肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『LOVERS』、観ました。

2005-09-25 11:38:04 | 映画(ら・わ行)
LOVERS

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 『LOVERS』、観ました。
中国、唐の時代。政治の腐敗で各地に反対勢力が台頭。その最大勢力
「飛刀門(ひとうもん)」撲滅のため、遊郭に潜伏する盲目の踊子シャオメイに
2人の官吏が素性を隠し接近する‥‥。
 例えば『赤いコーリャン』以来から、チャン・イーモウを慕うオールド
ファンにしてみれば、歌と踊りとアクションがいっぱい、、この娯楽活劇に
徹した映画作りを如何思うのか? 彼のファンの間でも評価が真っ二つに
分かれそうな作品だ。ただ、ボクとしては《変わっていく様(さま)を
見せるのが“プロの監督”》だと思ってるので、今回の彼の変化は“好意的”に
受けとめています。だって、クロサワも、フェリーニも、ヴィスコンティも、
初期の“リアリズム”から後期は華麗なる“様式美”へと移っていったわけだしね。
そしてチャン・イーモウしかり、これは“新たな可能性”を前向きに追求する、
「大監督」としての自然の流れなんだと思うよ。
 さて映画自体は、味方と思った奴が敵になり、敵だと思った野郎が味方へと
変わる、、二転三転する複雑な展開だ。正直、途中で「あれ?、つじつま
合わないじゃん」って思うこともあったんだけどねぇ~(笑)。まぁ、この際、
そんな細かいことは抜きにして、結局ここでチャン・イーモウが描きたかったのは、
めくるめく色彩の映像美に対比して描かれる“人が争うことの醜さ”なんだってこと。
例えば、あえて決着をつけない形で終わらせるラストの決闘シーンもそのひとつ‥
そこに“勝者”は存在せず、僅かに残ったものといえば、冷たくなったひとつの
死体と、その悲しみに暮れる人の涙だったという運命の皮肉、、、映画序盤の
華やかさから一転して、ラストは悲劇の余韻が支配する。やはりこのあたりは
チャン・イーモウらしい、これまでのワイヤー・アクションとは一線を画す
一歩進んだアジアン・エンターテイメントに仕上がっています。


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