今年最終売買となる大納会の東京株式相場は、株価指数が小幅ながら4連騰。12月消費者信頼感指数など米国経済指標の堅調に加え、ユーロ・円相場で円が最安値となるなど為替の円安基調も追い風となり、輸出関連株中心に買われた。トヨタ自動車は初の8000円台乗せ、キヤノン、アドバンテストも高い。売買高で中心的存在となっている鉄鋼株では、新日本製鉄が年初来高値を更新した半面、JFEホールディングス、住友金属工業はそろって反落。鉄鋼株指数はTOPIXのマイナス寄与度2位で、高値警戒感から鉄鋼株の上値が重くなり、取引終了かけて指数も失速した。
大和証券SMBCエクイティ・マーケティング部の高橋和宏部長は、「年末によるポジション調整の売りが出ているが、来年の株高期待の強さがそれを上回っている。米国景気指標が悪くない上、国内の景況感も来年は改善が期待されるとあって企業業績への貢献が見込まれる」と指摘している。
日経平均株価の大納会終値は1円2銭(0.01%)高の1万7225円83銭、TOPIXは2.16ポイント(0.1%)高の1681.07。東証1部の売買高は概算で9億8470万株。値上がり銘柄数は693、値下がり銘柄数は813。 東証業種別33指数の騰落状況は、値上がり業種17、値下がり業種16。電気機器、輸送用機器、機械、電気・ガス、その他製品、卸売などが高い。半面、陸運、鉄鋼、銀行、食料品、情報・通信などが安い。
チャート上のローソク足で1年間の動きを示す年足では、日経平均株価とTOPIXがともに年初を年末が上回る陽線となった。陽線は4年連続で、バブル崩壊後では初めて。今年の大発会(1月4日)終値は日経平均株価1万 6361円54銭、TOPIXが同1673.07だった。ともにきょう終値で同水準を上回っており、バブル崩壊後では最長だった1993-1995年までの3年連続陽線を上回ることが確定した。 一方、06年の日本株の年初からのパフォーマンスは日経平均株価が6.9%高、TOPIXは1.9%高と、いずれも40%以上上昇した昨年からは大幅に縮小。三菱UFJ証券の藤戸則弘投資情報部長によると、「世界で日本よりパフォーマンスが低いのは内戦で国土が疲弊したレバノンなど中東諸国のみ」という。日経平均は04年の7.6%の近似値となり、リターンリバーサルの側面もうかがわせた。
個別では、中国の石油化学大手「濾天化集団」が計画する世界最大のジメチルエーテル製造プラントを近く受注する見通しと29日付の日本経済新聞が報じた東洋エンジニアリングが売買を伴って上昇。牛丼の販売を再開した9月以降、来店客数が前年同月比10%超の伸びを示している吉野家ディー・アンド・シーも堅調。半面、気温の高い日が続いたことでジャケットやコートなどの冬物衣料が低迷している鈴丹が急落し、東証1部値下がり率トップ。
10年利回りは4年連続の上昇に
債券相場は軟調(利回りは上昇)。米債相場が強めの指標発表を受けて続落したほか、国内株価のじり高推移などが売り材料視された。年内最終日にあたって投資家の現物売買が乏しい中、先物には保有債券の価格下落リスクを回避するヘッジ売りが優勢となり、終値ベースでは8日以来、3週間ぶりの安値圏で2006年の取引を終えた。一方、現物債市場で10年物の284回債利回りは 1.675%となり、新発10年債としては前年末比20.5ベーシスポイント(bp)上昇して終了した。
日本投信委託の山田聡運用第2部長は、年明けの利上げなしを織り込んで週初に買われたが、10年債の1.5%台は水準的に抵抗感がうかがえたと指摘。ただ、「1月の入札に向けて調整モードだが、直近で利上げの思惑が盛り上がっても金利上振れには至らず、やはり1.7%は節目と意識されそう」とも見る。
東京先物市場の中心限月3月物は、前日比7銭安い134円10銭で取引を開始。朝方には134円台前半を売り込む動きはなく、いったんは5銭高の134 円22銭まで上昇した。しかし、午前9時50分前後からは再びマイナス圏での推移となって、一時は14銭安の134円3銭まで下げる場面もあった。その後は134円10銭付近で小動きとなり、結局は12銭安の134円5銭で終了した。
週初の物価や消費関連の指標がおおむね予想通りとなると、現物債の年内受け渡し最終日の需要あぶり出しとも相まって、先物3月物は26日午前に135 円台を回復する場面もあった。しかし、こうした買い需要一巡後、一部通信社が1月17、18日に開催される日銀金融政策決定会合で追加利上げが議題に上る見通しと報じると、市場は意表を突かれる格好で27、28日に急落した。さらに、米債相場下落も国内債市場で売り材料視された。市場では、「足元で国内の10年債利回り1.5%台を買っていく手掛かりが乏しく、このレベルでは米金利高などの材料に引っ張られる傾向がある」(山田氏)という。
現物債市場で10年物の284回債の利回りは、前日の終値より1bp高い 1.67%で始まり、その後しばらく1.67%で横ばい推移が続いたが、午前10時半過ぎに1.675%まで上昇して、そのまま06年の取引を終えている。284回債利回りは週初にかけてじり安となり、26日には新発10年債として3月1日以来の低水準となる1.565%をつけたが、前日までの2営業日で1.6%台半ばまで上昇した。最終的には昨年の大納会の終値1.47%より20.5bp高の1.675%で引けており、これで03年以降4年連続の上昇となった。
ドル底堅い
午前の東京外国為替市場では、ドル・円相場が小動きながらも、ドルがじり高に推移。1ドル=119円前後と、前日の安値118円53銭から値を戻して推移した。米国で発表された住宅、製造、消費者関連の3指標がそろって強含みとなったことを背景に、早期の利下げ懸念が緩和。日本が正月休みの間に発表される米経済指標が予想比で上振れした場合の一段高も警戒され、ドルが底堅さを維持した。
三菱UFJ証券クレジット市場部為替課の塩入稔部長代理は、米景気に関しては行き過ぎた悲観論の修正がかかっていたところに、前日に発表された指標が意外にすべて良い結果となり、債券市場も素直に反応したことで、ドルが堅調に推移していると説明。「シカゴ購買部協会が発表した製造業景況指数予想以上に強かったことから、供給管理協会(ISM)指数にも期待感があり、ドルベアのセンチメントになりにくい」とみている。
この日のドル・円相場は、前日の海外市場で米指標の強含みを受けてドル買いが進んだ流れを引き継ぎ、1ドル=118円90-95銭付近で東京時間早朝の取引を開始。ドルは午前7時45分に118円88銭までやや軟化したものの、その後はじり高に推移し、10時55分には119円06銭と、前日の高値119円04 銭を小幅ながら上回った。ただ、この日の東京市場は、「国内企業がほぼ休暇入りしている状況の中、実需関連の需給が乏しい上、目立った材料もないことから、小幅な値動きに終始」(三菱UFJ信託銀行資金為替部・井上英明グループマネージャー)しそうだされ、午前の値幅はわずか18銭にとどまった。 午後にかけては「国内の金融機関も業務を終えるため、一段と値動きが乏しくなっていく」(塩入氏)という。
米国では年明けの1月2日に供給管理協会(ISM)が12月の製造業景気指数を発表する予定。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想では 50.0と、11月の49.5をわずかながら上回る水準が見込まれている。
一方、前日の海外市場では、欧州中央銀行(ECB)当局者が利上げ継続に強気の姿勢をみせたことを受けて、ユーロ買いが進行した局面もみられた。ユーロ・円相場は一時1ユーロ=156円73銭と、ユーロが1999年1月の導入以来の最高値を更新。この日の東京市場では156円台半ば近辺で推移した。ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.3201ドルまで上昇。22日以来のユーロ高値を付けたが、その後は米指標の強含みを受けて、1.31ドル台前半まで軟化。東京市場も同水準付近での取引となった。
大和証券SMBCエクイティ・マーケティング部の高橋和宏部長は、「年末によるポジション調整の売りが出ているが、来年の株高期待の強さがそれを上回っている。米国景気指標が悪くない上、国内の景況感も来年は改善が期待されるとあって企業業績への貢献が見込まれる」と指摘している。
日経平均株価の大納会終値は1円2銭(0.01%)高の1万7225円83銭、TOPIXは2.16ポイント(0.1%)高の1681.07。東証1部の売買高は概算で9億8470万株。値上がり銘柄数は693、値下がり銘柄数は813。 東証業種別33指数の騰落状況は、値上がり業種17、値下がり業種16。電気機器、輸送用機器、機械、電気・ガス、その他製品、卸売などが高い。半面、陸運、鉄鋼、銀行、食料品、情報・通信などが安い。
チャート上のローソク足で1年間の動きを示す年足では、日経平均株価とTOPIXがともに年初を年末が上回る陽線となった。陽線は4年連続で、バブル崩壊後では初めて。今年の大発会(1月4日)終値は日経平均株価1万 6361円54銭、TOPIXが同1673.07だった。ともにきょう終値で同水準を上回っており、バブル崩壊後では最長だった1993-1995年までの3年連続陽線を上回ることが確定した。 一方、06年の日本株の年初からのパフォーマンスは日経平均株価が6.9%高、TOPIXは1.9%高と、いずれも40%以上上昇した昨年からは大幅に縮小。三菱UFJ証券の藤戸則弘投資情報部長によると、「世界で日本よりパフォーマンスが低いのは内戦で国土が疲弊したレバノンなど中東諸国のみ」という。日経平均は04年の7.6%の近似値となり、リターンリバーサルの側面もうかがわせた。
個別では、中国の石油化学大手「濾天化集団」が計画する世界最大のジメチルエーテル製造プラントを近く受注する見通しと29日付の日本経済新聞が報じた東洋エンジニアリングが売買を伴って上昇。牛丼の販売を再開した9月以降、来店客数が前年同月比10%超の伸びを示している吉野家ディー・アンド・シーも堅調。半面、気温の高い日が続いたことでジャケットやコートなどの冬物衣料が低迷している鈴丹が急落し、東証1部値下がり率トップ。
10年利回りは4年連続の上昇に
債券相場は軟調(利回りは上昇)。米債相場が強めの指標発表を受けて続落したほか、国内株価のじり高推移などが売り材料視された。年内最終日にあたって投資家の現物売買が乏しい中、先物には保有債券の価格下落リスクを回避するヘッジ売りが優勢となり、終値ベースでは8日以来、3週間ぶりの安値圏で2006年の取引を終えた。一方、現物債市場で10年物の284回債利回りは 1.675%となり、新発10年債としては前年末比20.5ベーシスポイント(bp)上昇して終了した。
日本投信委託の山田聡運用第2部長は、年明けの利上げなしを織り込んで週初に買われたが、10年債の1.5%台は水準的に抵抗感がうかがえたと指摘。ただ、「1月の入札に向けて調整モードだが、直近で利上げの思惑が盛り上がっても金利上振れには至らず、やはり1.7%は節目と意識されそう」とも見る。
東京先物市場の中心限月3月物は、前日比7銭安い134円10銭で取引を開始。朝方には134円台前半を売り込む動きはなく、いったんは5銭高の134 円22銭まで上昇した。しかし、午前9時50分前後からは再びマイナス圏での推移となって、一時は14銭安の134円3銭まで下げる場面もあった。その後は134円10銭付近で小動きとなり、結局は12銭安の134円5銭で終了した。
週初の物価や消費関連の指標がおおむね予想通りとなると、現物債の年内受け渡し最終日の需要あぶり出しとも相まって、先物3月物は26日午前に135 円台を回復する場面もあった。しかし、こうした買い需要一巡後、一部通信社が1月17、18日に開催される日銀金融政策決定会合で追加利上げが議題に上る見通しと報じると、市場は意表を突かれる格好で27、28日に急落した。さらに、米債相場下落も国内債市場で売り材料視された。市場では、「足元で国内の10年債利回り1.5%台を買っていく手掛かりが乏しく、このレベルでは米金利高などの材料に引っ張られる傾向がある」(山田氏)という。
現物債市場で10年物の284回債の利回りは、前日の終値より1bp高い 1.67%で始まり、その後しばらく1.67%で横ばい推移が続いたが、午前10時半過ぎに1.675%まで上昇して、そのまま06年の取引を終えている。284回債利回りは週初にかけてじり安となり、26日には新発10年債として3月1日以来の低水準となる1.565%をつけたが、前日までの2営業日で1.6%台半ばまで上昇した。最終的には昨年の大納会の終値1.47%より20.5bp高の1.675%で引けており、これで03年以降4年連続の上昇となった。
ドル底堅い
午前の東京外国為替市場では、ドル・円相場が小動きながらも、ドルがじり高に推移。1ドル=119円前後と、前日の安値118円53銭から値を戻して推移した。米国で発表された住宅、製造、消費者関連の3指標がそろって強含みとなったことを背景に、早期の利下げ懸念が緩和。日本が正月休みの間に発表される米経済指標が予想比で上振れした場合の一段高も警戒され、ドルが底堅さを維持した。
三菱UFJ証券クレジット市場部為替課の塩入稔部長代理は、米景気に関しては行き過ぎた悲観論の修正がかかっていたところに、前日に発表された指標が意外にすべて良い結果となり、債券市場も素直に反応したことで、ドルが堅調に推移していると説明。「シカゴ購買部協会が発表した製造業景況指数予想以上に強かったことから、供給管理協会(ISM)指数にも期待感があり、ドルベアのセンチメントになりにくい」とみている。
この日のドル・円相場は、前日の海外市場で米指標の強含みを受けてドル買いが進んだ流れを引き継ぎ、1ドル=118円90-95銭付近で東京時間早朝の取引を開始。ドルは午前7時45分に118円88銭までやや軟化したものの、その後はじり高に推移し、10時55分には119円06銭と、前日の高値119円04 銭を小幅ながら上回った。ただ、この日の東京市場は、「国内企業がほぼ休暇入りしている状況の中、実需関連の需給が乏しい上、目立った材料もないことから、小幅な値動きに終始」(三菱UFJ信託銀行資金為替部・井上英明グループマネージャー)しそうだされ、午前の値幅はわずか18銭にとどまった。 午後にかけては「国内の金融機関も業務を終えるため、一段と値動きが乏しくなっていく」(塩入氏)という。
米国では年明けの1月2日に供給管理協会(ISM)が12月の製造業景気指数を発表する予定。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想では 50.0と、11月の49.5をわずかながら上回る水準が見込まれている。
一方、前日の海外市場では、欧州中央銀行(ECB)当局者が利上げ継続に強気の姿勢をみせたことを受けて、ユーロ買いが進行した局面もみられた。ユーロ・円相場は一時1ユーロ=156円73銭と、ユーロが1999年1月の導入以来の最高値を更新。この日の東京市場では156円台半ば近辺で推移した。ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.3201ドルまで上昇。22日以来のユーロ高値を付けたが、その後は米指標の強含みを受けて、1.31ドル台前半まで軟化。東京市場も同水準付近での取引となった。