

↓頭端式ホームの設置例。枕木+EM+第2種車止め+制走堤と厳戒態勢です。

ただEMはかなり古くに設置されたのか、塗装の劣化が進んでいます。

もしかしたら使用停止になったものがそのまま放置されているのかもしれません。

EMの手前に枕木を積むのはあまり一般的ではありませんので…

 

こちらもEM+砂利盛+第2種車止め+制走堤とかなりの厳戒態勢。

頭端式ホームで冒進すると甚大な被害が出てしまうため、必然的に重装備となる傾向があります。

 

↓こちらは引き上げ線に設置されたEM。隣のミラーは走行列車確認用でしょうか?

このように留置線の両側に走行線がある場合、過走した列車が走行線に支障する恐れがあるためEMを設置することが多いようです。

 

↓第4種車止めとEMが合わせて使用されるのも引き上げ線や留置線ならでは

やはり本線に隣接する側線に設置されています。

 

ここからはイレギュラーな使い方

まずは脱線器と併用された例です。

左側のレールにちょこんと乗っかっているものが脱線器。この脱線器により脱輪した車体をEMに接触させるという仕組みです。EMは走行車両と接触してはいけないので、車両限界の外側に設置されています。

線形的に安全側線や脱線転轍器の使用が難しく、このような形になったと思われます。

脱線器については別記事でまとめる予定です。

 

下の写真は駅構内の留置線に設置されたEM。

やたらと長い安全側線ではありません。その理由は分岐器とEMの設置方向にあります。

安全側線は駅構内から出発する車両に対して設置しますが、この側線は駅進入方向です。

そしてEMは分岐器に進入する車両に対して動作する向きで設置されていることが分かります。

安全側線の場合は逆に分岐器を通過した車両に対して動作するように設置します。

(EMの設置ベースが進行方向側になる)

 

同様の例をもう一か所。

上下線からアプローチできる側線ですが、分岐器の根元付近にEMが設置されています。

こちらも寄ってみると側線から本線に進入する車両に対して動作するように設置されています。続けて車輪止めも設置されていることから留置車両の転動対策にEMを使用していることが分かります。

このような使い方の場合、車両を出し入れする際もEMを倒す必要がありますので、防護回路をどう処理しているのかは疑問です。入線時と出発時は防護回路を解除できるような仕組みが備わっているのでしょうか?

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安全側線-6

2018-10-28 19:59:32 | gallery:線路

その6では安全側線に使用される乗越分岐器と脱線転轍機標識についてご紹介します。

まずはオーソドックスな安全側線である吉塚駅の動画をどうぞ

継ぎ接ぎ動画のためすぐ転換してしまったり列車と被られたりしていますがご了承を。

乗越分岐器は乗越ポイントと乗越クロッシングから構成されています。

下の写真ですと左手前の線路が安全側線で右側の曲線が本線となります。

乗越ポイントは外側の乗越レールが被さる形で密着し、車輪は被さったレールの段差を利用して本線を乗り越えていきます。乗越クロッシングは乗越側のレールを本線レールより高くすることでフランジが乗越えられる構造となっています。その際、外側のレールにはガードレールを設置して脱輪を防いでいます。本線側のレールにはフランジウェイ(欠損部)が無いため走行に影響を与えることはありません。

上の写真は分岐の右側が安全側線です。乗越クロッシングの形状が先ほどとは少し異なりますね。

安全側線に使用される乗越クロッシングは固定式ですが、乗越ポイントと同様に被せる形状をした可動式の乗越クロッシングは保線車両用の側線などで使用されています。

このタイプは乗越ポイントと乗越クロッシングが機械的に連動して動作するようになっており、渡り線として使用されることもあります。背向からも使用される点が固定式と異なるポイントでしょうか

 

話を安全側線に戻します。

安全側線に使用される分岐器は先ほど述べた乗越分岐器の他に普通分岐器を使用する場合があり、前者の場合は脱線転轍機標識が付き、後者の場合は普通転轍機標識が付きます。

(いずれも省略される場合があります)

上の写真だと手前が普通転轍機標識で、奥の標識が脱線転轍機標識となります。

どちらの標識も列車が通行可能な反位の標識は黄色い矢羽根です。

普通転轍機標識の定位は青丸に白い横線が入る標識となりますが、安全側線に使用した場合はこの標識が安全側線に突っ込む状態を示しているため注意が必要です。

上の写真の場合、手前の安全側線は反位(通行可能)で奥は定位(安全側線)となっています。

灯火の色は脱線転轍機標識の定位が赤、普通転轍機標識が青となり、反位はいずれも黄色です。

脱線転轍機標識の定位の状態は赤い四角に白い縁取りが施してあります。また、安全側線が定位の状態の時は本線側から背向で進入できる状態にはならないため、標識の裏は省略(白無地)であることが殆どです。

背面側の灯火は標識と同様に省略されることもありますが、点灯する場合は白色のようです。

下の写真は先ほどの動画の吉塚のものです。灯具が四角い形状で比較的新しいタイプでした。

普通転轍機標識でも灯具が四角い形状のものを時折見かけます。

その1でも紹介しましたが、標識は豪雪地帯だと積雪による視認性を高めるため標識の背が高いノッポタイプが採用されていることもあります。雪に埋もれた状態でも正常に転換できるんでしょうか?

逆に通常より小形のタイプも存在します。こちらは車体より背が低いためスペース的に余裕がない場所に使用されると思われます。(少なくとも下の場所では十分スペースはあるように感じますが…)

ちなみに上の写真のように曲線区間の外側に分岐する分岐器を外方分岐器と言います。

写真2,3枚目も外方乗越分岐器ですね。

小形タイプの標識を使用した梅ヶ丘駅の動画です。複々線の完成により現在は消滅しています。

 

乗越分岐器には脱線転轍機標識が付くと書きましたが、実は例外も存在します。

上の写真、普通分岐器を使用した脱線分岐器ですが標識は脱線転轍機標識です。

クロッシングも乗越クロッシングではなくフランジウェイのある普通タイプですね。

こちらはクロッシングのない脱線転轍器(脱線ポイント)です。

普通のトングレールが使用されていますが標識は脱線転轍機標識となります。

脱線転轍機標識は脱線器にも使用されることがあります。脱線転轍器や脱線器の場合、貨物専用線などで使用されることが多いため灯具が省略された首ナシであることが多いです。

以上のように脱線転轍機標識は安全側線に使用される乗越分岐器以外にも、脱線用途に用いる場合はポイントの種類を問わないことが分かります。ただし、普通転轍機標識が乗越分岐器や乗越レールと組み合わされて使用されることはありません。(確認できてないだけで存在する可能性はありますけどね…)

 

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2024/3/10 加筆修正

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安全側線-5

2018-03-09 21:44:13 | gallery:線路

その5では安全側線用緊急防護装置(以下、EM)の配置を見ていきたいと思います。

まずはEMを軌道中心に配置しレールと並行に固定する標準的な設置例を見てみます。来待

EMは安全側線に侵入した列車と走行中の列車が衝突することを防ぐ装置になります。

その4でもご紹介していますので合わせてご覧いただけると幸いです。

安全側線が極端に短い場合は本線を走る車両と接触しないように軌道中心から外して設置されることもあります。直江

中にはEMが軌間外に設置されることもあります。この配置は東日本でよく見かけました。新関

軌間外に設置する場合、接触枠が確実に倒れるよう車両限界内に配置する必要があります。

冒頭でレールと並行にと書きましたが、安全側線が短く意図的にレールを本線から遠ざけている場合、車体はレールに追従しきれないため直前のレールの角度に合わせて設置されます。木下

上の写真を拡大

EMは手前のレールに合わせているため、近傍のレールに対しては斜めに配置されています。

車両基地や操車場などで2線分の安全側線を合流させる場合はEMを共有させることもあります。

この場合は2線分の車両限界が重なる範囲にEMを配置します。東仙台(信)

下の場所は軌間外でEMを共有している例。2つの線路がこれ以上近接するとEMを設置できなくなるため、上のようにどちらかの軌間内に設置することになります。岩切

下は重大事故に繋がることを避けるためEMを二重化して冗長性を持たせた例。

軌間が広い高速鉄道ならではの対処法かと思います。田町付近

ただ、これも明確な設置ルールがある訳ではないようで、下のようにEM同士を離して設置する場合もあるようです。上の安全側線とは車止めの種類や標識の有無まで異なっていますね。品川

つづく

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