89歳の日々

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鎌仲ひとみ監督の“映画「ヒバクシャ」とトークの集い”

2011-08-24 19:34:35 | 日々
催しが終わって、皆で乾杯!(一番奥の中央が監督 於いて:自宅居間)

 鎌仲ひとみ監督の“映画「ヒバクシャ」とトークの集い”
8月21日(日)鎌仲ひとみ監督を迎えて、女性8人の「人と地球を愛する会」が
主催した「映画ヒバクシャとトークの集い」の催しに、私もメンバーの一人
として参加しました。  
 若い女性の会などが積極的に支援して下さり、若者から高齢者まで
沢山の方にご覧頂く事が出来ました。

 鎌仲監督を囲む食事会の席で、最も危険な高速増殖炉「モンジュ」は
私共の加賀市から80k地点にあり、絶対止めさせなければなりません。
鎌仲監督の意見では、北陸電力に皆が取り止めるように出来るだけ沢山
電話をするのが有効とのご意見でした。
実際1年間毎日電話をなさった方が有るそうです。
 弱い小さい一人一人の声も、大きな結果を導くでしょう。
私共もぜひこの方法を実践したいと思いました。

  この10年、15年前から普通の人々の暮らしが悪くなったと思う人
は多いでしょう。
小泉内閣、竹中経済政策担当大臣の下で沢山の規制緩和が行われ、
「市場原理主義」が政策とされ非正規労働者が増え、
大企業の利益は一層増して政党に取り入れやすくなり、
一般の人々の収入は低くなりその意見も一層弱いものになっていきます。

1世帯当たりの平均年収476万円、その半分の238万円以下で暮らす貧困率は
15.3%、日本では何と6.5世帯に1世帯は貧困世帯となるそうです。
貧しい人が一層増える「市場原理主義」の政策の結果と言われます。
(以上2006年発行;内藤克人著「悪夢のサイクル―市場原理主義―」から)

今週の朝日新聞の書評欄の「余震・・そして中間層がいなくなる」
と言う本は、アメリカでは最上位1%に人が国民総所得の25%を
得ていて、中間層は過去30年賃金が横ばいと まさに日本と同じ構図のようで
題名のように「そして中間層がいなくなる」・・です。


暑い夏は楽しい本を読みましょう。

2011-08-06 14:30:25 | 読書
 私は暑い夏に、テレビの週刊ブックレビューから
下記の三冊を図書館から借りて読みました。

「草の花」俳風三麗花  三田完作
東京下町の句会に3人の麗人がいて、昭和10年ころからの
満州国擁立や、中国侵略、敗戦等の日本の歴史にそれぞれが、
翻弄されます。

1人は歌舞伎役者の菊五郎に見受けされた芸者で
2.26事件に遭遇する。
1人は女医さんで満州の大連での病院勤務になり
甘粕正彦(関東大震災の時大杉栄や伊藤野枝を殺した)
と親しくなり、其処には、李・香蘭,川島芳子等も活
躍している。

もう1人は大学教授と不幸な結婚をしています。
しかし仲良し3人は満州皇帝の御前で俳句を詠むために
満州に揃います。
永井荷風はじめ有名人も沢山実名で出ていて面白い本です。 


「ツリー・ハウス」角田光代作

新宿の片隅で中華料理屋をしている三代の家族の話です。
おじいさんとお祖母さんは、どうして自分たちが
満州まで行って働いたのか分からないと言います。

多分、沢山の土地が貰え、とても良い事が有るとか言う
宣伝に乗って、満州に行ったのだろうと思っていましたが
老年になって孫ともう一度満州に行ってみると自分も
確かに満州の広い広野に憧れ、希望を持った事を思い出します。

多分、多くの人は貧しさからばかりでなく、そこに夢を描いた
人達が満州に行ったというのです。
敗戦で帰って来て何とか生活を立て直しますが、
その後子供や孫の時代になって、様変わりした考え、
時代や生活を描いています。


「幻日」 市川森一

「島原の乱」とくれば天草四郎でしょうか。
著者は初めに、“ローマのキリシタン関係の資料に天草四郎は
天正遺欧使節・改宗者の千々石ミゲルの息子だった事を発見し“
この本を書いたとしています。

天草四郎の母は西洋人の娼婦であったとし、色白の美しい四郎を
首領にし、島原の乱が始まります。
原城に立て籠もったのは、農民の他に旧領主の武士たちも多く、
事実初めは幕府方に相当被害が多かった様です。

落城後、幕府は島原の過酷な領主に対して、例外的に処刑をしたそうです。
作者は「黄金の日々」「山河燃ゆ」などの有名なテレビドラマを作った人で、
長崎生まれの彼は思いを込めて天草四郎を描き「幻日」を書いています。

蛇足ながら・・
小説では帰国した天正遺欧使節たちも島原の乱で活躍します。
その中で、幕府に捕えられ、逆さ吊りの刑で殉教した
中浦ジュリアンが最後に「私はローマを見たジュリアンだ」
と言う処は史実に書かれている事実です。

江戸時代初め、九州の片田舎から輝かしい欧州世界を回り、
なかんずくヴァチカンを見て来た彼の叫びでありましょう。

九谷焼美術館の高田宏館長も「少年賛歌」と言う本で殉教者が
最後に「私はローマを見た」と言った・・感慨深く語りました。
「少年賛歌」は三浦哲郎が天正の遺欧使節団を史実に基き
何処を通り、何処の館に泊まり何を着て誰に会いどう思ったかを
詳細に描いている小説です。