オレンジ屋根のピエール

読書好きの覚書。(過去の日記は老後の楽しみ♪)

「銀のいす」(ナルニア4)

2006-05-30 21:00:00 | インポート
C・S・ルイス 作  瀬田貞二 訳
(岩波書店)

ナルニア国ものがたりの第3巻で、新たに冒険の旅に参加したユースチスと、学校の友だちジル・ポールが今回の旅の登場人物です。
ジルは学校でいじめっ子にいじめられていました。前回の冒険で性格がよくなったユースチスは彼女の唯一の味方でした。

彼らはいじめっ子に負われ、学校の裏手のしげみに隠れ、ユースチスはジルにナルニアでの冒険のことを話して聞かせます。

すると不思議なことに、彼らはいつのまにかそのナルニアの世界に足を踏み込んでいました。
それは本当は彼らが望んだからではなく(行ってみたいとはふたりとも話していましたが)、ナルニアの偉大なる王・アスランが呼び出したのでした。
それは彼らにある使命を果たしてもらうためでした。

ユースチスたちが前回カスピアン王らと海の冒険を終えてからナルニアではすでに70年ほどたっており、カスピアンもかなり老いてしまっていました。おまけに女王は毒蛇にかまれ命を落とし、王の息子・リリアンもまたあやしげな魔力にかかり行方不明となり、ユースチスとジルはリリアン探しをアスランに頼まれます。

但し、リリアン王子を探すにあたって忘れてはいけない4つのしるべがアスランよりジルに教えられ、それを唱えながらたよりにしなければならないと厳しく言われました。
彼らは無事にリリアンを見つけることができるのでしょうか?

この巻でもいじめられっこだったジルが、うまい冒険だったとは言いがたいけど、少し成長をとげ、ユースチスと真の友だちとなります。
そしていじめっ子や、やや問題があったと思われる学校の校長にも罰が加えられるところもあり、(文章中にもよく出てくるのですが)ルイス自信が感じていたであろう、当時の新しい教育観念に対する憂いをこの物語にうかがうことができます。

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「だれも寝てはならぬ」

2006-05-26 09:32:00 | インポート
ガース・ニクス、マーガレット・マーヒー他著  
(ダイヤモンド社)

トリノオリンピックでもこの題名を何度聞いたことか。
しかしここで紹介するのは、オペラでももちろんフィギュアスケートでもありません。

ヤング・アダルトの本ですが、それこそ読んでるあなたを寝かせませんよ、という意味で付けられた題名でしょうね。
様々なジャンルの作家たちが集結した、ちょっとミステリアス&ワンダラスなお話を網羅した短編集。

第1部 「少年はおののく」
8人の作家による「トワイライトゾーン」のような奇妙なお話は、夜も眠れない・・・?

第2部 「これでもかというほどに―」
こちらは9人の作家が書いた、不思議でおもしろいお話を集めてあります。

この本はチャリティ「ウォーチャイルド」(旧ユーゴスラビアの内戦で被害を受けた子供たちを救うべく創設された団体で、その後もルワンダ・スーダン・コソボなどの戦争で苦しむ子供たちを援助している)に、収益の一部を寄付しています。

このお話の中にも、フォークランド紛争関連と思える内容の物語(戦争の真っ只中にいる父親がまだ幼い息子の10歳の誕生日に宛てた手紙に、―もしその手紙が読まれるときは自分が戦死しているだろうことを意味し―父の息子への思いが切々と語られている)が入っていて心を打たれます。
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