快読日記

日々の読書記録

「Kitano par Kitano-北野武による「たけし」-」北野武 ミシェル・テマン

2012年02月06日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《2/5読了 松本百合子/訳 早川書房 2010年刊 【その他 インタビュー】 きたの・たけし(1947~)/Michel Temman》

2003年、たまたま近所に住んでいたフランス人記者が北野武に声をかけ、インタビューを申し込む場面から始まり、それから約4年の間に四十数回に渡って持たれた会合の記録。
生い立ちから現在までの話に加え、映画・政治・国際状況・お金・宗教など、よくこれだけ聞いたなあと感心しました。
所々、フランス人記者のモノローグが挟まれることはあっても、基本的にはたけしの一人語りのように読めます。
記者とたけしの間には常に通訳としてあのゾマホンがいたそうで、それをまた翻訳家が日本語に訳したという、変わった作りの本。
この翻訳家について詳しい紹介はないのですが、たけしの含羞を帯びた語り口をうまく再現しています。

あまりにも残酷な師匠の死、テレビタレントとしての成功、瀕死の事故、映画監督としての栄光、様々なことがかなり率直に語られていて読み応え満点の充実した本でした。
母親に比べて語られることが少ない父親と北野映画との関係にもじーんときました。
それから、“海洋学者になりたかった”とか、生まれ変わることがあるなら数学者になりたいとかいう場面が何度かあって、「たけしみたいな人でもそんなこというんだなあ」と思ったり。
事故のときに巷にファンを増やしたプロデューサー森さんの語りが約2ページほど収められていて、これがまたグッときます。
あと“ベナンの王”ゾマホンがどんだけすごい人かもよくわかりました。
とにかく、この本おもしろい!
数ある「たけし本」の中でも出色のできだと思います。

/「Kitano par Kitano-北野武による「たけし」-」北野武 ミシェル・テマン
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