輝建設 2代目日記 Je dois etudier.

大阪で注文住宅をつくる工務店の2代目ブログ。古民家再生、OMソーラーもやります。

藤森照信と養老孟司と宮崎駿

2008年01月31日 23時20分46秒 | 雑記
ここ数日、私の大好きな建築家「藤森照信」さんの作品集を買って幸せなひと時をすごしています。

移動の電車や布団の中で写真を眺めるだけでなく、テキストも熱心に読んでおります(藤森さんはもともとは著名な建築史家であらせられるのです)。

建築の本を読んでいて(眺めていて?)、笑うことなどほとんどないのですが、今回の藤森さんの本はくすくす笑えるところいっぱいでした。

例えば……

藤森さんは処女作(神長官守矢資料館)のあと、本業の建築史家にもどったけど、腕がうずいて仕方がなかったらしいのですが……

「…(前略)…もちろん、設計の依頼があるわけでもなく、しかたなく自分の家を設計することにした…(後略)…」

しかたなくてできあがったのがあのタンポポハウスとは!


タンポポハウスなどの藤森作品は先生の研究室のサイトにてどうぞ
(藤森先生は東大の先生なんです)

藤森照信研究室
http://tampopo-house.iis.u-tokyo.ac.jp/
※東大のドメインだと思うのですが、サブドメインにタンポポハウスとか入っています。どなたが学内書類に大真面目な顔して、タンポポハウスと書かれたのでしょうか。


というわけで、ここ数日は少しずつ、楽しみに藤森作品集に眼を通しているのですが、藤森先生は「バカの壁」で有名な養老孟史さんの昆虫コレクションを展示する建物をつくられていて、ちょうどその行を読んでいるときに本屋にて……

……養老孟史さんと映画監督の宮崎駿さんの対談集「虫眼とアニ眼」を本屋で見つけました。

ちょっと偶然?

10年前ぐらいに宮崎さんが「もののけ姫」を世に出された頃の対談に宮崎さんが今回の文庫本のために書下ろした文章や絵も入っています。

写真の下のほうの絵は宮崎さんがかかれた保育園の絵です。ちょっと藤森っぽいぞ!

これは宮崎さんと美術家?の荒川修作さんとのコラボでできた絵だそうです。

この本のテーマは現代文明が私達の動物的な感覚をうばっているというようなこと(だと私は理解したのですが)で、そんな状況を打破するにはやっぱり、子供達の動物的な感性を奪ってはいけない、じゃあどのような保育園や幼稚園がいいのか?? 

宮崎ワールドではこんな保育園ができてしまうのです。ナウシカの土の塔やラピュタのパズーの鳥小屋など、宮崎ワールドの建物は魅力的なものがいっぱいです。

藤森さんの建物って宮崎ワールドとベクトルはだいたい同じだと思うのですが、みなさんはどう思われますか。

最近このような野蛮ギャルドな建物やその写真、イラストなどにこころがときめくのはほとんど直線だけで構成されている建物ばかりを毎日、仕事だけでなく生活シーンで見ているせいかもしれません。

藤森さんの建物も機械的な仕上げにならないように、手作業にこだわられていて、わたしはそこにとてもとても共感を覚えます。藤森さんが「毛深い」という言葉で表現されたりもしていますが、私も「毛深く」ありたい。(もちろん、建物全体の構成も刺激的でシンパシーを感じます)


宮崎ワールドも実際に立ち上がってくるとそんな「毛深い」テクスチャーになるのかと思います。


とか考えているとフンデルトワッサー(大阪舞州にあるキンキラのごみ焼却場をデザインした藝術家でもあり建築家)のいった言葉、

「自然界に直線はない!」

という言葉を思い出さずにいられません。

うーん、なるほど。すばらしい含蓄を含んだ言葉です。

(あのゴミ工場、大阪市の借金は増えましたが私は建物としては好きなんです。変だから。やっぱり借金増えたのは問題ですが)



あと、藤森さんが今回の作品集の巻等で書かれていた
「無国籍な民家=インターナショナルなヴァナキュラー」という言葉は
私、いつも思っていながらもなんだか言葉にできていなかったことを
ズバっといってくださっていました。

民家ってそれぞれの歴史や文化に依拠しているものなので、無国籍であることって矛盾するんですね。

でも、いまその矛盾起こっています!

藤森建物はいい意味で。

日本に立ち並ぶ、プロヴァンス風の建売は悪い意味で(←あくまでも私の感性において。もしかしたら、後年ここから何か生まれるかもしれませんし)


対談集の中で、養老さんがおっしゃっていた言葉も合わせて付けておきます

「自然環境というのは、ものすごいディテールで成り立っていて、いまの人間は、それを完全に無視して生きているということです」

だらだらと話も長くなってきましたので、このあたりで。





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