ゲームショウに行ってきた。
年に二回の、テレビゲーム業界のビッグイベント。
実は僕はもともと、テレビゲーム販売担当を15年近くやってきた人間なので(ファミコンのスーパーマリオ発売時にレジに立ち、ドラクエⅡの発売日には行列を裁いた。)、見て回るだけでワクワクする。
最新電子技術の発達が、ダイレクトに見て取れる見本市でもあるので、そういった視点からも面白い。
テレビゲームは、素人でも見て分かるような技術の進化があるたびに、自動的にビジネスチャンスが訪れる商品だ。
「今度はポリゴンが使えるようになったぜ!」
「すげー!買うしか!」
「今度はポリゴンが実写みたいに奇麗だぜ!」
「すげー!買うしか!」
「携帯ゲームでこんなに綺麗だぜ!通信もできるぜ!」
「うっひょおお!買うしか!」
こういった販促は、TCGでは考えにくい。
どんな斬新なシステムも、カードゲームでは、見ただけではその新しさ、魅力は伝わらない。
僕みたいにTCGで飯を食っている人間であっても、
「自分でパック剥いて、自分でデッキを組むまで分からない。」
のだ。
そりゃ、メーカーも、新製品の販促に苦労する。
もっとも僕は、そこにやりがいを感じるし、アナログなノウハウの積み上げこそ、勝負所だと考えているのだけれど。
独立して、自分で商売を始めようとしたとき、15年積み上げてきた知識を以て、テレビゲーム屋を始めるという選択肢は、確かにあった。
しかし、テレビゲームショップなんて、影も形もなかった時代から、ファミコンを売り続けてきた僕にとって、新たなスタートたる“起業”でチャレンジすべきことは・・・何だかテレビゲームではないような気がした。
なんか、今更、という感じがしたのだ。
僕は、テレビゲームが“ヲタク”(オタクではない)の物で、マイノリティーの趣味であったときに、その良さを広めることに喜びを感じていた。
しかし今やテレビゲームは、広く一般の趣味として認知され、「普通の」物になった。
そう「成った」ものを、今更取り扱うことに、やりがいがあるだろうか?
僕は生粋の“ヲタク”だ。ファッションで“オタク”をやってるんじゃない、若かりし時、やめたくてもやめられなかった、抜けたくても抜けられなかった、魂に呪縛の罹った偏屈な理屈屋だ。
だから、「普通の趣味」になってしまったテレビゲームに、人生を賭ける熱意は無くなっていたのかも知れない。
それに・・・・技術に拠って立つ物は、技術によって滅ぶこともある。
もしも、テレビゲームの新作が、メーカーからのデータ配信によって販売されるようになったとしたら、テレビゲームショップはどうなるのだろう?
永遠の商売なんて存在しない。
昔はどこにでもあった商売、八百屋も金物屋も、もう滅多に見かけない。スーパーとホームセンターに取って変わったのだ。
ほんの数年前までは、下町の小さな商店街にも、テーブル筐体メインのゲームセンターがたくさんあった。
が、今はほとんど見かけない。なぜか?
ゲームセンターの新作が、大型筐体や、オンラインゲーム中心になったからだ。
「小規模な、テーブル筐体ゲーム中心のゲームセンター」
という“業態”は、死滅しようとしている。
インベーダーゲームのブームから数えるなら、大体、30年近くの寿命であったということだろうか。
「そうした場所」 で青春を過ごした身としては、少しさみしく感じる。(僕達の商売は、30年と言わず、もっともっと続けたいものだ。)
でも、ゲームショウの盛況ぶりを見ていると、それも杞憂のように思えてくる。
ゲームショップの形がどうあれ、ゲームセンターの在り様がどうあれ、テレビゲーム業界そのものは大繁盛しているようだ。
とはいえ、ゲームショウ自体は、TCGにはあんまり関係ないイベントだ。
限定グッズを手に入れるために行列に並ぶなんて、贅沢な時間があるわけでもない僕が、何しに来たかというと・・・・・
おお、あったあった。
我らがTCG業界のメーカー、ブシロード(http://bushiroad.com/)さんですよ。
「しかし・・・話には聞いてましたが木谷社長、何だってテレビゲームのイベントにTCGメーカーの御社が出店されたんです?」
「やあ池田さん。それはね、今回、ヴァイスシュヴァルツ(http://ws-tcg.com/)の新タイトルに“ザ・キング・オブ・ファイターズ”と“シャイニング・フォース イクサ”が入りますんでね。」
「ああー、なるほど。」
「ヴァイスは基本、(あくまで基本らしい)
『コンシューマーゲーム(家庭用ゲーム)になったタイトルのTCG化』
ですから、こういったところでファンにアピールしたいんですよ。」
実際、両タイトルのプロモカードが配布されていたのだが、女性層を中心にエライ人気。
噂が噂を読んで、行列ができている。
個人的にはKOFの参戦は、今までのタイトルの中でも一番うれしい!
前述した通り、青春時代をゲームセンターで仲間と共に過ごした僕は、ご多分にもれず、対戦型格闘ゲームが大好きだった。
どのぐらい好きだったかというと、ゲームセンターにストリートファイターⅡダッシュが出た日には、自宅にもあったぐらいだ。
どういうことかって?!
ゲーセンの稼働日前に予約して、基盤を買ったんだよ。30万円で。(むろん、ターボになった時も、15万出してバージョンアップした。)
しかし、下手の横好きもええとこで、現役時代は、基盤を持っているにも関わらず、いつまでたっても“昇竜拳”が出せないという、恐るべきヘボレベル止まり。
足でジョイスティックを操り、スクリューパイルドライバーすら出せる弟を横目に、延々とエドモンド本田を使い続けるという、最下層民ゲーマーであった。
むろん、KOFもやったが、連続技、固め技マンセーのシステムについていけるはずもなく、華麗なテクニックで各キャラを使いこなす友人達の活躍を、指をくわえて見ているだけだった・・・と言っても過言ではない。
ではなぜ好きだったかと言うと・・・うーん、格闘ゲームという、新しいコミュニケーション・ツールの可能性に惹かれていたんだろうなぁ。
そこには、“仲間”も居たしね。
あと、やっぱり、キャラクターも良かった。今回のカードも、不知火舞のイラストのクオリティやら、色々な意味で気になる。(笑)
コレクションとしてだけでも、買いまくる結果になるだろうな。
僕 「しかし、TCGゲーマー的には、『何で今更キンターズやねん』って人も居るでしょうね。」
社長「そりゃどんなタイトルでも、そういった意見はあるでしょうね。
でも、ヴァイスシュヴァルツは、
『全部買わなくていい』
っていう、ユーザーにとって楽なTCGとして作りたいんですよ。
ほら、ほとんどのゲームって、新しいセットが出たら毎回毎回、全部買わなきゃついていけないでしょ?」
「まあ、普通そうですね。」
「僕は、それがしんどいなぁって思ったんです。
欲しいタイトルのセットだけ買っても、十分に遊ぶことができるゲームの方が、皆さんに楽に楽しんでもらえるんじゃないか?と思いましてね。」
「なるほどなあ。
逆に、タイトルが気に入って、ここから始めようと思ったら、昔のカードがなくても全然問題なくデッキが組めるんですよね。」
「そうですね。
もちろん、全部がっちり揃えてくださるカードゲーマーは、デッキ選択の自由度が楽しめるから、それはそれで楽しんでもらえるんじゃないかと。」
「しかしそれって、ゲームを作る方は大変だなぁ。(笑)
木谷社長も大概、中村さんには無茶言ってませんか?」
「そりゃ中村さんじゃなきゃ、ヴァイスシュヴァルツは作れないでしょうね。(笑)」
出来るから負わされた企画か。業が深いなぁ、中村さん。(笑)
「ところで今日は、サンデーVSマガジン(http://svsm.jp/)の大会もやってるんですが・・・
池田さん、デッキ持ってます?」
「いや、今は。」
「いけませんなぁ!」
「俺は今、徳島から帰ってきたところなんですよ!このあと秋葉原に行って、自分の店でシングル買って、デッキを完成させようと思ってますが・・・」
「どんなデッキ?」
「サンマガって、ヒーローとヒロインとか、仲間との友情をあらわした、“パートナーアタック”がありますよね。」
「それを揃えたら、自動的にデッキになるのが便利ですよね。」
「なので俺は、パートナーの居ないキャラクターをかき集めた、『ひとり者デッキ』を作ろうかと・・・」
「なんでいちいち、そんな変なモノから入るんですか!」
「いやだから、“神聖モテモテ王国”のキャラに、そういうひとり者を強化する奴が居て・・!これは明らかに中村さんからの挑戦状だろうと・・・!」
「違うと思うけどなぁ!」
とかなんとか盛り上がったが、忙しい社長を馬鹿話に突き合わせるのは犯罪行為だと気付き、その場を後に、ブシロード物販コーナーへ行ってみた。
ここも行列。
むぅ。TCGメーカーがゲームショウに出店するのはどうか?と思ったが、これは完全に成功しているようだ。
新規層へのアピールといった面から見ても、「こうかはばつぐんだー!」であろう。
流石はパイオニア人間木谷社長、やりおる。俺も負けて居られん。
とりあえずサンマガを追加で1ボックス買って、デッキをふたつほど作ってみようと画策。
足りないカードは、秋葉原店のシングル買うか? よし、今からすぐ向かおう!
(ブースに出現していたザ・マッシュ君。何でも最近は、遊戯王のジェネクスデッキを作っているそうな。チッ!ネタが被ったか。よし、今度勝負だ!)
PS
その後サンデーVSマガジンのデッキ完成!名付けて“地獄のカップルバスターデッキ”!
よし。近いうち動画を撮ろう。
あ、そうそう。挑戦者求む!多分、十月中の土日は練馬春日店(http://www.stannet.ne.jp/fb/nerimakasuga.html)に居ますのでよろしく!
(いらっしゃる場合は、練馬店へ要電話確認。急用で突然いなくなることもあります。)