経済の破綻と威信低下で“内向き”になるアメリカ
アメリカの財政は破綻し、世界の警察官役をやっている余裕がなくなった。中国、インド、ブラジルなど非米国家の台頭で世界は多極化に向かっている。
米軍が占領しているイラクは依然不安定であり、アフガニスタンではゲリラ戦が泥沼化している。ブッシュ政権の後半からアメリカは単独覇権主義を言わなくなった。オバマ大統領はヨーロッパとの関係修復に躍起だ。パキスタンはゲリラ活動が活発化した。パキスタン情勢の悪化でアフガニスタンへの補給路が必要になった。またイラクに圧力をかけるためにも、ロシアに接近しつつある。米露は核の削減を話し合った。オバマ大統領が言う、“核のない世界”を目指すという美名に幻惑されてはならない。アラブも中南米も反米だ。
抑止力・影響力の低下を極力抑えつつも、経済が破綻したアメリカは“内向き”の国にならざるを得ないのだ。
米軍は日本から引き揚げている
ブッシュ時代のアメリカは名実共に世界で突出した強い覇権国だった。好きな世界戦略を展開できた。しかし今のアメリカにその力はない。アメリカは、世界にある米軍施設のうちドイツや韓国、日本などの施設を縮小・閉鎖し、軍事費の削減を図っている。日本では、米軍の再編が進んでいる。日本本土の米軍基地は日米共同使用、沖縄の米軍はグアムへ移転する工程表(ロードマップ)も決まっている。日本国内にはすでに米陸軍の戦闘部隊は駐留していない、有事駐留である。
米軍の再編が進めば日本に駐留する米軍は、小沢が言うように“第7艦隊”だけになるといっても過言ではない。
小沢は、米軍再編に必要な資金を日本に出させるための環境作りだ、日本を取り巻く安全保障環境が劇的に変化するぞと言ったのだ。日本人は惰眠から目覚め自立せよと言ったのだ。小沢はアメリカの本音を代弁したのだ。
アメリカは“中国に後を任せた”
6ヶ国協議は、中国に地域的覇権を持たせる“教育”の場である。日本だけでなくアメリカ、韓国、そしてロシアも、北朝鮮に対する議長国中国の影響力に期待する始末だ。死活的利益のある中東に注力したいアメリカとアジアの覇権を確立したい中国の思惑が一致したのだ。6カ国協議だ中国したいだ。
中露はMDの対象外
“MDは中露を対象としたものでない”とゲーツ国防長官は下院公聴会で言った。弾道ミサイルを多数保有する中露をミサイル防衛構想MDからはずしたと読売新聞が報じている。“ならず者向け”国家を対象にしたというが、アメリカは、昨年、北朝鮮に対する“テロ支援国家”の指定を解除した。 北朝鮮がミサイルを発射した時、ゲーツ長官は、アメリカに届かなければ撃墜しないと言った。日本が射程下に入ってもアメリカは傍観するということだ。そして、北朝鮮が、ならず者国家でなければ、日本が配備・開発を推進しているMDはなんのためか。日本の姿は滑稽だ。
国連の決議の行方は不透明である。スタインバーグ米国務副長官率いる米政府代表団は6月5日、北京で中国の外相らと北朝鮮核実験への対応を協議した。北朝鮮制裁のため打ち出したとされるアメリカ独自の金融制裁強化や国際社会の金融制裁に対し、北朝鮮制裁に慎重な中国の姿勢は変わらなかった。
国連における北朝鮮制裁についての論議は、中国の毒餃子事件のようにうやむやになりそうな気配だ。アメリカ(国務省)は日本の肩を持っているよう見えるが、北朝鮮のミサイル発射、核実験にゲーツ長官(国防総省)は融和的だ。中国の東アジアにおける“覇権”確立に向けた米中結託の動きだろう。
新たに中国大使に氏名された共和党系のユタ州知事ジョン・ハンツマン氏は、駐シンガポール大使を歴任した人物。シンガポールはアメリカのアフガンでの戦闘に貢献している華人国家、中華世界の国だ。そしてハインツマン氏は中国語が堪能で、中国から養女を向かいいれている、中国にとっては“親戚”のような人物だ。 米中は裏で気脈を通じている。
アメリカは、軍の再編を行っている。アメリカが去った後の東アジアの安全保障の仕切り役を中国に任せたいというのが本音だ。 やる気も力も無い日本に代わって中国が東アジアの覇権を握るということだ。
惰眠から目を覚ませ!黒船来襲だ!
世界の情勢は複雑怪奇、東西冷戦が終結して久しい、ヨーロッパの共産党政権は崩壊した、日本の社会党も没落した。アメリカの経済は破綻した。かっての強さはない。日本の防衛については、1997年の日米防衛協力のための指針で、“日本の本土防衛の一義的責任は自衛隊にある”と明記されている。ニクソンが言い出した“自分の国は自分で守れ”・・・・・当然のことであるが・・・・・という、アメリカの考えはすでに実行に移されている。
小沢は、“アメリカのプレゼンスは第7艦隊だけでいい”と言ったが、これはでたらめではない。21世紀の日本の安全保障体制は、従来の発想、取り組みを根底から見直すべきだと言ったのだ。 新たな環境作りに日本は金を出せとのアメリカの本音を代弁したのだ。
戦後64年になるが、この間、日本人はアメリカが何時までも日本を守ってくれると錯覚してきた。日本の安全保障について関心を持たなかったし、考えなえもしなかった。“脳死状態”だった。 今まさに、第二の黒船来襲だ!日本に問われているのは、アジアの平和構築にいかに貢献し、どう生きるかだ!
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