Gute Reise

東大で西洋建築史の研究をしながら設計を勉強している大学院生の日々の記録です。リスボン大に1年間留学を終え、帰国しました。

リスボンのベルサイユ/モンサント前夜

2017-03-01 | LISBOA・FAUL
ゆっくりと起きてしまったが、一昨日入り口がわからなかったんですけどこれってアポ必要ってことですか?と情けないメールを打ったCIULの職員から、入り口の場所であったり、古い図録などの資料を見るならArquivo Municipal do Lisboaという機関がいいかもしれないですと返信が来ていたので、早速行ってみる。

出て来た職員の方は、綺麗なブリティッシュイングリッシュで対応してくれた。

Alfama地区の資料が見たいのですが、と言うと、どの建物がいいですか?と聞かれる。
どの建物というか、、、地域の資料が見たいのですが。と話すと、ああ、なるほど、ここで資料を見るなら建物を決めて来てもらわないとだめなんです、そういうことなら別の機関に行った方がいいです、と言って電話番号などをメモして戻って来てくれた。

古い写真の資料を手に入れるには、だとか、リノベーションを調べたくて、と事情を説明する度、随分丁寧にアドバイスをくれて、結局この機関では、リスボンの殆ど全ての建物ひとつひとつの図面を収録しているのだということがわかった。

試しにひとつ分持って来て見せてくれたのだが、青焼きの平・立・断面図が収められた分厚ーい図集に44Aと住所を表す文字が記されている。
これが全建物分あるということか。

こんなにきちんと図録が残っているとは思ってもみなかったので、全部まるっと見て面白そうなものをピックアップしようだなんて思っていたが、私も職員さんも、それは到底無理だねと頷き合って、先に写真や現調で良さそうな物件をピックアップしてから歴史を遡るのが賢そうだと合意した。


また後日改めて来ますと伝え、グッドラック!なんて言われながらアーカイブを後にし、教えて頂いた、そして以前開館曜日を間違えて土曜日に突撃し不発に終わった写真アーカイブへ。

受付には多分前土曜日に来た時にもいた警備の男性と別の女性職員の方。
どちらもポルトガル語が通じなかったので、またもグーグル翻訳で、ここで古い写真のアーカイブが見られると聞いたのですが、と尋ねると、ああわかったと2階に案内される。



こちらの建物もリノベだったのかと感心した。

アーカイブの受付の女性は英語が少しできる方だったのだが、どうやら古い写真の資料は、公開されているものは全てネットで見られるようになっていて、論文で必要な場合に著作権料を支払って使用する手続きをすればよいらしい。

手取り足取りホームページの使い方を教えてもらったのだが、Alfamaの写真はなんと890枚にも及ぶ。
この中から使えそうなものを探し出し、現在の街と照合する作業はなかなか大変だな、、と思いつつ、白黒写真の中で笑顔で映る子供の写真を見ていたら、楽しいかもと思い始めた。


写真アーカイブを出て、わざわざMartin Moniz(治安が悪いと噂のチャイナタウン)まで来たので、チャイニーズスーパーでみりんと味噌を買い、16時に待ち合わせしていたので、PADARIA PORTUGUESAで時間を潰してから、アンドレさんとお茶。

Pastelaria Versaillesというカフェで、リスボンにしては(失礼)随分とファンシーだった。



行きたい国の話など暫くして、私はCIULへ。
ここでも、手取り足取りホームページの使い方を教えてもらい、どうやら古地図はこの機関では手に入らないということが発覚した。
学校で来週問い合わせてみよう。

しかし、この機関はヨーロッパではかなり珍しく夜20時まで開いていて、多くの学生や研究員と思しき人たちがいっぱい作業していていい自習空間だと思った。
職員の方も親切だったし、きっとまた来よう。


20時にHAGISOのワークショップでばったり出会い、卒制のヘルパーもしてくれた高校の後輩のとりちゃんと待ち合わせる。
バルセロナでのワークショップ前にポルトガルに来ていて、明日は2人でモンサントに行く。

アレンテージョ地方の料理が食べられるレストランで、カウンターで頼むスタイルだったので並んでいると、後ろのご夫婦が私のメニューを覗き込んでいたので、お見せする。
すぐに観光客だとわかったのだが、ドイツ語で会話されていたので、ドイツから来られたんですか?と尋ねると、驚いた様子で、はい、そうです!と。

知らない都市だったが、デュッセルドルフとかの近くみたい。
あなたはここにどのくらい来てるの?だとか、建築の勉強には魅力的な街でしょうね、だとか色々言って頂いて、あなたドイツ住んでたの?と、めちゃくちゃな文法で最初質問した私なんかに勿体無い言葉を掛けてくれたのだが、いや、第二外国語ですと言うと、あ〜なるほどね、と。
お互いにいい時間過ごしてねと言い合って、私は注文を終えて席に戻る。

先程も書いた通り、とりちゃんとは中高が一緒なので、去年の春卒業旅行で同期と京都に行った時もそうだったが、高校の思い出話は本当に尽きない。

ふと、高3の頃、お昼を早弁してまで昼休み勉強していた同級生に触発されて自分も同じようにして早弁して昼休みは自習室に篭っていたことを思い出した。

大学受験より院試の方が何倍も勉強した、と院試が終わった時は思っていたけれど、やっぱり受験の頃の方が何に対しても直向きで努力することの意味を問う前に努力していたんじゃないかなと思い返して、今の自分の怠惰を恥じた、、、