りんこの退屈な毎日

りんこ日々の所感

「夜明けの街で」

2008年10月12日 00時24分52秒 | レビュー
不倫するやつなんて馬鹿だと思っていた僕なのに、越えてはならない境界線を越えてしまう。しかも、彼女は15年前に起きた殺人事件の容疑者だった。事件はまもなく時効を迎えようとしていた…。

先に読んだ「流星の絆」に似た展開、かな。

途中不倫がどーしたこーしたは、
ぐーたら妻なりんことしては身につまされた。

意外な犯人。
ヒロインの偽装不倫。
妻の心。
友人の心。

さすがの東野節といったところか。

「東京島」

2008年10月12日 00時19分15秒 | レビュー
32人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は清子ひとりだけ。果たして、ここは地獄か、楽園か? 食欲と性欲と感情を剝き出しに、生にすがりつく人間たちの極限状態を容赦なく描く傑作長篇。

すごく期待してました。
ここ2週くらいの間に半年くらい前に予約した本がどんどん届きだして、
うれしい悲鳴。
東京島とはいったい、と思って読んだのだが、
大半は島でのなるい暮らし。
サバイバル知識皆無の一般人が何人も食うものに困らず何年も生活できるこの「東京島」は楽園だ。

しかし終盤清子が妊娠するあたりから、
出産、育児経験者として、
はらはらしてならなかった。

そして、無人島を脱出する清子から引き離された
双子の男の子はまだ乳飲み子だった。
どうやっておっぱいの代わりをみつけたのかそればかりが気になる。

結末は、「メタボラ」に似て、知りきれとんぼチック。
うーん微妙。

「陰日向に咲く」

2008年10月11日 23時51分02秒 | レビュー
ホームレスを切望するサラリーマン、老婆を騙そうとする小心ギャンブラーら、落ちこぼれたちの純真を愛と笑いで包み込んだ珠玉の連作小説。お笑い芸人として活躍する著者のデビュー作。

ばらばらの短編小説かと思って読み進めていくと、
途中ですべてが繋がっていることに気づき感動。
面白かった。
なんていうか、社会の底辺っぽい人々が一生懸命生きていて、
実際ありそうで、
昔のりんこと同程度以下の人がいることに、
深い悲しみを誘う。

「流星の絆」

2008年10月11日 23時39分08秒 | レビュー
ハヤシライスが看板メニューの洋食店『アリアケ』の経営者夫妻が殺された。功一、泰輔、静奈の三兄弟がペルセウス座流星群を見に出ていた間の惨劇だった。
泰輔は店の裏口から出ていく男を目撃したが、犯人特定は難航し、時は流れる。
14年後。ひっそりと肩寄せ合ってきた三人は、静奈と功一がたてつづけに騙されたことで、静奈の美貌を利用した結婚詐欺で生き抜いていく。その最後のターゲットが、レストランチェーン『とがみ亭』の御曹司・戸神行成。功一のたてた作戦で、擬態名人の泰輔と静奈は行成に近づく。
だが――
泰輔が見た行成の父親は、あの夜に目撃した男だった。
静奈が口にした『とがみ亭』のハヤシライスは父親の味だった。
功一は、結婚詐欺ではなく、両親の仇を討つことを決意する。

新刊発売と同時に図書館で予約したつもりがすでに200人待ち。
順番を待っている間にドラマ化が決まり(早っ)、
原作を読む前にオンエアされてしまう~と思っていた矢先に届いた一冊。
かなり期待させる紹介文句だったので、わくわくして読んだ。

意外な犯人に驚き、最後の場面でほろりと来て言うのもなんだが、
無難。
人は死ぬがさらりとした描写で全くグロさはなく、
残されたのはできすぎた主人公3人。
ドラマ化も納得。

「白夜行」には遠く及ばない。

「D-白魔山」

2008年10月11日 23時21分27秒 | レビュー
恐るべき力をもって世界を闇色に染める大貴族の棺をのせた飛行体が、白魔山に墜落した。Dはその棺を発掘し、「都」に移送する任務を引き受ける。だが、Dが山頂へ辿り着いた時、異変は始まっていた。

永い眠りから覚め、吹雪の荒れ狂うシーラ山中に甦った悪鬼ギルゼンと超文明の装備で固められた城砦、そして“聖なる従護衛騎士団”たち。傷を負ったDは、凶悪無残な貴族を倒すことができるか?

りんこは学生時代の読書の大半をこのシリーズを読んで過ごした。
もう狂っていたのよ。
ケチなりんこもこの本だけは購入していた。
が、この巻あたりから興味が薄れて読んでいない。

当時、この本を図書館で借りることなんて思いもつかなかった。
というより、自分好みの本を図書館で探すという方法をしらなかった。

いや、思い出した。
小学校までは、学校の図書館をよく利用していた。
児童書はたくさん読んだような気がする。
が、児童書を卒業した後の、
本とのかかわり方はとたんに減る。

私立図書館は冷暖房完備で、自習によく利用していたが、
どのように目当ての本を探すのか全くしらなかった。
本を借りてみたいと思うのだが、
新聞などの書評で面白そうな本をみつけて、
それを借りるという方法をまったく知らなかった。
両親は勉強のためりんこを図書館に行かせたが、
本の探し方は教えてくれなかった。
そもそも両親が本をほとんど読まない人だったので、
見本となるべき人がいなかったのだ。

りんこは今、ほとんどの本を図書館で予約して借りているが、
今の読書漬けの自分を見るにつけ、
どうして学生時代にもっと多くの本に触れる機会を与えてもらえなかったのかと、
悔やまれてならない。

話はそれたが、今になってDの読んでいないシリーズを借りてみる気になったのだが、読後の感想はやっぱり、もうこういうノリの本はムリ。
当時はSFにわくわくしたのだが、
もう荒唐無稽すぎて、失笑。
さよなら、りんこの青春。

「シズコさん」

2008年10月11日 23時04分31秒 | レビュー
私は、母の手をさわったことがなかった。抱きしめられたこともない。あの頃、私は母さんがいつかおばあさんになるなんて、思いもしなかった――。シズコさんは洋子さんのお母さん。結婚して北京で暮し、終戦、引揚げの間に三人の子供を亡くし、波瀾の人生を送る。ずっと母親を好きではなかった娘が、はじめて書いた母との愛憎。

なんか、りんこの母親への気持ちの整理の仕方のヒントが見つかればと予約した一冊。
時系列がめちゃくちゃで、何回も同じエピソードを持ち出して、
誤字なのではないかと思われる部分も何箇所かあって、
お金を取る読み物の完成度としてはどうかと思う所が多々あったのだが、
作者が70を過ぎたおばあちゃんであること、
母親への愛憎に共感できたことで、
りんこにとってやはり心に残る一冊であった。

この気持ち、母親に冷遇されたもの同士しかわからないよ。

「グロテスク」

2008年10月09日 14時29分19秒 | レビュー
世にも美しい妹ユリコを持つ「わたし」は、ユリコと離れたい一心でQ女子高を受験して合格し、スイスに住む両親と離れて祖父とふたり暮らしを始める。エスカレーター式の名門Q女子高は厳然とした階級社会であった。佐藤和恵という同級生が美人しか入れないという噂のチアガール部に入ろうとして果たせず、苛立つのを、「わたし」は冷やかに見守る。
夏休み前に母が自殺したという国際電話が入る。ユリコが帰国するというので、「わたし」は愕然とする。同じQ女子高の中等部に編入したユリコは、その美貌でたちまち評判になるが、生物教師の息子木島と組んで学内で売春し、それがばれて退学になる。和恵はQ大学から大手のG建設に就職した。―そして二十年後、ユリコと和恵は渋谷の最下層の街娼として殺される。

図書館の本棚から選んだ作品。
題からしてなのだが、りんこは桐野夏生と相性がいい。
「わたし」、佐藤和恵、どちらのイタさの中にもりんこがいた。
決してユリコ側の人間ではない、りんこが。

もちろんりんこはQ学園(探偵学園Qとは何の関係もない)のような世界には縁もゆかりもないのだが、階級社会で思い出すふしが。
りんこが再就職した会社は、大手損保だった。
そこはりんこのような雑草女が場違いな、
男性はエリート、女性は両家の子女っぽい集まりであった。
ほんとちょっと場違いだった。
いつもランチを共にした同期の中に、
有名お嬢様短大の出身者がいた。

Q学園はおそらく慶応義塾大学付属がモデルなのだろうが、
彼女はそんな感じのエスカレーター式の私立学校で中学から短大までを過ごしたお嬢様であった。
やっぱ、階級意識があって、りんこは見下されていた。
はああ、どおせ雑草女です。

ま、そんなトラウマはおいておいても、
佐藤和恵の娼婦姿に自分をかさねずにはおれない。

そして読後、この話が、東電OL事件をモデルにしていることを知り、
さらに衝撃を受けた。
「東電OL事件」という言葉は知っていたが、
東京電力のOLがアパートの一室で外国人に殺された程度の知識。
当時のマスコミが書きたてたという内容までは知らなかった。
実際のエリート女性が場末の娼婦として2重生活を送っていたことに驚きを禁じえない。



「ジェネラルルージュの凱旋」

2008年09月14日 15時04分35秒 | レビュー
 桜宮市にある東城大学医学部付属病院に、伝説の歌姫が大量吐血で緊急入院した頃、不定愁訴外来の万年講師・田口公平の元には、一枚の怪文書が届いていた。それは救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという、匿名の内部告発文書だった。病院長・高階から依頼を受けた田口は事実の調査に乗り出すが、倫理問題審査会(エシックス・コミティ)委員長・沼田による嫌味な介入や、ドジな新人看護師・姫宮と厚生労働省の“火喰い鳥”白鳥の登場で、さらに複雑な事態に突入していく。
 将軍(ジェネラル・ルージュ)の異名をとる速水の悲願、桜宮市へのドクター・ヘリ導入を目前にして速水は病院を追われてしまうのか……。そして、さらなる大惨事が桜宮市と病院を直撃する。

前作、「ナイチンゲールの沈黙」でもそうだったのだが、
今回は特に、人物が行方不明。
もう誰が誰やらさっぱりわかりますえん。

でもなんとなく最後はああ面白いんじゃない、と終わった。ような。

早く第一作の「チーム・バチスタの栄光」が読みたい。
でもりんこには医療現場が舞台のミステリーはムリっぽい。



「うつ恋」

2008年09月14日 14時50分54秒 | レビュー
こんな男が欲しいわけじゃなかった―――
女性編集者と落ちぶれ芸人が繰りひろげる
極上エンターテインメント恋愛小説!

柄にもなく恋愛小説に手を出してみたのだが、
ああなんだかりんことは世界が違ってムリ!
とっても読みやすくて面白かったんだけどね。
こういうのを読んで感じるむなしさってなんだ。
恋も仕事も一生懸命なイイ女。
もうりんこにかすりもしなくて感情の移入するスキが、ねえ!!

作者はトレンディードラマのプロデューサー。
道理で話がおしゃれだわ。
りんこはトレンディードラマとも再放送くらいでしか縁がない。

なにがりんこをこんなふうにしてしまったのか。
流行の服と化粧で普通に生きてこられなかったりんこ。
りんこにとって大事なのは調和より個性。

やっぱムリでした。

「女王国の城」

2008年09月14日 14時44分45秒 | レビュー
舞台は、急成長の途上にある宗教団体の聖地、神倉。大学に顔を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を訪れる。室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、そして就職活動中の望月、織田も同調、4人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。〈城〉と呼ばれる総本部で江神の安否は確認したものの、思いがけず殺人事件に直面。外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は決死の脱出と真相究明を試みるが、その間にも事件は続発し……。江神シリーズ待望の書き下ろし第4長編。

図書館で予約図書を受け取って、その分厚さと字の小ささにびっくり。
果たして読み終わるのか。
とっても魅力的な題だったのだが。

新興宗教とUFOの話のおかげでなんとか読み終えたのだが、
もう少し短くならなかったものか。
登場人物もりんこにしてはまいごにならずに読み勧められたのだが。
ひとえに、本格ミステリーというのに手を出したりんこが悪い。

「アッコちゃんの時代」

2008年09月14日 00時55分08秒 | レビュー
あの狂乱と豊饒の時代。地上げの帝王と称される男の愛人となり、キャンティの御曹司を有名女優の妻から奪って世の女たちの羨望と憎悪を一身に浴びた女子大生がいた。マハラジャの饗宴、赤プリの誘惑、キャンティの陶酔―煌めくバブルの東京を、無邪気に、奔放に泳いで伝説となった小悪魔・アッコの素顔を描く最新長篇。

予約図書がぱったり来なくなったので、
久々に図書館にある書棚から選んだ一冊。
林真理子なら大きくハズれないし、
読みやすい。

アッコちゃんて、和田アキ子のことか~なんて思いながら読み始めたのだが、
彼女とはまったく関係がなかった。
あえていうなら、登場人物の芸能人つながり。

時代はバブル。
りんこの青春もその時代であったのに、
バブリーな生活とは無縁の地味な生き様。
メッシーアッシーなんつーのはりんこには無縁だった。
ステディはいたんだがな。

アッコちゃんの美貌に男が引き寄せられ、
労せずに大金を湯水のごとく遣ってくれるという、
りんこが夢に描くたなぼたの世界が繰り広げられる。

小説の中にあふれる実名の芸能人たちになつかしさを感じつつ読了。
最後にどんでん返しがくるのかと思いきや
アッコちゃんは最後の最後までおいしい人生で、
うらやましい限り。

その後、書評を見るためにネットを検索したら、
なんとアッコちゃんに実在のモデルがいると知った。
ぎょぎょ驚き。
世の中に本当にこんなおいしい思いをしている女がいるなんて。
生まれ持った容姿でこれほど得をするなんて不公平だわ。
もちろん容姿だけではなく彼女の性格などもあるんだろうけどさ。

実物のアッコちゃんにすごく興味がわいたので、
本人の画像を調べたのだが、
事実きれいな人だった。
ああ納得です。

でも、小説としてはおもしろかったけど、
実物のモデルがいると知ると、
純粋には楽しめない。

厳しい義父とあったが、
こづかいをたっぷり与え高校生のころから渋谷での遊びをゆるしていた両親。
中学生の子どもを両親にあずけて深夜まで遊ぶ現状。
なんか、最後まで親のしつけがなってない。

人間関係で「キレそう!」になったら読む本

2008年08月31日 19時33分21秒 | レビュー
相手がなんと言おうと「どーってことない」。「キレずに済んだ」からこそ、今がある。73項目にわたり、気持ちと身体と人間関係の柔らかい保ち方を、モタ先生が語りかける。読むだけで気持ちが安らぐ1冊。

こういう本を借りてしまうりんこの精神状態もちょっとヤバい。
いやもう幼稚園の送迎がツラい。

が、本書の内容はどちらかというと会社での人間関係に対してのアドバイス。
まあ、あたりさわりのないことが書いてあって、あまり印象に残っていない。

人生のすべてのシーンで居場所のないりんこ。
もうやんなっちゃうなあ。


「もう誘拐なんてしない」

2008年08月31日 19時30分06秒 | レビュー
下関の大学生・翔太郎がひょんなことから知り合ったのは、門司を拠点とする暴力団花園組組長の娘・絵里香。彼女がお金を必要としていることを知り、冗談で狂言誘拐を提案したところ絵里香は大はりきり。こうしてひと夏の狂言誘拐がはじまった。
いっぽう、そんなこととはつゆ知らない組の面々。身代金を要求する電話を受け、「組長よりもヤクザらしく、組長よりも恐ろしい」絵里香の姉・皐月が妹を救うべく立ち上がる。キュートな姉妹、トボけた翔太郎、個性豊かなヤクザたちの活躍が楽しいユーモア誘拐ミステリー。

最後まで読んでミステリーのトリックは面白かった。
が、ノリが軽すぎ。
読みやすさを通り越してちょっと苦痛。
小説を読んでいるのに漫画みたいだった。
次はない感じ。

「最悪」

2008年08月01日 14時41分09秒 | レビュー
不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や、取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて転がり始める。比類なき犯罪小説

友人が読んでいると聞いて予約。
もう題からしてアレなんだが。
面白かった!!
読むほどに過呼吸ぎみになる。

この鉄工所という設定。
りんこの住む地域にも昔ながらの鋳物工場がたくさんあって、
経営や設備投資、近隣との騒音問題など同じように抱えていそう。
なんだかとっても身近に感じてしまった。

最後にチンピラの少年の母親が働いている場所が「柳ケ瀬」とあり、
りんこの実家の近くじゃんとびっくり。
作者の奥田英朗氏は岐阜市出身なのね。
って、この作者どこかで聞いた名前と思ったら「空中ブランコ」の人だわ。
その時も出身地同じ~と思った記憶がある。
しかも高校も近い。
「ブランコ」はそれほど印象に残らなかったけど、今回はイイ!

「償い」

2008年08月01日 13時30分59秒 | レビュー
医師からホームレスになった日高は、流れ着いた郊外の街で、連続殺人事件を調べることになる。そしてかつて、自分が命を救った15歳の少年が犯人ではないかと疑うが……。感動の長篇ミステリ。

ミステリーとしてはまあ面白い。
でも期待した感動はそれほどでも。
読後感はいいけれど、人に勧めるインパクトにはかける。