光と影のつづれ織り

写真で綴る雑記帳

川田祐子展 ー千年の翠(みどり)- 横須賀美術館 その2

2016年07月14日 | アート 現代美術

 川田祐子展 ー千年の翠(みどり)-の後半です。

最近作の並んだコーナです。 

なお、今回、川田画家や主催者の御厚意で、特別に撮影許可を頂いています。

 

前回紹介した作品が、スクラッチやハッチング、そのミックスしたものでした、近作は油彩画になっています。

そのあたりが、川田作家のブログで説明されていますので是非ご覧になってください。

 

タイトルの「甘露」  中国古典などに詳しい川田作家らしい題名です。 色合いがいい。

 

 

 

 

これも難しいタイトル。  玲瓏は、澄み切った美しいさまを示す言葉。

 

 

 

 機微としての蔦草…‣ウーン、考えてもよくわかりませんが、絵をみると蔦の花が見えるようです。

 

 

例によって、クローズアップ。  いつも不思議に思うのは、こうして部分だけの拡大を行っても、これだけで一幅の絵になっていることです。

 

 

さらに拡大。 キャンバス目が みえるのですが、このレベルでも複雑に微細に、微妙なぼかしがかけられています!

 

 

 

「揺光の花」は、2015年暮れの個展の中心作品。

 

 

 

部分拡大。  重層的に塗り重ねたぼかしやグラデーション、そして色そのものが綺麗です。

 

 

 

緑がコアな色になってきます。

 

 

 

部分拡大。  微妙な色合いが確認できます。

 

 

 

更に拡大。  この微細さで、このボカシ!

 

 

最近作で最も大きな作品です。  基本的なモチーフは、木々から漏れる光などの光景だと思いますが、私には、細胞内の景色に見えてきました。

ミトコンドリア、DNA,RNA、作成されたタンパク質・・・・いろいろに見れるのも川田作品の特徴です。

 

 

 何段階も拡大してみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまで拡大すると、微細な孔が見えます。  肉眼では見えないようなレベルです。  微細な塗りも確認できます。

 

 

 

 

 次の、「 翡翠の泉」 一番お気に入りの作品です。

 

 

 

部分拡大。

 

 

 

更に拡大。  何と綺麗な色!

 

 

この作品、気に入っていろいろと触ってみると、左に90度回転させると
下の絵になります。(川田画家、勝手に作品をいじってすみません)
産卵と受精のような光景に見えます。  今回は生命現象のイメージがなぜか湧きます。

 

 

 

 ガラリと変わって、次は第2の展示室の作品です。

第一展示室が主要な作品とすると、作風の流れを補足するような作品群です。

「memory of sands」 今から11年前の作品。

前回紹介した、1998年の初期スクラッチ作品のイメージは継承しつつも、ハッチングの導入で痛々しい感じは薄れ、複雑なイメージを想起
させます。

 

 

部分拡大。

 

 更に拡大。 ハッチングの微妙な色合いの変化によって、複雑性が増すように思います。

 

 

 そして、2009年頃の「KAGUYA」や「FUJI」などの連作、大作「雪波」で、スクラッチとハッチング作品の頂点を迎えたように思います。

その頃の作品 「震生」

 

 

 部分拡大。   スクラッチはハッチングに隠れるようになってきました。

 

 

 

以降、ハッチングのみの作品となっていきます。  

そして、空をモチーフにした作品が多くなります。 

  

 

 

 

 

 

 

 部分拡大。 

 

 

 

 

  

 

 

 

部分拡大

 

 

更に拡大。 こうして、細部のディテールをみると、ハッチング作品も油彩作品も、色の重なり合いやそのぼかし具合など、手法の違いを

越えて、共通するものがあります。

 

 

 

 

  

 

 

 

  

 個人蔵で額装したものもありました。 ただ、写真に撮るとガラスの反射が避けられません。

 

 

 

 

  

 2015年には、草花にモチーフが移ります。 その代表作がこの作品。

  

 

 

花芯部分の拡大。 

 

 

 

花びらの端部分。

 

 

 

いかがでしたでしょうか川田作品。

作風や技法の変遷はありますが、一貫して微小なディテールから積み上げて、マクロの面白い形が立ち現れる作品になっています。

ディテールに神は宿ると言いますが、神々の宿った曼陀羅作品が、今後も私達を驚かせ、楽しませてくれることでしょう。


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