快読日記

日々の読書記録

「青春俳句大賞 龍谷大学第5回青春俳句大賞」龍谷大学 編著

2012年09月30日 | 言語・文芸評論・古典・詩歌
《9/30読了 大阪書籍 2008年刊 【俳句】》

もう10年近く前の話。
職場で、同じ部屋の×さんが前日作った俳句(いつも十数句あった)を読んで、一番いいやつを選ぶ、というのが毎朝の習慣でした。
ひとつのモチーフを少し修正したりアレンジしたりしたものが2、3句並ぶことも多いので、そこに制作過程も見え、「俳句って、こうやって練って作るのか~」と驚きました。
さらに感心したのは、作者を含めて誰が読んでも、これがベスト!というのがだいたい一致するところ。
いい句・まずい句というのは本当にあるんだなあという驚きでした。
的の真ん中にスパンと矢が命中するように「これしかないだろう」と思わせる力なんですね。
例えば、大学生部門佳作のこの句、

・宛先を書けずにラムネ飲み干して

これが牛乳だと相手に恋心が感じられないし、コーラだと今ひとつ爽やかさに欠けるし、麦茶だとなんだか和風だし、コーヒーだと別れの手紙みたいだし、ビールでは青春じゃないし、ウォッカでは問題外だ。
若くてちょっと甘酸っぱくて、キラキラとスッキリしたかんじ「ラムネ」がベストでしょう。

・かあさん似の糸瓜ばあさん似の糸瓜

なんてのは、作者もきっと糸瓜に似てるんだろうなあと想像してクスッと笑ってしまう。

・新緑や朝の卵の美しさ

高校1年生の作品にしては渋いけどすごく好み。
早起きして、清潔な和室でおいしい朝食をさあ食べよう!という場面が浮かびます。

この句集は、龍谷大学が毎年開催している「青春俳句大賞」に応募された優秀作品集。
英語の俳句もありますが、こちらはいまいちピンとこない。

「詩という世界は常識世界の延長ではありません。言葉で言えない世界が言葉になる瞬間に生まれるものだからです」(181p 選考委員/大峯あきら)

/「青春俳句大賞 龍谷大学第5回青春俳句大賞」龍谷大学 編著
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