東京流行通訊

東京に暮らす中国人が見た、リアルタイムのこの国のすべて・・・

作家、李鋭氏が来日

2007-12-03 11:56:21 | 星:芸能・ドラマ・音楽

国際交流基金の招待で、中国人作家の李鋭(リー・ルエイ)氏が11月2日から15日まで日本を訪れ、在日中国人作家、毛丹青氏と共に大阪、東京、仙台、北海道の函館で「中国と私の文学の道」と題した講演会を行った。魯迅が留学していた仙台では、魯迅が講義を受けた階段教室も見学した。

国際交流基金の応接室で、口ひげをはやした李鋭氏は真剣な表情で記者に対して訪日の感想を語った。彼によれば、今回は清水寺や嵐山だけでなく、六本木や銀座も歩いたが、最も印象が深かったのは、織田作之助の小説「夫婦善哉」や藤島恒夫の流行歌「月の法善寺横町」の舞台である法善寺横町だったとのことだ。

その晩、毛丹青氏に連れられて、李鋭氏は赤提灯のともった法善寺横町を訪れた。すると、青い苔がびっしり生えたお地蔵さんの前にたくさんの日本人が並んでいる。会社帰りのサラリーマンも、夕飯の買物に来た主婦もいるし、老人や子供もいる。彼らはひしゃくに水を汲み、高いところからお地蔵さんに水をかけている。水滴が苔から滴り落ち、赤提灯の下できらきらと輝いている。人々はみな、たいへん敬虔な様子である。李鋭氏は、こんな小さな体験が彼を非常に感動させたと語った。なぜなら「日本の伝統は、生きている伝統」であり、今の中国はどこもかしこも旅行産業化して「もう伝統のすばらしさが感じられなくなっている」からだというのだ。

李鋭氏は「週刊東京流行通訊」の読者へのメッセージとして、このように語ってくれた。「誰でも若かったときがあります。若いときはあっという間に過ぎてしまうので、そのときを大切にしなければなりません。若いときは、できる限り自分を試してみることです。唐詩に『花開堪折須折、莫待無花空折枝』(花が咲いて折る価値があるときに折りなさい。花が散ってから花のない枝を折っても無意味だから)とあるように。」

李鋭氏は現代の中国文壇で「ノーベル文学賞に最も近い」とされる作家である。1950年9月に北京に生まれ、1969年に山西省呂梁山区に下放した。1984年、遼寧大学中文科を卒業。1988年に山西省作家協会の専業作家(プロの作家)となり、2003年10月、山西省作家協会副主席の職を自ら退くと共に、中国作家協会も脱退。2004年3月、フランス政府から芸術文学騎士勲章を授与された。代表作には、「厚土」、「銀城故事」、「無風之樹」、「太平風物」などがある。

Photo by Mao Danqing
国際交流基金/李鋭氏講演会
  http://www.jpf.go.jp/j/culture_j/topics/kaiko/kouen17.html (日、英、中)


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