"ちょっと外から見た日本"

今、スペインに住んでいます。
大好きな日本のこと、
外からの視点で触れて見たいと思います。

“ユーロ危機の最悪期はまだこれから”

2011-09-06 03:33:33 | 日記

今日も、欧州各国の株式市場は、軒並み5%前後値下がりして、イタリアや、スペインも含めた国々の国債の利回りも上がって来ています。

 
 
ギリシャの2年物の国債は、金利がなんと50%を越えてしまいました。
 
2年預けると2倍になるギリシャの国債、買ってみませんか?
 
ただし、クーポンが支払われ、元本がちゃんと帰ってくることが前提の計算ですが。
 
 
 
2011年9月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙の記事よりです。
 
私もこの記事の論旨は、全くその通りだと思っています。
 
 
 
ユーロ圏に関する現時点で最大の不安要素は、危機解決に向けたすべての戦略が、経済がある程度堅調に回復するという前提で立てられている点だ。
経済政策を担う欧州当局者にとっての最優先課題は、一にも二にもこの景気減速を食い止め、回復へと転じさせることであるべきだ。これを実現できなければ、ありとあらゆる危機解決プログラムが失敗に終わりかねず、ユーロ危機は最悪の結末を迎える
 
今の状況下で、まず優先すべきことは、景気回復へと転じる政策を取ること。
 
しかし、実際にはそうなっていません。
 
ユーロで苦しんでいる国々は、EC(欧州連合)やECB(欧州中央銀行)やIMF(国際通貨基金)からなんとかお金を出してもらうために、緊縮財政を強いられています。
 
「いや、過度の緊縮財政を取ると経済活動自体が収縮してしまう。だから今はもっとお金がたくさん必要なのです。」
 
とギリシャやイタリア等の当事者の国々がそれを言い出すと、では、お金は出しませんと言われてしまいます。
 
お金を出す国々は、そんな国にお金を出し続けようとすると国民の支持を得られないという事情があるからです。
 
 
残念ながら、現行の経済政策は景気の下降局面を全く想定していない。欧州中央銀行(ECB)は今春以来、金融政策を引き締めている。各国政府が先を争うように緊縮計画を発表する中で、財政政策も引き締めに向かっている。政策立案者は問題を早急に解決するつもりはないように見える
 
金融緩和を行うことによってどれだけの効果があるかということについては、米国で金融緩和の効果が限定されていたことを見ても、クエスチョンマークではあります。
 
しかし、確かに、ECBがこの環境下で金融引締めを行っているということについてはやはり疑問が残ります。
 
 
財政政策はどうか。 最低限、ユーロ圏内のすべての国が緊縮財政計画を即刻取り下げ、自動安定化装置がフルに効力を発揮できるよう、財政的に中立の立場に戻ることが期待される
 
全く正論でその通りだと思いますが、今それを言い出す人は、少なくとも資金の出し手の政府関係者の中にはだれもいません。
 
各国がばらばらに財政政策を取る現在の制度の下で、緊縮財政措置が次々に伝染し、景気減速も伝染するという流れに陥っている。
これが今の現状です。その方向性が変わらない限り、危機は益々深刻化して行くでしょう。
財政同盟が存在しない限り、ユーロ圏諸国は、お互いに協調し合う以外の選択肢はない。筆者としては、これを徹底して、ドイツ、オランダ、フィンランドが自らの裁量で財政刺激策を実施し、南欧諸国の緊縮財政を埋め合わせることが望ましいと考える。
とりあえず、今うまく行っている国々だけでも財政刺激策を取るという内容です。
これは、比較的自国民の支持も受けやすく、現実的な施策かも知れません。
重要なのは、ユーロ圏を全体で見た時の財政状態だ。しかし現時点では、不協和音を奏でるユーロ圏各国の政府には、景気の減速がユーロそのものの存続を危うくする脅威だとの認識はほとんどない。
景気が減速するということは、税収も減っていくということで、それは即ち財政の改善も実現しないという、とても当たり前のことなのですが、その考え方は、それぞれの国や国民のエゴも絡んで受け入れていません。
ゆえに景気の減速は無防備なユーロ圏を容赦なく襲うだろうというのが、筆者の見方だ。そうなれば、ユーロ圏の危機は一段と悪化することになる。
どうやらこのままでは行くところまで行ってしまう、という感じになって来ています。