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《4/21読了 文春文庫 2012年刊(1975年刊の文春文庫を復刊) 【日本の小説】 ありよし・さわこ(1931~1984)》
「誰が考え出したのか知らないけど、社宅なんて残酷この上ない制度だと思うわ。一家ぐるみで会社に二十四時間も拘束されることになるんですものね。言いたいことも言えず、亭主の会社における地位も身分もなまなましく妻に分ってしまうのよ」(496p)
何と言っても自分と他人とを比較することが不幸の始まりなんですね。
そもそも自分から見えるその人の姿はほんの一部に過ぎず、だから残りは妄想で補って、その結果生まれた虚像と自分とを比べて一喜一憂するんだから、余計に幸せなはずがない。
でも、人間って程度の差こそあれ、みんなそうかもなあ。(もちろんわたしも)
主人公の社宅妻・音子は、ちょっとイライラするほど単純で考えが甘くて愚かだけど、それを残酷なくらい冷徹に描ききる有吉佐和子がまた怖い。
特に、音子が経験したことや見聞したことを夫に訴えるときに、話を絶妙な具合に少しずつ変形させて、自分の都合がいいように話すところが超リアル。
展開もダイナミックで、長さを感じさせない濃さでした。
復刊してくれてありがとう、文春文庫!
/「夕陽ヵ丘三号館」有吉佐和子
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「誰が考え出したのか知らないけど、社宅なんて残酷この上ない制度だと思うわ。一家ぐるみで会社に二十四時間も拘束されることになるんですものね。言いたいことも言えず、亭主の会社における地位も身分もなまなましく妻に分ってしまうのよ」(496p)
何と言っても自分と他人とを比較することが不幸の始まりなんですね。
そもそも自分から見えるその人の姿はほんの一部に過ぎず、だから残りは妄想で補って、その結果生まれた虚像と自分とを比べて一喜一憂するんだから、余計に幸せなはずがない。
でも、人間って程度の差こそあれ、みんなそうかもなあ。(もちろんわたしも)
主人公の社宅妻・音子は、ちょっとイライラするほど単純で考えが甘くて愚かだけど、それを残酷なくらい冷徹に描ききる有吉佐和子がまた怖い。
特に、音子が経験したことや見聞したことを夫に訴えるときに、話を絶妙な具合に少しずつ変形させて、自分の都合がいいように話すところが超リアル。
展開もダイナミックで、長さを感じさせない濃さでした。
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