快読日記

日々の読書記録

「今を生きるしあわせ」河野義行

2012年08月20日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
《8/20読了 鳳書院 2012年刊 【手記】 こうの・よしゆき(1950~)》

松本サリン事件の容疑者と疑われた経緯を綴った「『疑惑』は晴れようとも」では、あのものすごい報道の裏に、こんな壮絶な事実があったということに驚き、もし自分が同じ状況に立たされたら、と想像するだけでビビりました。
その後刊行された「命あるかぎり」では、事件後会社員を辞めて、長野県の公安委員を務めた話や、元オウム信者との交流のエピソードを知り、その強靱な精神と、公平さを保つ知性に圧倒され、「鉄人」ってこういう人のことをいうんだと思いました。

その河野さんも還暦を迎え、現在は鹿児島で、奥さんと同じ名前の人と同居生活を送っているそうです。
なんてドラマチックな人生なんだ。
とか言ったら不謹慎だけど。

本書で読めるのは、河野さんの近況の他に、
その仕事・お金・家族に対する考え方、
人生の優先順位、
人間関係を築く秘訣、
死刑に反対する理由、などなど。
特に後半は「大変な経験をした人の本を読んでいて、こんなに励まされるってどういうことだ!」と、心を揺さぶられる読書になりました。
何度も「人生は考え方しだい」「心のあり方しだい」というフレーズが出てきて、
それを地で行く河野さんの存在に敬意を抱くと同時に、読んでいる自分の目の前も明るくなるような1冊です。
それから、終盤の河野さん一流のブラックジョークにもしびれました。
この“なんでも面白がれる”能力こそ「生きる力」なんですね。

「自分を大事にして、自身が幸せでなければ、他人を幸せにすることはできません」(134p)
「幸せな人とは、自分の心の置きどころを、いつもいまこのときに置くことができる人です」(200p)

河野さんは鉄人でも超人でもなくて、人生を誠実に、楽しく歩んでいる先輩みたいな気がします。

/「今を生きるしあわせ」河野義行
■ブログランキングに参加してます。ぽちっと一押し!■