TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「水辺ノ夢」174

2017年01月20日 | 物語「水辺ノ夢」

「なん、だって?」

圭は目の前に立つ、悟を見る

「黒髪が魔法を使った、と云ったんだ」
「魔法?」

圭は訳が分からないと、首を振る。

悟が云う。

「どう云うことだ。東一族が魔法を教えたのか」
「杏子は魔法なんて、」
「なぜ、そう云いきれる?」
「・・・それは」
「調べたんだが、東一族は動物と話す力を持つとか」
「・・・・・・?」
「あの東一族は鳥を使って、西の情報を流しているんだろ」
「なんっ!?」

でたらめだ、と、云いかけて、圭は真都葉を見る。

今は、そんなことを話している場合ではない。

「いたいよぅ! とう!!」
「真都葉っ」

真都葉は泣きわめく。
腕から血が流れる。

「どいてくれ!」

圭は真都葉を抱え、走る。

人目もくれず

病院へ。

「高子っ! 高子!!」

病院に入ると、圭は高子を呼ぶ。

「どうしたの」

運よく、高子が現れる。

「いったい何の騒ぎ?」
「真都葉が犬にっ」

圭は肩で息をする。
高子は驚く。

「ちょっと、これは!?」

高子は慌てて、医者の補佐を呼ぶ。

「早くこの子を処置室へ!!」

「とう!!」
「大丈夫、真都葉。痛いのを治すのよ」
「とうー!!」

圭の腕から真都葉を取り上げ、補佐が処置室へ連れて行く。

「・・・ッ、真都葉!」

付いて行こうとする圭を、高子がとめる。

「ここにいなさい」
「でもっ、」
「大丈夫だから」

高子は近くの椅子に、圭を坐らせる。

「息を整えて」

圭は息苦しそうだ。
このままでは、持病が出かねない。

「落ち着いたら手を洗って、着替えてくるのよ」
「真都葉は、」
「私たちに任せて」

そう云うと、高子は処置室へと入る。

遠くから、真都葉の泣き声。

圭は、胸を押さえる。
辺りには、誰もいない。

しばらくして、

真都葉の泣き声が止む。

高子は現れない。
代わりに、ほかの者が現れる。
時間がかかると、圭に告げる。

圭は、処置室の扉を見る。

立ち上がり、病院を出る。



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