新・まちづくらーの地域づくり日記

日々取り組んでいるまちづくりやむらづくりの様子をご紹介していきます。

千葉大・広井先生のセミナー

2014年06月14日 10時47分20秒 | 技術論など
梅雨に入っていますが、関西は雨が降るといってもパラパラ程度の日が多く、空梅雨になってしまうのでしょうか・・・関東以北は大雨の日が多いようで、今年も何ともヘンな気象です。

さて、5月の末から公私ともにバタバタしており、ブログどころでは無かったのですが、そんな最中、以前より予定していた都市計画学会のまちづくり懇談会(東京・丸の内での開催)に参加してきました。
私の研究レポートなどで度々著書を引用させていただいている千葉大学の広井良典先生のセミナーでした。ぜひどこかで一度、直接お話をお聞きしたいと思っていたので、まぁ、悲願達成・・・といったところでしょうか。
定常型社会という概念を提唱されている先生で、私も先生のコミュニティ論に共感し、また、参考にするところが多いのです。
直接お話をお聞きし、その著書を読んだだけでは伝わらない考え方などを直に感じることができました。


先生曰く、価値観を“時間軸”から“空間軸”に変えなければならないと。
右肩上がりの成長の時代から、成熟社会に変化し、しかも急激な人口減少、少子高齢化に突き進んでいる我が国にあっては、種々の政策、施策、モノの考え方を変えなければならないと。
これが正に“定常化社会のパラダイム”だと。多極集中という言葉も使っておられました。
国交省が農山村地域で進めている“小さな拠点”という政策、考え方も、これに通ずるものであることが容易に想像できます。

1時間ちょっとのお話だったこともあって、論理的かつ体系的に講演内容を整理されており、その論理的な考え方、理論の凄さをより一層感じることができました。

ただ、これはいつも関東圏の専門家の方と話をしていて感じるところですが、現場で直ぐさま使える理論かというと、なかなかそうでもない。
失礼かもしれませんが、やはり、まだまだ東京一極集中の時代にあって、首都圏に拠点を置かれている先生方の若干物足りなさというものも感じます。

“空間軸”で考えるというのは、実務をやっている私も強く考えるところですが、では、その空間を、どの程度の範囲で考えるのか・・・
最近、消滅自治体で議論沸騰していますが、この解決策においても、やはり、じゃあどの程度の空間範囲で持続性を保っていくのか。そこが難しいのです。
地域特性はそれぞれ違うので、空間で考える時も、勿論、地域地域で違うのは誰でも分かるのですが、しかし、これだけ対処していかなければならない地域地区が数多くある中で、一つ一つカスタマイズして考えていくのか・・・
正直、私もそこまで時間と労力がかけられない・・・というのが本音です。

だからこそ、平成22年の国交省の研究助成でも、その範囲のモデル化に取り組んだのです。
今の小学校区、中学校区なのか、旧村単位なのか。
何か目標やモデルみたいなものが無いと、なかなかコミュニティ再生や地域再生の処方箋を、これだけ多くの地域地区には提供できない。私も支援できない。体も頭も一つなので・・・

ひょっとしたら広井先生の中にも、その一つの考え方があるのかもしれませんが、そこまでお聞きすることができませんでした。
セミナー後、先生と少し立ち話をした際にも、先生ご自身、哲学や倫理学がもともとも専攻で、まちづくりや都市計画、農村計画が専門ではないので、現場の知見が少し手薄とおっしゃっていました。
ぜひ先生の理論に、数多くの現場の実態が被さってくると、もっともっと強い決定打(抜本的な解決策)が打てるのではないかと感じたところです。

とは言え、やはり直接お話をお聞きし、またお話させていただいて、ますます興味が湧く、とても参考になる理論だなぁと、そして、たいへん魅力的な先生だなぁと、得るものが多かったセミナーでした。自分の目で見て確かめて・・・これが重要ですね。本だけでは、そこまで読み取れません。

ではでは。