ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

消えていくものを惜しむ・・・

2014-06-16 23:55:46 | つれづれ

 

時代とともにかわっていく道具は、忘れられてもしかたありませんが…。

ヨコ文字ばかりが並ぶ現代、そんなことまでカタカナでいわんでもえぇやん…と思うことも多々あります。

昔、カメラを写真機といいました。私の母なんかも、結構いつまでもひょいと「写真機」と言ってました。

さすがに蓄音機、は、私も子供のころの記憶しかありませんが、通っていた小学校が古くて、

まだ低学年の運動会のとき、ハンドルを回す「蓄音機」でした。

途中でみょぅ~~に、曲が間延びしましてねぇ。すると先生があわててハンドルを回す…。

いまや蓄音機ってナニ…です。

 

昨日、鴨居とか長押の話をしましたが、鴨居と敷居は二つでひとつ。

昔、敷居は「鴫居(しぎい)」であったと言われています。上に鴨が居る、下に鴫がいる、どちらも水鳥です。

木と紙で家を作っていた日本では、火が一番恐ろしいものだったから、

「水鳥さんがいるところには、水がある」で、火事除けの意味があったと言われています。

 

以前「畳の縁」を踏んではいけない…という話が出たとき、若い友人は「畳のフチ」と言いました。

確かに字は「縁」とかいて「フチ」なのですが、畳の場合は「ヘリ」と読む…というと「へぇぇぇ」。

まぁ畳のない家に住むと…なのでしょうね。

ちなみに「ヘリ」を踏むなというのは、一つには「畳のつなぎ目である縁部分は

、床下から刀や槍で突き上げられる恐れがあるため、武士は決して縁の上に足を載せなかった…という説と、

もう一つは「ヘリ」の部分はそこだけ布で、しかもいいものは金襴などです。

毎日そこを踏んでいると、ヘリだけ傷んで擦り切れるから…。こっちの方が説得力ありますわ。

えぇこれ我が家の畳のヘリ、端っこ擦り切れてます。我が家の畳は、リビング内に4畳半分だけ、

息子のために敷いてあるのですが、中はなんだかわからない断熱材みたいな素材で、

畳は薄く、18年使ってきたら畳の目がよって中身が見えてる…。

上に大きな敷物を敷いているのでそのままですが、畳を替えようかなぁと…思っています。

 

箪笥は一棹二棹と数えることも、今は知らない人がいますが、元々は「長持」が衣装入れでした。

庶民は行李とか葛篭、木製の大きな長持は、裕福な家のものでしたが、

運搬のために長持の側面に棒を通す金具を付けていました。

遠距離運ぶときは、その金具をおこし棒を通して担ぐ、

家の中などの移動のためには、小さい車輪を付けた「車長持」が使われたそうです。

箪笥は意外に歴史が浅く、一般的に使われるようになったのは江戸時代。

その箪笥も、運ぶときにたいへんなので脇に金具をつけて、

長持と同じように、棒を通して運びました。なので、棒、つまり「棹」を通すから一棹、二棹、です。

また箪笥の引手、これを「かん」と言います。字は「鐶」。

なぜ鐶というのかわかりませんが、母は「箪笥の前通ったらカンカン言うからや」なんて言ってました。

鐶を知らない人もいるでしょうねぇ。

中村芝翫という江戸時代の役者ですが、当て字で染めた手拭いは、4本線の間にこの箪笥の「鐶」が、

並んでいるもの、4と鐶で「しかん」です、。この柄は「芝翫縞」といわれて、今も残っています。

こちらです。

 

         

 

着物の柄のなかにも、今は使われていないものの名前が出てきたりします。

着物の柄を「これ何の柄だろう」と、考えてみるだけでも、楽しいことだと思います。

無くなっていくのが仕方のないこともありますが、日本語の深い美しさとして、

覚えておいてほしいものは、やっぱりたくさんありますわ。

あっ時間切れです。おふろです。すみません。

 


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (古布遊び)
2014-06-17 08:47:09
そうなんですか!
そういう由来があったんですねーー今朝はとてもお勉強したかんじ(笑)。

こうした説明を読むと納得、というか忘れませんねーー楽しく読ませていただきました。
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Unknown (とんぼ)
2014-06-17 12:19:33
古布遊び様

古布遊び様

古いものは、いろんな逸話とか語源とか、
いわれとかがあります。
どれが正しいということよりも、
なんだかおもしろいなぁと思っています。

あ、昨日コメントいれましたが、
あの「素材」、科布じゃありませんかしら。
ツヤと織りのハリの感じが…。
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Unknown (古布遊び)
2014-06-17 16:12:12
ありがとうございます。
今、気が付きました(笑)。
実は私ももしやと思ったりもしたのですが、実のところこれが正真正銘の科布というのもを手にしたことがないのです。
で、???という事なのです。
でもちょっと違うかなあと思ったりしています。
いかにも自家織という感じのもので決して上手なというものではないのですが素朴感がいい味です。
多分風呂敷みたいにして使ったのだと思います。名前まで入っていました。
昔のものはいろいろ想像を膨らませると面白いですね。

ありがとうございました。
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畳の縁 (ちゃちゃ)
2014-06-18 15:26:44
今日もいろいろ学びました。

畳の縁は傷むから踏まない

こちらの方がしっくり来ますよね。
江戸時代の畳はわかりませんが、
ぴったり合わさった縁と縁の間より
畳ごと気配を察して刺しますよね。

我が家の畳もボロボロなのですが、
家具の移動を考えると
畳替えが面倒です。
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Unknown (とんぼ)
2014-06-18 21:04:03
ちゃちゃ様

縁のない琉球畳を敷くのが夢ですが、
あれは高いっ!ほんとに高いっ!
日本人なら畳でしょ、と思うのは、もう古いのでしょうか。
我が家の畳も、色は変わってるし、目は割れてるし…
なんとかしたいなぁ…です。
返信する
Unknown (とんぼ)
2014-06-18 21:10:56
古布遊び様

遅れてすみません。
私も実物は、ハギレともいえない小さなものしか
触ったことないんです。
昔は麻や木綿もないようなところの…というものでしたが
今や高級品ですものね。
これと芭蕉布、ほしいんですが…ムリ。
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