轟クルマ文化研究所

日本のどこかの片田舎、今日も所長の声が響いています。
「馬鹿モン!あれほど雑誌を鵜呑みにするなと言うとるじゃろ!」

レクサス LS

2006-09-29 19:18:14 | LEXUS
助手 「やっとレクサスからLSが出ましたね。」

所長 「そうじゃな、ディーラーでは喉から手が出るほど待ち遠しかったじゃろうな。」

助手 「これでレクサスもラインナップがなんとか見れるようになりましたね。」

所長 「そうじゃな。」

助手 「予約がすごいそうですよ。」

所長 「そりゃそうじゃろ、セルシオがモデルチェンジした訳じゃから、一斉に乗り換えるんじゃろ。なんと言っても日本の最高級車じゃし、既存客が30万人もいるそうじゃからな。」

助手 「でもセルシオから200万円も上がってるそうですよ。その影響はないんですかね。」

所長 「金のことをどうのって言うヤツは初めっからセルシオなんて買わんじゃろ。もっとコストパフォーマンスに長けたクルマがいっぱいあるじゃろう。」

助手 「でもこの価格ならベンツやBMWも視野に入って来るんじゃないですか。」

所長 「ベンツやBMWが欲しくても買えないから、セルシオで我慢しとったということか。そんなヤツはおらんじゃろ。セルシオのお客はセルシオが欲しくて買っとるんじゃ。もしくはトヨタの最高級車が欲しくて買っとるかじゃ。」

助手 「そんなモンですかね。どうせ高い金を払うんだったら、飛びっきり高級なベンツやBMWの方をボクなら選びますけどね。」

所長 「どっちも輸入車のアメリカでならそういう発想もあるんかもしれんが、日本では国産と輸入車を同列で選ぶなんてことはしないじゃろう。それだけ内容も違うし、買うモンの意識も違うじゃろ。」

助手 「そうですか。ということはベンツなんかの市場を奪うこともないということになりますね。」

所長 「もちろん少数はあるじゃろうけど、影響が出るほどはないじゃろう。じゃが前にも言ったが今はまだレクサスっていうブランドの後押しがない状態での話しじゃから、これから数年、あるいは数十年後には状況も違ってくるじゃろうな。」

助手 「気の長い話しですね。そのころにはクルマは空を飛んでるかもしれませんよ。」

所長 「40年ぐらい前にはワシもそう思っとったけど、多分いつまで待っても飛ばんじゃろうな。」

助手 「そんな、真面目に答えないで下さいよ。それはそうとレクサスLSですけど、フラッグシップの割には個性が足りない気がしませんか。目を瞑って思い浮かべようとしても、出てこないですしね。よく言うじゃないですか、遠くから見てもひと目でわかるクルマじゃないといけないとか。あんなんで大丈夫なんでしょうか。特にここのところ、ベンツにしてもBMWにしても個性的なクルマばかりでしょ。」

所長 「LSはあれでいいんじゃ。レクサスというブランドを十分に表現しとる。」

助手 「え、どこがですか。」

所長 「フォルムやディテールといった小手先のデザインに凝るんじゃなくって、あるべきものをあるべきままに配置したっていう感じがするんじゃ。で、その面や線を洗練させた、というよりも鍛え上げた、そんな感じじゃな。ちょうど日本刀をつくる職人みたいなモンじゃ。」

助手 「日本刀ですか。そう言えば最近のホンダのグリルも日本刀をモチーフにしてるって聞きましたけど、流行ってるんですか。」

所長 「あんなモンとは次元が違うじゃろ。ホンダのは単に日本刀のカタチを日本らしさとして取り入れただけじゃろ。」

助手 「確かにそうですね。」

所長 「着飾るんじゃなくって、機能を徹底的に追求したモンは美しいモンなんじゃ。それこそ日本らしさの表現につながるんじゃないか。格子なんかの和のテイストを取り入れたりするような物質的なモンじゃなくって、精神的な日本らしさじゃ。それは日本人にしか出来ないモンじゃから、レクサスに相応しいと言っとるんじゃ。」

助手 「うーん、わかるようなわからないような。でもそれをユーザーに伝えるには時間が掛かるんじゃないですか。」

所長 「そうじゃろうな。じゃが一度理解してもらえれば、あとは自然に受け入れてもらえるじゃろ。つくり手が踏み外さん限りな。」

助手 「それはわかりますけど、ライバルのベンツやBMWと比べて個性が弱いのは明らかに不利じゃないですか。特に最近の傾向を見てると思い切ったデザインでも受け入れられてますし。」

所長 「確かに販売面ではベンツやBMWは強力なライバルなんじゃろうけど、こと製品としては全然違うモンなんじゃないか。」

助手 「どういうことですか。」

所長 「つまりおんなじようなクルマでは勝負にならんということじゃ。向こうは歴史もあるし、ブランドもちゃんと確立しとるんじゃから。」

助手 「確かにそうですね。でもそういうクルマを消費者が望んでるのも事実でしょ。」

所長 「それはレクサスじゃなくってトヨタの仕事じゃろ。」

助手 「え、どういうことですか。」

所長 「トヨタのクルマづくりの基本は顧客主義なんじゃ。つまりお客の望むモンに答えるということじゃ。国や文化によって要求されるモンは当然違ってくるから、販売する地域によってクルマをつくり分ける。それで世界一の座に上りつめたのがトヨタじゃろ。」

助手 「それはそうですね。」

所長 「レクサスはトヨタと違うことをしようとしとるんじゃないかと思うんじゃ。」

助手 「違うこと、ですか。」

所長 「そうじゃ。お客の顔色を眺めてつくるのはトヨタブランドに任せて、レクサスはつくり手側の理念をカタチにして売る、つまりプロダクトアウトの発想じゃ。」

助手 「プロダクトアウト、ですか。」

所長 「ワシにはそう思えてならんのじゃ。それだったら従来の高級車とは違う高級車像をつくれるじゃろう。反対にベンツやBMWなんかはトヨタブランドのような柔軟に対応出来るブランドを持っとらんから、お客のニーズを取り入れんといかんじゃろ。」

助手 「それはレクサスの強みかもしれませんね。」

所長 「じゃろ。アメリカで展開を始めた当初は、単に大衆車イメージの強いトヨタの名前が足枷になるからつくられたブランドだったと思うんじゃ。じゃからもともとクラウンなんかで高級車のイメージがあった日本では、レクサスは必要なかったというわけじゃ。」

助手 「はい。」

所長 「そのレクサスが日本に導入されて、新しいフラッグシップが発売されたのを見てて、明らかに先代のセルシオと比べて違うクルマに見えたんじゃ。それで思い当たったのが今言った仮説じゃ。」

助手 「か、仮説ですか。」

所長 「そうじゃ。ま、年寄りの妄想じゃ。」

助手 「・・・も、妄想ですか。」

所長 「何が悪い。」

助手 「い、いや悪くはないですけど、妄想ならそんなに自信たっぷりに語らなくても・・・。」


参考資料
レクサスLS460(トヨタ自動車株式会社)
レクサスブランド その1(轟クルマ文化研究所)
レクサスブランド その2(轟クルマ文化研究所)
レクサスブランド その3(轟クルマ文化研究所)

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