野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

地形図の話 ~地形図に表れない地形~

2016年01月06日 | 地形図の話
今年の正月は暖かくて過ごしやすい陽気でしたね。ボクは年初めの山歩きをせず、その代わり「奥武蔵登山詳細図(吉備人出版)」を探してあちこちの本屋を巡っておりました。小さな本屋には置いてないし、かといって丸広入間店の紀伊國屋書店は売り切れていたりして入手するのが大変でした。まあそれだけ人気のあるガイド地図ということなのでしょう。範囲は西武線沿線が中心でほかは名栗地区と越生町の山域の一部が入っています。外秩父や秩父市街地周辺が入っていないので、少々範囲が狭い感じはします。その分内容はとても濃いものになっていて、一般向きの赤実線ルートでも結構歩いていない所がありました。経験者向きの紫線ルートには吾野駅北の369ピーク(地図だと中尾山)など気になっていた所も踏査してあって、今後かなり使えそうな感じがします。丁寧に磁北線も入っていますが、地形図代わりに使うのはあんまりお薦めしません。あくまでも地形を見るのが地形図の目的なので、登山ルートの線が入った地形図は紛らわしい感じがします。

ということで今回はいよいよ地形図を使って実際の地形を見ていきます。題材は前回に引き続いて皆野アルプス(と正丸山周辺)です。テーマは「地形図に表れない地形」で、平塚さんの本だと「尾根の亜形」という章に当たります。まずは下の写真を見て下さい。


ここは地形図だと前原山(347.1)から東へ下る尾根の末端に当たります。そして写真の手前側が西で、奥が東になっています。つまり尾根の末端は小ピークになっているのです。平塚さんの本では「尾根が分かれる所は小ピークになっている」と書かれているのですが、まさしくそのようになっています。実はこのように「尾根が分かれる所が小ピークになっている」という地形は大渕登山口から登り上げた最初の小ピークでも同様になっています。通常地形図ではピークつまり山頂部は等高線で丸く囲まれた部分で表されます。前原山を見るとそうなっています。ところが写真の小ピークは丸く囲まれていません。尾根が突き出た部分としてしか表されていません。何故なのでしょうか?

25000分の1地形図では等高線一つの間隔は標高差10メートルとされています(ちなみに標高差50メートルごとに太線で描かれます)。したがって標高差10メートル未満の地形は地形図には表れないのです。10メートルというのは三階建ての建物の地上から屋根までの部分に相当します。三階建ての建物って実際に見ると結構高いですよね。でもそれより少し低い高低差なら地形図には表現されないのです。

地形図では平坦に見える尾根でも実際はアップダウンがある、というのも10メートル未満の地形は表現できないことが原因です。例えば昨秋歩いた川越山から正丸山の尾根は地形図では川越山(766.4)から一旦下り、あとは平坦な尾根を経て正丸山へ登っていきます。ところが実際は正丸山の手前に岩が露出する小ピークがあります。正丸山へは露岩のピークを越えて下ってから再度登ることになるのです。経験上尾根が細いほうがアップダウンは大きいように感じます(皆野アルプスだとこの辺りとか)。

(川越山です)


(まずは川越山から下ります)


(鞍部から緩やかに登り返す)


(露岩のピーク この先一旦下ります)


(露岩のピークと正丸山との鞍部 昨秋はこの辺りでヤマナシの実を拾っています)

地形図に表れない地形は通常ならあまり気にする必要がありません。しかし地形を予測したいとき、あるいは現在地を見定めたいときには十分考慮しなければなりません。「尾根が分かれる所は小ピークになっている」という特徴は現在地を把握するのに便利ですし、逆に地形図上は平坦な尾根となっているときは現在地を把握するのは難しくなります。

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2 コメント

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Unknown (奥武蔵の山人)
2016-01-16 15:32:27
こんにちは

お勉強させて頂いています。
しかし、やさしそうで理解なかなか難しいのが
本音のところです(笑)

近辺の山で有れば慣れというか経験値で
こうなるだろうの予測が出来るのですが
やはり本道は地図読みが出来るということですね。
根気良く学習してみます。
コメントありがとうございます (tokoro)
2016-01-16 17:16:51
山人さん、毎度お世話になっております。

>やさしそうで理解なかなか難しい
地図読みは「習うより慣れよ」という側面が大きいと思います。
ただ個人的にはコツのようなものもあって、

1.地図記号を見つける
2.尾根と谷を見極める
3.等高線の密度から傾斜を予測する

ということに注意しておくと地形が読みやすくなるような気がします。

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