『キングダム・オブ・ヘブン』、観ました。
父親が勇敢な騎士ゴッドフリーと知った鍛冶屋のバリアンは、十字軍に
入隊、戦いに身を投じる。たくましい騎士に成長したバリアンは、やがて
エルサレム王を助け、美しい王女シビラと禁じられた恋に落ちるが……。
監督はリドリー・スコット。恐らく、物語の時代設定からして『グラ
ディエーター』に近い“歴史活劇”だろうと想像したが、観ていく過程で
アレレ…??、これはチョッピリ雲行きが怪しいゾと思い始める(笑)。
「魂の救済」から始まって、「信仰心」や「良心」や「正義心」について‥‥、
今作では意識して人間の内にある“神聖なる部分”を描いている。勿論、
戦闘シーンもあるにはあるのだが、そこに“明白な敵”は存在せず、
血沸き立つようなスリルもない。むしろ、「神の視点」から戦争の全体像を
通して、“人の愚かさ”を映し出している。正直、娯楽嗜好の強い(?)
リドリー・スコットが、このような“宗教色の強い映画”を手がけるとは
思わなかった。良い意味で、ボクの期待を見事に裏切ってくれた作品だ。
さて、この映画のテーマを探る前に、是非とも注目したいキーパーソンが
ひとり‥‥、その姿の醜さゆえに、鉄のマスクをはめたエルサレム王の存在だ。
恐らく彼はライ病だと思われ…、己の醜さと、自身の残り少ない寿命を
知っている…。いや、だからこそ、人が神から与えられた“短い人生”の
中で、互いに争い、殺し合うことの無意味さを悟ったともいえる。ボクが、
この映画を観て感じたことは、ときに「神」は“人間の都合”によって
創造され、利用されてきた“虚像の一面”を併せ持つってこと。「神が
認めた戦争(聖戦)」とか、「平和のための戦争」とか、そんなものは
単なる“言葉のすり替え”に過ぎず、人間が“富”や“権力”欲しさに
引き起こす…、それが「戦争」なのだってこと。もしも、この世界に“天国
(パラダイス)”があるのだとしたら、それは“神”が創るものじゃない。
人々が汗を流し、その手で作り出すものなんだ。
お引越しお疲れ様でした。
顔の見えない王様、素敵でした。
こちらの記事にもTBいただいてかえります。
またどうぞよろしくお願いします。