人と仕事を考える

HRM総研代表・八木裕之のブログ

産業カウンセラー発進

2007-05-04 18:34:57 | Weblog
 おかげさまで産業カウンセラーの資格を取得することができた。
 それに合致したわけではないのだろうが、ここのところ職場のメンタルヘルス、具体的には「うつ病」と診断された人への対応についての相談が、複数舞い込んでいる。
 うつ病に対しては、マスコミでも取り上げられる機会が増え、特に職場のメンタルヘルスについては、以前ほど公表することにも抵抗することがなくなったともいわれ、一層表面化する傾向にある。
 実際うつ病をはじめとするメンタルヘルス不全になった方はお気の毒であるが、その対応をめぐっては、企業にとっても対応に苦慮するところである。

 本来ならば、療養の後、職場に復帰してもらうのが次善の策であるが、そのタイミングや復職後の働き方の設定をめぐって、なかなかいい方策を出せないでいるケースも多い。また、これを機会に退職してもらうには、どういう方法がトラブルにならないのかといった相談も正直なところあるのが現実である。

 もっといえば、メンタルヘルス不全が起こる原因を事前に特定し、発生を防止するのがベストといえる。
 荒井千暁『職場はなぜ崩れるのか-産業医が見た人間関係の病理』(筑摩新書)は、成果主義のシステムが職場の人間関係にもたらした軋轢と「心の病」の関係について検証がなされている。
 副題にもあるように、著者は産業医であり、企業において、メンタルヘルス不全を患う多くのサラリーパーソンとその背景となる状況に直面されてきた。メンタルヘルス不全の原因には、成果主義の名のもとの結果に対するプレッシャーや、長時間労働があげられることが多い。
 注目すべきなのは、著書は成果主義自体を否定されるのではなく、「自律的労働感」をめぐっても、「労働は本来、時間でしばられる性格のものではない」とし、「過剰な労働時間があっても強制的なものではなく、自らの意思に基づくものであって、降りようとすればいつでも降りられるものであるならば」「問題にならない」と述べていることである。(pp.160-162)
 つまり、「職場環境や評価の仕方がしっかりしていれば」「時間による労働制限を外しても労働者が倒れることは防げるのではないか」と主張している。(p.166)

 人材マネジメントの方向性が、個人のパフォーマンスに応じた評価・処遇にならざるを得ない今日、総論としての「成果主義」自体を否定しても仕方がない。大切なのははその運用課程でいかに個人にメンタルヘルス上の負荷をかけないかということに尽きる。
 現場のオペレーションの重要性と、それを支援するわれわれの今後の役割の大きさを認識させられる。

1 コメント

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おめでとうございます (縁結び侍)
2007-05-08 18:15:49
産業カウンセラーの資格取得おめでとうございます。現場では様々な問題が発生し、それに立ち向かってこそ、実のある現場支援型コンサルティングが可能になりますよね。
そのために有効なスキル取得ですね。
八木さんのカウンセリング、ぜひ受けてみたいですね。
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