肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『五線譜のラブレター/DE-LOVELY』、観ました。

2005-09-26 19:47:01 | 映画(か行)
五線譜のラブレター 特別編

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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 『五線譜のラブレター/DE-LOVELY』、観ました。
1920年代のパリ。作曲家コール・ポーターは社交界の集まりで出会った
上流階級の美女リンダと惹かれ合い、まもなく結婚する。リンダは
ポーターの作曲活動を支える存在となるが、その一方、ポーターには
同性愛癖があった‥‥。
 これは実在した音楽家の半生を描く、いわゆる一介の伝記映画ではない。
彼が世に送り出した“華やかな名曲”の裏で、愛し合い、傷つけ合った
“夫婦の愛の物語”だ。観ながらボクは感情移入を止められず、最後は
年甲斐もなく大泣きしてしまった。中でも、主人公の妻を演じるところの
アシュレイ・ジャッドが絶品。夫の裏切りに耐え、それでも素知らぬ顔で
愛し続ける“彼女の笑顔”が痛々しい。彼女が微笑めば微笑むほどに
その哀しみは増していき、観ているボクは辛くなる‥‥。
 さて、古き良きハリウッド映画を思わせる、ムーディでゴージャスな
ミュージカルシーンの数々‥‥、しかし、その一方で何とも切ない
ラブストーリーが展開する。この映画のユニークさは、その対極にある
二つを結びつけるために“死神”を登場させ、死期の迫った主人公に
過ぎ去りし妻との思い出を、ミュージカル舞台劇として上演させるのだ。
なるほど、そう思えば“人の一生”なんて、歌あり、笑いあり、涙ありの
《人生劇場》みたいなもの。ただし、決定的に違うのがひとつだけ‥‥、
「人生」はミュージカル映画のように必ずしも“ハッピーエンド”じゃ
終わらないってこと。それゆえに、ラストシーンの“華やかさ”が、
彼の“孤独な人生のフィナーレ”をあざ笑うようで………(涙)。


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