快読日記

日々の読書記録

「イラン人は面白すぎる!」エマミ・シュン・サラミ

2012年07月16日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《7/15読了 光文社新書 2012年刊 【イラン 中東】 Emami Shun Sarami(1980~)》

著者はテヘランで10歳まで暮らし、父親の都合で来日、以来日本で生活し、今は吉本興業に所属して漫才コンビを組んでいるという男性です。

そもそもイラン人とイラク人がどう違うのか(ものすごくざっくり言うとペルシャ人とアラブ人の違いなんだそうだ)すら分かっていなかったし、中東やイスラム社会についての本を読みかけて何度も放り出しているわたしですが、これはわかりやすいし、何よりおもしろい。

例えば、いくつもあるイスラムの聖地を回るスタンプラリー(!)は景品付き(!!)で、5箇所で金のボールペン、10箇所でふたこぶラクダ(←富の象徴)の刺繍入りダーバン、30で豪華なランチョンマットがもらえる、とか。

「ボロシアンといういつもテストのできが悪いクラスメイトが『金のボールペンを使えばアラーの神のご加護で100点が取れるはずだ』と息巻いていたが、なんと見事に0点だった。
そのとき彼が口にした言葉は、
『オー、ジーザス!』」(37p)
話はイスラム教、平均的イラン人の一日、恋愛、シャリア法に基づく不公平で厳しい刑罰(石打ちの刑がまだある!)、教育、女性の社会的地位と、たいていの知りたい事柄は網羅しているといっていいと思います。
そのどれもがわかりやすく、庶民の視点から説明されていて好感が持てる。
職業柄か、無理やり笑わせようとする雰囲気が所々に見られるけど、問題なしです。

最後の章で、シーア派とスンニ派の対立や、イランの法律の矛盾点など、さまざまな社会問題について概略的に触れていて、それまでの話のおかげですんなり理解できたのもありがたい。

筆者はただおもしろおかしい解説員ではなく、一本筋の通った骨っぽい書き手という面もあって、すごく説得力がありました。
イラン、イスラム社会を知る入門書としても最適だと思います。

/「イラン人は面白すぎる!」エマミ・シュン・サラミ
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