肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ロング・エンゲージメント』、観ました。

2005-09-29 15:25:34 | 映画(ら・わ行)
ロング・エンゲージメント 特別版

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 『ロング・エンゲージメント』、観ました。
軍法会議で死刑を宣告された5人の兵士は、敵との中間地帯に放り出される。
その兵士の1人にマチルダが愛する恋人のマネクが含まれていた。5人の兵士は
死んだとされているが、マチルダはマネクの消息を追う‥‥。
 舌を噛みそうな(フランス)兵士の名前が五つ、、観始め当初は誰が誰やら
覚えきれずに四苦八苦。もしかしたらこの映画、映画館で観た人にはちょっと
キツかったかも。せめて、みんなが“名前付きワッペン”でも付けてくれれば
楽なんだろうが(笑)、ボクはDVDで何度か巻き戻して…、やっと40分過ぎ
あたりからノッていけたかな。監督は前作『アメリ』で世界中に一大センセー
ショナルを巻き起こしたジャン=ピエール・ジュネ。勿論、映画の出来が
悪いはずはないんだけどね。
 さて、ファンタジックな映像と、空想好きのヒロインは『アメリ』と同じ。
ただ、今作の場合は“戦争”が舞台となっているせいか、“希望”のあり方に
かなりの違いが見える。『アメリ』のヒロインが、あふれる希望へ猪突猛進、
一目散に駆け出したのに対し、今作『ロング・エンゲージメント』のヒロインは、
今にも切れそな僅かな希望にすがり付きながら生きている。この映画の
良さは、「反戦」のテーマを“兵士が戦い死んでいく姿”に描くのではなく、
臆病者として逃げ回ってでも“生きていることの価値”を問いかけている点だ。
しかも、それを待つ側の(待つことしか出来なかった?)女性の立場から描いて
いるのも共感できる。戦場で“命”がひとつ消えるたび、この世の“愛”が
ひとつ砕け散り、残された者たちの“哀しみ”がひとつ生まれくる。そして、
残された彼らは戦争が終わった後もずっと…、その“痛み”を背負って生きて
いかなくちゃいけないんだ(涙)。


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