快読日記

日々の読書記録

「翻弄者」藤原章生

2015年01月21日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《☆☆☆ 2014/12/21読了 集英社 2009年刊 【ノンフィクション】 ふじわら・あきお(1961~)》

エピソード:ジャマールを探して/ケープタウンに漂う/キューバに残った詩人

巻頭「ジャマールを探して」に登場するのは、フセイン政権のもとで予言者として軟禁されていた男性。
フセインお抱えの予言者であった父親が毒殺され、後継者と目された彼は14歳のある日、迎えに来た使者によって宮殿に運ばれて、以来そこでの生活を強いられた。

…そう書くと、普通のノンフィクションみたいですが、この本、ちょっと独特でした。
読み始めてすぐ、小説のような映画のようなその雰囲気に、気づいたら呑まれてる。
「翻弄者」というより「被翻弄者」たちがいる遠い国の写真集を見るような現実味の薄さが癖になります。
湿度が高くて、薄暗い、まだ見ぬ国。

/「翻弄者」藤原章夫