街角一代日記

『Machikado』walking

元の木阿弥

2015-12-08 21:47:43 | 日々の事柄
仕事帰りにおしゃれな100均に寄りました。
小さなホワイトボードを買うためにです。
冷蔵庫に貼って、タマゴやキムチの賞味期限や消費期限を忘れ得ぬようにするべく、生活にホワイトボードが必要でした。

見つからないので痩せた店員さんに案内を願い、果たして見つけたそれを物色していると、棚の向こう側から話し声が聞こえてくる。妙齢の、女性二人組の話し声でした。

『犬好きだったよね?』『ん?うん...』

向こうの側は文房具のコーナーだったので、何やら動物のキャラクター文具でも選んでいるのでしょうか。
なにやら気乗りしなさそうなもうひと方の応じ方が気になりつつ、ホワイトボードの仕様を確かめていると、わりとすぐにつづきがありました。


『...ごめん、自分の家の犬しか好きじゃないの』

そうなんですか!と思わず声に出しそうになった。
なんという正直さよ。

たとえば、犬を女に入れ替えて考えてみました。
女が好きと、自分の女が好き、とは似て死ぬほど非なるものでした。

でも、他とは違う。なついてくれる。関わるうちに、そんなふうになる気持ちは、頼もしくもあり、じつはもろいものかもしれないと思うのですよ。
例えばその声その髪だけで、その好きを見つけられるだろうか。元のその他に紛れても、本当にそいつを見つけ出せるだろうか。

飼い犬飼い猫飼い鳥のように、誰かを、自分の、と呼ぶことはとても危険です。
今は特別だとしても、油断できる事柄なんて何一つないのかもしれません。
人ひとりの外堀は、本当は果てしなく広い。倫理の枠をはずして、心の領域を入れてしまえば、なおさらだ。海並みに広い。
だから!万を辞して正体見せ合ったとしても、満足できなきゃ、いつだって心は沖へ沖へと逃げていく。そこにいたくても、逃げていく。
だけども逃げる方だって、本当はさみしいのかもしれません。
誰だって、逃げるよりは、自分の、のところに帰りたいんです。
あてどなく探す手立てを、かろうじて、好きと呼びたくなるのかもしれません。




1 コメント

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Unknown (もちきんちゃく)
2015-12-15 02:02:18
街角さん、お久しぶりです
おっしゃる意味がひしひしと伝わってまいります
こうかくと、すぐに書いているように思われるかもしれないけれども
ここまで書くのに、凄く時間かかっています。
記事の内容、わかる人にしか、わからない
わかる人には、凄く考えさせられることです
街角さん
俺今、風邪気味です
街角さん、風引かないように
気をつけてください
防火ポスターは、私が勤務するところには
必ず貼り付けてあります
同じように感じていたので、ドキッとしました。。。