『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

映画 『カポーティ』

2010-04-29 | Movie(映画):映画ってさ

『カポーティ』
”Capote”
監督 ベネット・ミラー
脚本 ダン・ファターマン
2005年・米


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1959年、カンザス州の小さな町で、一家4人が惨殺される事件が起こった。

この事件に興味を持ったカポーティは、幼馴染のハーパー・リーと共に、取材のため現地へ向かう。

カポーティは現地で殺人犯と知り合い、やがて交流を深めていく。


そして書き上げた『冷血』はノンフィクション・ノベルの草分けとなり、同時にカポーティの最後の作品となった。

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『冷血』というタイトルは、罪のない家族を惨殺した犯人たちを指すという説と、犯人たちと友情を深めながら内心では死刑執行を望んでいたカポーティ自身を表すという2説がある。


カポーティは最初、単純に、加害者2人を指して冷血と名付けたと思う。

もちろんあの天才だから、途中から気付いただろう。

冷血は自分だと。


でも、タイトルを変えたりはしなかった。

生粋のナルシストであるカポーティは、いつでも自分に目を向けているし、本の題名が実は自分を指しているのは、それはそれで好ましいと思ったはずだ。


カポーティのNY社交界での軽薄さと、それに反する内面の繊細さ。

この両方を、アカデミー主演男優賞受賞のフィリップ・シーモア・ホフマンが、余すところなく表現していて、なんつーか、もう・・・痛い。


あと、『冷血』の取材にはカポーティの幼馴染であるハーパー・リーが付き添っていて、そのことがこの映画でも描かれてる。


そんで、カポーティは同作品を彼女に献呈したんだけど、よりによってこの一家惨殺のルポタージュを贈られて、女子は嬉しいもんなんだろうか・・・?




■トルーマン・カポーティ関連

(1)カポーティの著作
『ローカル・カラー/観察記録』(小田島雄志訳/ 1988年・早川書房)
『夜の樹』(川本三郎訳/ 1994年・新潮文庫) 
『誕生日の子供たち』(村上春樹訳/ 2002年・文芸春秋) 
『ティファニーで朝食を』(村上春樹訳/ 2008年・新潮社) 

(2)映画 de カポーティ
映画 『カポーティ』

(3)絵本 de カポーティ
『ヌレエフの犬』 エルケ・ハイデンライヒ & ミヒャエル・ゾーヴァ  


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ジェラルド・クラーク
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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