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髑髏城の七人 Season鳥 ③

2017-09-03 18:04:33 | 観劇記
劇団☆新感線 髑髏城の七人 Season鳥
7月23日・31日(ライビュー)、8月5日・19日・26日 @IHIステージアラウンド東京

役者さんについては既に書いたので、ここでは舞台全体の感想をと。
(まさか③になるとは思ってもみなかった・・・)

まずとにかく今回の鳥髑髏は「あぁ~!!新感線ってこうだよね!!」って思わせてくれる舞台でした。
カッコ良くって、笑いもあり、切なくもあり、そしてひたすらカッコ良い。
あとあの歌の入り具合!
OPの無界屋のシーンで極楽太夫率いる無界屋女子達が歌い踊るのを観て、「そう、これよ!これ!!」とと胸踊りました。
捨之介を助けに髑髏城にのりこむ時にはなんとTAKIさんの歌声が!!
いやぁ~もうめっちゃテンションあがりました。
そして単に派手で楽しいだけでは終わらせずに、しっかりとしたドラマ・ストーリーをみせてくる。
ここ最近の新感線の作品の中で、お芝居としてもすごい見応えのある内容だったなと。
キャストが違うとはいえ同じホンをこうも変えてくるなんて。
中島かずき&いのうえひでのり おそるべしです。

歌&ダンスを取り入れた関係か、カットされているシーンもまぁまぁあり、逆にそれがスッキリしていて良かったなぁとも。
(天魔王の敦盛は観たかったけど・・・)

捨之介のキャラ改変により、諸々と設定も変わっていて。

特に今回強く感じたのは、「信長という存在の大きさ」。
殿の死後、捨之介も天魔王も蘭兵衛も皆、大きな思いを胸に抱きながら苦しみながら生きてきているというのが、すごく明確に描かれているなと。

一番最初に三人が揃った場面で、天魔王が蘭兵衛に対して殿の最後を告げる場面。
末來君天魔と太一君蘭の二人のやり取りも圧巻で息を呑むかのように見入ってしまうのですが、その二人を見ているサダヲ氏捨の表情もまた印象的で。。。
殿の死後、この二人がどんな思いを各々抱きながら生きてきたのか、その思いの強さを知り圧倒され、そしてまた自分を責めようとしているような気がしてね。

捨之介自身、野武士に襲われた村を助けずに自分が早く謀反の知らせを伝えていれば殿は助かったのかもしれないと後悔している。
いや、後悔はちょっと違うか・・・。
多分あの捨には村を見捨てるということは出来ない気がする。
上手い言葉が見つからないけれども、「助けた」ことへの後悔というよりも、自分の性格を悔やんでいるような気がする。
信長の死後、そのことがずっと捨には厚い雲のように覆いかぶさっていて、傷にもなっている。
だからこその「3日で戻る!」と言った時に蘭から「お前を信じろというのか?」と返された時のあの哀しい表情。。。
サダヲ氏、ほんと何ていう表情をするんだと。。。
そしてその後の「俺は大きな過ちをおかした~」の台詞よ。
ほんとこの人の台詞は一つ一つすっごい胸に響いてくる。
単なる「良い声」とかではなくって、求心力のある声とでも言うのかな。

そして天魔王。
今回の天魔王、私すごい好きです。
殿への思い入れが人一倍強かったのではないだろうか。
にもかかわらずその殿が自分の寵愛する蘭丸の名だけを口にし、しかもあれほどまでに夢みた天下取りのことは忘れろと言う。
それを聞いた時の無念、悔しさ、怒りはどれほどのものだったのだろうか。
「そんなのは殿じゃない!!」。天魔王の心の叫び。
そしてその屈折した思いを天魔王に聞かされた時の蘭兵衛。
「謀ったか」と応ずる蘭兵衛の切なさ哀しさ苦さ。
この場面はほんと圧巻でした。

天魔王と蘭兵衛の関係が濃密に描かれている分、捨之介と蘭兵衛・天魔王の関係はかなり淡泊な印象でした。
淡泊というかむしろ、信長とのそれぞれの結びつきは強いものがあったけれども個々としては接点がそこまで強くなかったのかなと。
多分蘭丸ってほんと特別な存在、ちょっと雲の上的な存在だったのだと思う。
無界屋襲撃の時、あの贋鉄斎でさえ蘭兵衛に対しては「蘭丸殿、貴殿まで・・・」と「殿」付だったし。
捨は「地を這うもの」として信長に仕え信長から絶大な信頼を得てはいたけれども、蘭丸のように目に見える形で重用することは信長はあえてしなかった。
だから天魔王にとって、捨之介は「所詮は地を這う者」であり、取るに足らぬ存在として気にもかけていなかったのでは?
だからこそ、捨に殿の鎧の秘密を聞かされた時の天魔王の絶望・哀しみは相当なものだった。
「人は哀しい」と何度も口にしながら、誰よりも哀しい運命にあった天魔王。
天魔王について今まで以上に深く掘り下げた結果、すごく見応えのある作品になったのでは?
一人二役の時は影武者としての捨之介と沙霧という構図が根幹にありそこが大きなテーマになっていたけれども、それがないワカと花には少し物語としての弱さを感じていたというのも正直なところでしたし。。。
今回の鳥髑髏は天魔王を分けた意義と言うか、分けたバージョンの完成形みたいな感じに思えました。

百戦錬磨の準劇団員を揃えての鳥髑髏。
笑いも切なさも歌もダンスもあって、ひたすらカッコ良い!!
「これぞ新感線!!だから新感線大好き!!」と心の底から楽しめた満足感いっぱいの作品でした。

そして最後にもう一度。
鳥髑髏最高!!やっぱ阿部サダヲ凄い!!サダヲ氏の捨大好きだーーー!!

以上!!





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