快読日記

日々の読書記録

「別海から来た女-木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判」佐野眞一

2013年05月18日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《5/17読了 講談社 2012年刊 【ノンフィクション】 さの・しんいち(1947~)》

木嶋佳苗本。
筆者がおじさんなので、被害者たちの滑稽さ、孤独、哀れさ、そこらへんへの同情もにじみ出ていて、ちょっと笑っちゃうような悲しいかんじがよかったです。
ノンフィクションなのに、かなり感情的になってかなえに毒づいてるのも人間臭くていい。

裁判ではついたてで顔が見られなかったかなえの恋人をわざわざ見に行く(そして玉置○二みたいとか言う)ような、おばさんみたいな下世話さもあって好感を持ちました。

その取材先での様子を生々しく描き、木嶋佳苗というモンスター(サイコパスとまで言っている)を、言葉という武器だけでとらえようとするノンフィクション作家のノンフィクションとしても読めます。

かなえの内面を追究するのは、男には特に、いや、女にだって難しい。
例えば、殺された埼玉のOさんなんて都心にビルを持っているような人で、マザコンっぽいけどお母さんを粗末にする人よりよっぽどいいし、
どう考えても仲良くして結婚した方が得ではないかと思うんだけど、
なんで殺しちゃうのかなあ。

ここはやっぱり「毒婦。」も併せて読まねばなりますまい。

/「別海から来た女-木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判」佐野眞一