猫野トクコの生活

気が向いたときにどうでもイイコトをダラダラ語るオナゴの日記

シネマコリア2007(追記)

2007年09月01日 17時01分44秒 | 韓国映画観たよ

8/25(土)&26(日)名古屋栄にて、
恒例参加のシネマコリアにて鑑賞してきました。
シネマコリアサイト : http://cinemakorea.org/index.htm

毎年一緒に参加してるSRさんと、
韓流に全く興味のないヒラさんYEさん、
そして、ハングルソングも歌いこなすチャジョンゴさん
4名のお友達とツギハギデート
お付き合い頂きありがとねぇ~♪


さてさて、シネマコリア2007の今回のテーマは、

もっと知りたい。韓国

「韓国近現代史」に触れ、
韓国の社会・文化・歴史・国民性について学んできました。


歴史の古い順にレビューしますね。

 青燕 (時代:1910年~1930年頃)



実在する女性パク・キョンウォンの生涯を
ドラマチックに描いた作品。
空を飛ぶことに情熱を燃やし、単身日本に渡り、
稼ぎながら飛行学校で学ぶキョンウォン(チャン・ジニョン)。
何年もかけた末に、優秀な飛行技術で
脚光をあびるようになるが…。


歴史物となると、やはり日本人としては
耳の痛い部分もあるのかと…
ワタシは、幾分緊張して鑑賞し始めたんですよ。

「侵略された民族の意地」を日本人に見せつけ、
大成功する女性なのかと思いきや全く違いました
逆にそういう撮り方だったなら、
韓国でも大ヒットしたのかもしれませんがね

ヒロインのキョンウォンは、
日本人と仲良く渡り合い、苦学生でありながらも
明るく伸び伸びと生活しています。
そんなヒロインの笑顔で、序盤からホッとしました ( ´o`)п<

キョンウォンの男性顔負けの頑張りと、
ハラハラする飛行アクションで
歴史物というよりエンターテイメントとして
ぐっと惹き寄せられましたが…
トップパイロットとして、名の知れたキョンウォンは、
日本の外交パーティーに何の差別もなく出席。
何気なく記者に「故郷へ飛びたい…」と
ただ、率直に述べた瞬間、周りの空気が止まる・・・

そのシーンまでは「国」というシガラミを超えて
成功した1人の女性であったキョンウォンでしたが、
やはり、シガラミからは逃れられないのか…。

母国からは「売国奴」と呼ばれ、
日本ではスパイの容疑がかかり、残虐な取調べも受け、
キョンウォンの夢も政治の思惑に利用されていきます。
様々な葛藤の中で苦しむキョンウォン

個人の夢はこんなに 純粋で美しい のに、
国の夢は「発展」を名目にした醜く汚い ものなのです。

この映画が、
「親日映画」として韓国で評価されなかったこと、
キョンウォンが未だに韓国でパイロットとして
認められていないこと…

こんなに時を経ても、
この映画を偏った見方でしか観れないほど、
民族の怒りは根深いものなのでしょうか
日本が朝鮮半島に対して行った罪の重さを感じさせます。

夢を追うことが難しい時代に、
かよわきの女性が力強く生きたこと…
国や民族そんなことに囚われず、
ワタシはただそれだけを観てほしいと思いました




 ホリデイ (時代:1980年~1988年)

1988年に実際に起こった脱獄囚人質立てこもり事件の
犯人をモチーフに描かれた社会派の作品。
ソウルオリンピックのために韓国政府は
“美化”を目的とし貧民街の強制撤去を行う。

抵抗する者は逮捕され、また、
懲役とは別に「再犯の可能性」という名目で、
上乗せ10年の刑期を科せられたガンヒョク(イ・ソンジェ)は、
刑務所内で金持ちは何億横領しても刑期が短いことを知る。

金持ちだけが裁かれず、
持たざる者だけが大罪になってしまうそんな不条理を
脱走したガンヒョクは韓国社会に訴えかけた。


ビックリしました( ̄□ ̄;)えーーーっ!

川合俊一が前髪を固めまくりでアタックを決めていた
あのソウルオリンピックの年にこんな事件が
起こっていたんですね 川合の前髪は関係ないか(笑)


この映画を観るまで、保護監護法(社会保護法)
という韓国の法律の存在を知りませんでした。
“再犯の可能性”のある者の刑期を延ばす法律ですが、
貧民層や民主化運動に参加した市民を
隠すのに利用された悪法のようです。

自分の家を守ろうとして、何十年も牢屋暮らしなんて…、
これぞ…横暴としか言いようがない


ガンヒョクは実在するチ・ガンホンがモデルになっており、
人質をとりながら転々とする逃亡生活は、
やるせなくて、なんか…映画「シルミド」みたい。

人質をとりながら「有銭無罪、無銭有罪
訴える姿は、実際に1988年10月にTVで生中継され、
今、韓国でこの言葉が再び流行っているとか…。

事件後、当時人質だった家族は、
チ・ガンホンの仲間の罪を軽くするよう願い出たという
そんなドラマのような事実もあるようです

これが、当時放送された映像
http://tvpot.daum.net/clip/ClipView.do?clipid=1972009&type=chal
言葉は全く分かりませんが、犯人がホリデイを要求してるのが
わかるし、現場の緊張が伝わってきます。

こんなに怖い思いをした人質が犯人をかばうなんて…
犯罪者になってしまったけれど、
彼らの人柄が窺えますよね。

チ・ガンホンは立てこもりの最中に、
ビージーズの名曲ホリデイを流すよう警察に要求したらしく、
叶わなかったその要求はこの映画で果たされることになった。

皆さんもこの名曲を聞いてみて欲しい。

Bee Gees Holiday :http://www.youtube.com/watch?v=W2YJf8P4Nt4

歌詞は抽象的で、何とでも解釈できる不思議な歌詞。

あなたはお休みなんですね。
 何百万という目に見えるのに、
  僕だけには、どうして見えないのか。
見えない僕だけが例外なら、そりゃヒドイよ・・・

こんな下手な和訳でいいのかな
この映画を見たあとで聴くと、
神に見放されてしまった人の嘆きに聞こえます。

チ・ガンホンを不幸にした保護監護法が
韓国で廃止されたのはナント2005年!
冬ソナの放送よりも後なんです。

何度も聴いたことある曲なのに
こんなに悲しい歌だったなんて知りませんでした



 懐かしの庭 (時代:1980年~2000年頃)



光州民主化運動のリーダーであり、
投獄の経験を持つ作家ファン・ソギョンの小説の映画化。

政治犯として17年投獄されたオ・ヒョヌ(チ・ジニ)は、
刑務所を出て、指名手配中に彼をかくまってくれた
恋人ハン・ユニ(ヨム・ジョンア)との青春を思い返す。


完全に恋愛ラブラブストーリーだと思っていたら、
全く違ってビックリしました。社会派なのね

学生達が警官隊と衝突し暴力を受けるシーンや、
それにも怯まず何かを訴え続ける学生達。
そういう時代…日本にもあったわけですが、
加藤登紀子さんの獄中結婚とか
断片的なことしか知らないワタシには、
ちょっと難しかったですね

ヒョヌはユニと平穏で安全な生活を送っているのに、
ユニの反対を押し切って、活動家達の元に戻り、
そして、簡単に捕まり逮捕

ユニを捨てても活動に走るヒョヌの心情が
どうしても理解できない。

作品中も衣装が時代にあった洋服とメイクなら、
多少雰囲気も出て、時代のせいだと理解しようと努めますが、
田舎で暮らすユニは現代風に重ね着していて、
高いヒールの靴を履き、メイクも薄めで80年代とはほど遠い。

黄緑色のブラジャーとか…
韓国って80年代からこんな原色過激ブラ
度派手な下着で…田舎の風景から、
牢屋の中のヒョヌを想うってのも、
何だかロマンが見えてこない

先ほど登場した保護監護法もありますし、
いつ出所できるかも分からないわけですから、
独房に入れらたヒョヌから後悔の台詞や、
ユニを恋しく思う台詞を期待しましたが…
ヒョヌは看守に呟きます。

無駄な時を過ごすのが辛い…

そして、真っ暗なスクリーンから、
使命を果たせぬ苦しさで咽び泣き、
その悔しさが独房に響くんですよ

冷めた目で観ていたワタシに、
このシーンが全てを教えてくれた気がします。

自分が世の中を変えなければ

そういう時代だったのだと。
命を張るほど熱く使命に駆り立てられた彼らを
馬鹿にできるような権利は
この時代のワタシには全くない…

犯罪は増え、税金は高く、格差社会で低所得者が増え、
年金はダダ漏れ、ドチラもコチラも不祥事だらけ…。

頑固で意地っ張りなのは、悪いことじゃない。

最後のこの台詞もとても印象的でした。

今こそ国民が怒り狂って火炎瓶投げてもおかしくないのに、
何でしょう…みんな落ち着いて、
日本が大して活躍できない世界陸上を見る平和っぷり(笑)

最初からを諦めちゃってる現代人は、
頑固に世の中を変えようと真剣に考える力を、
ヒョヌ達から学ばなければならないのだ。

火炎瓶は必要はないけど、
少なくとも陸上選手を応援するくらいの熱意を持って、
選挙に参加しないとね。皆さん、選挙行きましょうね(笑)
なんのこっちゃ(笑)



 ラジオ・スター (時代:1980年~2005年頃)



1988年ロックスターのチェ・ゴン(パク・チュンフン)は
歌謡大賞に輝き脚光を浴びる。
そして、2005年。落ちぶれてもプライドの高いチェ・ゴンを
スターとして扱ってくれるのは、何十年連れ添ってきた
マネージャーのパク・ミンス(アン・ソンギ)だけとなった。
少ない仕事も暴力事件を起こしてなくなり、
チェ・ゴンの仕事はローカルラジオ局のDJの仕事のみ。

不貞腐れ全くやる気のないチェ・ゴンに
ミンスは無理やりDJをやらせ、そして、ラジオが始まった。


これは面白かった

テーマ性が強い他の3作品に比べ、
ほっこり心温まる人情作品でした

とにかく、主演の2人が巧い♪

栄光にすがる中年2人組の世間ズレがホント可愛い

チェ・ゴンは、「タバコ!」の一言で、
マネージャーのミンスから「タバコ」を用意してもらえ、
ライターで火まで点けてくれるのが当たり前と思っている

ミンスはチェ・ゴンのジャージャー麺を、
お母さんのように混ぜてあげて、
割り箸を割ってチェ・ゴンに渡すことに慣れている

ミンスがいないと1人で不安になるチェ・ゴンと、
大麻や暴力事件でかろうじて芸能界に席を残す
チェ・ゴンの栄光を自分の栄光のように
自慢気に話すミンス。
この2人はまさに共依存
他人に理解できない微妙なバランスの2人が、
可笑しくて可愛くて好きになってしまいます。

音楽がとてもよくって、
見終ったあともラジオで音楽番組を聴いた後のように、
何度も鼻歌を歌ってしまいました。



はいっ♪ 以上、4作品 あー、満足満足


全くジャンルの違う種類の4作品を
それぞれ堪能しましたが、
気付いたことが一つ


韓国って ゲロォ…(T┰T ) って
戻すシーンが多いですね

4作品中3作品もゲロハキシーンが出てきます(笑)

これも韓国文化なのでしょうね

ヨン様嫌いのヒラさんが韓国映画を楽しんでくれたこと、
韓流なんて興味ないYEさんが喜んでくれたこと、
本当に誘ってよかったなぁ~って思いました


まずは大阪方面の皆さん!
明日9/1&9/2のシネマコリアは必見ですぞ!是非!

そして、熱海方面の皆さん!
9/16に「青燕」の上映が決まったそうですね!
是非、観に行ってキョンウォンの人生に触れて欲しいです。

どの作品も配給がついて、
日本の多くの皆さんに楽しんで
もらえるようになることを祈っております。

来年こそはシネマコリアで会いましょう



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5 コメント

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2007-09-04 23:16:55
Unknown (hitomi☆)

2007-09-01 18:45:27

はい、来年はシネマコリアの現場で会いましょう

トクコさんのレビューを読んで見てみたくなったのが、「ホリディ」です。保護監護法なる法律があるんですね。韓国ってまだ姦通罪がありますもんね。姦通罪だけでも意外だって思ってたら、こんな法律もあるなんて・・・。

「ラジオ・スター」は絶対見たい作品なのでDVDレンタル早くされないかなぁ。



Unknown (チャジョンゴ)

2007-09-02 14:47:32

おぉ~!他の作品も結構面白そうですねっ!私が特に気になったのが「青燕」という映画!韓国人と触れ合う機会が多い私ですが、反日感情のない韓国人はいないですね・・・。ここまで、深い感情を受け付けた日本って・・・?!って、つくづく思いますよ。女性のパイロットってのも興味あるな~!見れるといいな~!



お返事 (トクコ)

2007-09-02 16:44:30

● hitomi☆ちゃんへ
 「ラジオ・スター」はホント笑えました。
 落ち目のスターチェ・ゴンが実名K-popスターの
 名前を出して栄光を語るので、K-POPがわかる人
 はより面白いと思います。

 韓国の実在パンクバンドが作品中で歌うんですけど、
 80年代の流行と現代の流行の歌の対比も面白いです

 早くhitomi☆ちゃんに観てもらいたい作品だね

● チャジョンゴさんへ
 青燕の主人公キョンウォンの相手役は、
 「プラハの恋人」のキム・ジュヒョクです。
 日本語の台詞を頑張ってましたよぉ~。
 そして、キョンウォンの妹分は、
 「オールイン」「ナイスガイ」のハン・ジミンです。

 仲村トオルや苗木優子なんかも出てました。

 韓国映画であっても、日本が舞台なので、
 日本映画みたいだったよ。

 日本で公開されたら、是非是非、
 チャジョンゴさんに見てもらいたいですわ
 


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レビュー堪能いたしました^^ (hoppen)
2007-09-05 00:01:23
『ホリデー』で川合俊一が出てくるとは!
私、けっこう好きだったんですよ。
スポーツマンとは思えない、ちゃらんぽらんさとかが。
あの頃の話なんですね。
実際の事件の画像と、映画がそっくりで、びっくり。
監督は、すごい気合を入れて作ったんでしょうね。

『懐かしの庭』は、私も、いまひとつピンと来なくて。
でも、熱い学生運動&つらい青春だけでなくて、
やさしい映画だと感じました。
ユニさんの、寝るときの悩殺下着には、参りましたね。
アレは、監督の願望なんでしょうか?

『青燕』も『ラジオ・スター』も、4本とも見ごたえたっぷりで、私も満腹気分でした。
来年のシネコリさんにも、期待したいですね
返信する
● hoppenさんへ (トクコ)
2007-09-05 22:24:46
ユニさんの下着はケバかったですね(笑)
ヨム・ジョンア自身には似合ってましたけどね。

今回のシネマコリアに参加して、
韓国って知れば知るほど、
もっと知りたくなるなぁ~と思いました。

韓国映画は実に興味深くて面白いですね

また、hoppenさんのとこでいろいろ勉強させて下さいね
返信する
ヤバイ? (ヒラ)
2007-09-06 19:02:13
 『ホリデイ』『ラジオ・スター☆』対照的だったけれど、とても見ごたえがありました/rabi_happy/}
他の二本も是非見たいです!!
誘ってくれてホントありがとうございました。
韓国に片足を突っ込みつつあるヒラです
返信する
● ヒラさんへ (トクコ)
2007-09-06 22:00:10
お疲れ様ぁ~

ね、ね、ヨン様嫌いでも大丈夫だったでしょ
ヨン様が好きなSRちゃんと、ヨン様嫌いなヒラさんに
対称の2人に挟まれて鑑賞してドキドキしてましたが、
気に入ってもらえてよかったわ

旦那様は足は治ったかな?大丈夫?

配給がつかないと、この映画祭で上映された作品は
日本では観れない代物になってしまいます。
ヒラさんが鑑賞した2作品もよかったでしょ?

どうにか配給がついて、
ヒラさんの旦那さんにも観てもらいたいね
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