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「タイムバール」少年探偵団の時代

元少年探偵団、現ダメ社長が「記憶と夢」を語ります。

タンタン狸おばさん

2007年05月02日 | Weblog
記憶とは忘れているようで、ある条件が重なると雷のように電気が走るカラクリのようです。明け方までパソコンにへばりつく仕事柄、ほぼ毎日のようにNHKの「ラジオ深夜便」を聞いていますが、内容は昔の人気番組や歌謡曲です。先週は懐かしいラジオ番組「三つの歌」、先ほどは名人「志ん生」の落語です。ここで「タヌキ」が出てきました。「あっ!」と思う間もなく電気が走り50年以上も前にワープしました。前回、「おばさん」の「鈍感力」のブログを書いたせいかもしれません。NHKラジオ「三つの歌」で発生した前代未聞の「タヌキ事件」が蘇ります。

「三つの歌」は昭和26年から始まって20年に渡って放送された視聴者参加の音楽番組です。名曲の数々を天池真佐雄がピアノで弾き始め、正しい歌詞で歌えた場合に賞金をプレゼントするというものです。近くの床屋で頭を刈られている最中でした。その日も司会の宮田輝アナウンサーと参加者の掛け合いから始まって、何人目かでその「事件」が発生しました。「主犯」はおばさんです。曲はあの「たんたんタヌキ」です。若い人は「ビックカメラ」のCMだと勘違いしているようですが大違いです。当時はそんな店はありません。床屋の親父も一瞬、手を手を止めました。他の客も固唾を呑んでおばさんの歌い出しを待っていました。おばさんは何の迷いもなく歌い始めました。

「たんたんタヌキのキ・・・!」ここでおばさんは絶句しました。自分が何を歌っているのか気付いたようです。一拍おいて大爆笑です。あの宮田アナですら想定外の出来事だったのでしょう。何の相槌も打てず、十数秒の空白が生まれました。聞こえてくるのは爆笑だけです。我々も泣いて笑いました。床屋の親父はバリカンを振るわせるので毛が何本か抜けました。剃刀だったら大変でした。人気番組なのでみんな聞いていたようです。それからが大変です。あの歌は本当は何の歌かと言うことです。港町の連中が知る訳がありません。

こうゆう時にこそ学校の先生の真価が問われます。さすがに昔の先生で翌日には手を打ってありました。近くの聖母(マリア)幼稚園のシスターに聞いてきたそうです。勿論、「歌詞」ではなく「ハミング」で聞いた筈です。先生は厳かに「発表」します。「これは賛美歌687”間もなく彼方の”だ!」「・・・」よく判りません。「賛美歌とキンタマ」の間にはどうゆう関連性があるのでしょうか。先生は数人のガキを指差します。自分もその一人です。「おまえらは、聖母幼稚園にいたのに知らないのか!」知っている訳がありません。あのおばさんのせいで、我々が怒られる筋合いはありません。みんな「おばさん」」が嫌いになりました。

今、「大人」になって振り返ればあの「おばさん」には何の罪もありません。むしろNHKの電波を十秒以上も止め、日本人の心をひとつにした「鈍感力」は再評価すべきかも知れません。年齢から言えば既に黄泉の国にいる筈ですが「はずみ」で天国にいるかも知れません。「神様」の前で正しく歌うことを祈るのみです。

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