『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

『夜の樹』 トルーマン・カポーティ

2008-05-18 | Books(本):愛すべき活字


『夜の樹』
トルーマン・カポーティ(米:1924-84)
川本三郎訳
”A Tree Of Night””The Thanksgiving Visitor”by Truman Capote(1945~73)
1994年・新潮文庫


さっき、ランドマーク・タワー68階のチャイニーズでたらふく飯を食っちゃって。

ボリューム満点のコースを延々4時間食べ続け、満腹っていうか、もう裂腹。


最後に3段重ねのデザートが出てきた時、俺はすでに自力で席を立てない相撲の親方状態だった。

あ、そういえば明日、年に1回の健康診断だった・・・。


70年新潮社刊の龍口直太郎訳「夜の樹」の改訳版。

俺にとって、ちくま文庫のカポーティ短篇集は人生の10冊に入る宝石のような短篇集なのだが(キャッ、言っちゃった)、本書「夜の樹」もなかなか良い。


本書は40年代、若きカポーティが書いた短篇を中心に編んでいて「感謝祭のお客」(67年)以外は全て20代の作品。

カポーティがアンファン・テリブルと呼ばれた理由がよーく分かる。


「誕生日の子どもたち」(49年)は何度読んだか分からない大好きな一篇。

いわゆるカポーティのアラバマものの一つ。
(カポーティの短篇は後期NYを描いた作品と、アラバマで過ごした幼少期を描いた作品で、ムードが二分される)

言ってみればそんなアラバマの一少年の体験談なんて、東京でいそいそと暮らす現在の自分の生活に1mmも関係がない訳だが。

なのにグッと心を掴まれ、引きずり込まれる。


カポーティにしては珍しくコミカルな「僕にだって言いぶんがある」も悪くないね。


そして「感謝祭のお客」。

泣いちゃうね。

誰の心にも幼少時代に自分を庇ってくれた、ミス・スックのような人の思い出が住んでいるのではないだろうか。


■トルーマン・カポーティ関連

(1)カポーティの著作
『ローカル・カラー/観察記録』(小田島雄志訳/ 1988年・早川書房)
『夜の樹』(川本三郎訳/ 1994年・新潮文庫) 
『誕生日の子供たち』(村上春樹訳/ 2002年・文芸春秋) 
『ティファニーで朝食を』(村上春樹訳/ 2008年・新潮社) 

(2)映画 de カポーティ
映画 『カポーティ』

(3)絵本 de カポーティ
『ヌレエフの犬』 エルケ・ハイデンライヒ & ミヒャエル・ゾーヴァ  



<Amazon>

夜の樹 (新潮文庫)
Truman Capote,川本 三郎
新潮社

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