いつも指が自動操縦的に弾いている曲を、舞台で人前で弾く時に、極度に緊張してありえないミスをすることがある。自動操縦のまま弾いてればいいのに、急に、指の運びに疑いをもったり、楽譜による根拠を欲しがったりして できなくなるのだ。そこは全くとちるはずのない箇所なのに。
それは、練習が足りないとかいう問題じゃない。練習で何百回と弾いてきて、当たり前になったのだから。
普段、素晴らしく官能的に情感豊かに弾いている曲が、人前での緊張で、急に弾けなくなる。
私は心理的な術でこれを克服しようと思う。
その曲に対して下からになるとだめになる。舞台で聴衆の前で弾けと言われると、極度の緊張で、その曲に対して下から臨む感じになってしまったりする。恐れ、怯え、不安、心配に押しつぶされて弱気になるのだ。
その曲を能動的に 内発的に 弾く姿勢を確保しなければならない。
その曲が外から与えられた課題 こなさないといけないハードルになってはいけない。TVで正確なピアノ演奏技術を競う番組があるが、あの演奏が全く魅力がないのは、曲が、弾き手にとって完全に上位になり 超えるべきハードルになっているからである。息だけつまり、全く音楽を謳歌できない。
曲を内から弾くことを忘れないことは、急に震え上がって弾けなくなることを克服する術である。