快読日記

日々の読書記録

「こんな日本でよかったね 構造主義的日本論」内田樹

2008年08月21日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
■8/21読了 バジリコ 2008年刊 【社会評論】 うちだ・たつる(1950~)


須藤元気の本と似ているところがあります。(一緒に読んだからそう思うのかな)
どちらもこの本の言葉を借りて言えば「おばさん体質」。
つまりフレキシブルで明るいんです。

構造主義が「自分の目にはウロコが入っているということをいつも勘定にいれて」(あとがき)語るものであるなら、それはいわゆる「大人」の考え方で、
ナンシー関がいう"この世は私が決して買わないものをむしろコンスタントに買う人達がたくさんいることで回っている"という態度にほかならないと思いました。
謙虚で穏やかでクールだし、対象との距離感もよいのでおもしろさ倍増。
「少子化」は「問題」ではなく「解答」である、「格差社会」は金が全能化し、人を序列化する基準が金だけになってしまった社会のことである、など。

白か黒かをバッサバッサと裁く考え方に慣れちゃうと、筋力が落ちて持ち堪えられずに結論を急ぐようになるので、ちょっとした転倒で骨折するようなことになってしまいます。
思考の瞬発力より持久力を求める方にぜひおすすめしたい1冊です。
ブログ「内田樹の研究室」で発表された文章が編纂されています。