いじめ研究で著名な内藤朝雄先生(
内藤朝雄先生のHP) が、子ども向けに書かれた本『いじめの直し方』(イラストは荻上チキさんです;イラストも非常に素敵です♪)について、もうちょっと書きます。
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11/28の記事)
内藤先生の他の著作でも書かれていることですが、いじめの問題は
「学校の仕組みを変えないと解決しない」
だそうです。個人個人の問題もさることながら、現在の「学校」というのは「いじめが起きやすい環境」なので、その「仕組み」を考え直すべきだと主張されているのが特長だと思います。
この本の冒頭には、タイトルの「直し方」という言葉に触れて、このように書かれています
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「治す」という漢字は、人間に問題があるときに使う。
「直す」という漢字は、仕組みに問題があるときに使う。(P2)
いじめが起きる環境を変えることと、いじめが起きる環境から脱出することが重要になる。君はそのままでも幸せになる権利を持っている。 (P4)
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例えて言うならば。私は某企業のシステム部門で働いていたことがありまして、その経験で考えるならば、
「詳細なマニュアルを作るより、ユーザーが間違えにくいシステムを作るべき」
ということがあります。ユーザーの一人ひとりに、「このボタンを押すと不具合が置きますから、絶対に押さないでください」とマニュアルに書いたり、ユーザーにしつこく注意を促したりするより、ユーザーが間違ってそのボタンを押したりしないとか、押しても不具合が起きないようなシステムを作るほうが、ずっとまともな
「正しい仕事」
です。
同様に、学校内でいじめが頻発するならば、子ども達ひとりひとりに「いじめをしてはいけない」だの「いじめに負けてはいけない」だのと説諭するだけでなく、
いじめの起きにくい環境をつくるとか、いじめ被害者がいじめ事件からすぐに避難できる環境をつくるとか、そういうことが
「大人たちの正しい仕事」
ではないかと思うのです。
*
我が家も、娘が学童クラブでいじめに遭った経験があって、本当に頭にくる日々だったのですが、幸いに、クラブをやめることでいじめから逃れることができました。しかし、もし地元の小中学校でいじめに遭ったとしたら、「やめればいい」という話でもありません。しっかりと対処するための知恵が必要となります。
去年、娘がいじめに遭っているとき、知り合いに相談したりブログに書いたりしていたところ、非常に多くの「うちの子もいじめられた経験がある」という話を聞きました。ご年配の方から若い現役ママまで、いろんな年代の方が、いじめで苦労した話、どのように対処したかの話をしてくださいました。
昔も今も、いじめは常に発生しているわけで、そうなると、個人個人を説諭して済む問題では無いのだと思うのです。根本的に解決するならば、今の「学校」や「教育」の仕組み、制度を考え直すべきです。
いじめに悩んでいるお子さんやそのお父さんやお母さん、また、保護者間でのいじめなどに悩む方々、そして先生方に、この本の存在を知っていただきたいと願っています。
もちろん、今のような「固定された学級制度」に問題があるとしても、いじめ被害者の親が訴えたところで、すぐに改善されるわけではありません。しかし、
「このような環境ではいじめが起きるのは必然なのだ」
と認識していれば、変に「自分が悪いのではないか」だの「うちの子に問題があるのではないか」だのと悩む必要は全く無くなります。それより、ずっと前向きな解決方法を考える方向へ思考が向くと思うのです。
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