快読日記

日々の読書記録

「北朝鮮と日本人 金正恩体制とどう向き合うか」アントニオ猪木 辺真一

2014年11月07日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《11/4読了 角川oneテーマ21(株式会社KADOKAWA) 2014年刊 【北朝鮮 対談】 あんとにお・いのき(1943~) ぴょん・じんいる(1947~)》

北朝鮮イコール独裁暗黒国家、みたいな思い込み(もちろんそれらも北朝鮮の一面ではある)だけだと、交渉も交流も制裁だってうまくいくわけないな~ってことがよくわかりました。

よく中国や韓国と並べて“仮想敵国”みたいにとらえられる北朝鮮ですが、実は日朝間には領土問題も資源紛争もない、排他的経済水域もかぶっていない。

「日本は隣国としてパートナーになるべきなんです」(猪木111p)

1994年以来28回も訪朝し、人々と交流し、イベントを成功させてきた猪木。
個人的な欲だけでは到底やれることではないのに、目的は金だ何だと外野はわいわい勘ぐり、痛くもない腹を探られ、手柄を取られちゃいかんと警戒されている。

対北朝鮮には拉致問題一本、という日本政府のやり方を疑問視して、さまざまな要因の兼ね合いの中から突破口を見つけようという猪木の提案を読むと、そこには確かに「プロレス哲学」(60p)が見えてきます。
たしかに、プロレスと政治って似てるのかも。
いや、プロレスこそが政府そのものなんじゃないか。
言い過ぎました。

本人も言うように、これだけの情報(もちろん公表できないものをたくさん持ってるはず)に通じ、人脈を持ち、確実にパイプ役を果たせる猪木を利用しない手はないぞ!
確かに取り扱い注意な男だろうけど、それにしてもそこをうまく使える度量を持った政治家がいたっていいのに。
そんな日が来るといいな。

あとは猪木がつまんないスキャンダルで引きずり下ろされ、出る杭は打たれるみたいにならないことを祈るのみです。

/「北朝鮮と日本人 金正恩体制とどう向き合うか」アントニオ猪木 辺真一