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スウェーデン Kingdom of Sweden

2007-08-26 | 世界地理
高福祉高負担の典型
スウェーデンの人口900万人のうち、公務員が300万人である。公務員のうち、福祉分野への女性の進出が著しい。社会福祉関連の公務員を雇用するため、スウェーデン国民の租税負担率は55%、社会保障負担率が20%である。家計収入の75%が、税金と福祉関連費用でなくなってしまう。スウェーデンの消費税は25%である。
スウェーデンの女性の職場進出率は80%である。女性が働くための職場として社会福祉分野が多い。つまり、スウェーデンの高福祉・高負担は、女性公務員への賃金を、支払うためというのが現実である。
高福祉高負担の政策が限界に達し、財政の赤字が問題になっている。財政再建を優先するために福祉水準の切り下げる立場と、高い福祉水準を維持するために25%の消費税を引き上げて税収を増やする立場とがある。政策的には一貫してはいない。



大企業も中小企業の税金の安い国に移転
スウェーデンの国際的大企業エリクソン(電話システム)、ボルボ(自動車)、SAAB(自動車)、イケア(家具)などは、法人税の低い国に別会社を設立して工場を移転して、法人税を節約した。さらに、残る国内工場を海外企業に乗っ取られたことにして、スウェーデン国内の税金支払いを軽減させた。
スウェーデンの中小企業は、経済成長の著しい中国・インドには中小企業も進出した。特に繊維・衣料においては、現地の低賃金労働力を利用して、アメリカ・日本市場に進出した。
スウェーデン企業は海外において大企業に成長している。一方、国内の産業空洞化、政府の財政難が大問題になっている。



福祉国家だが、原子力発電は49%を占める
2000年5月、与党の社会民主党が、2020年までに国内11基の原子力発電所を段階的に閉鎖することを、第1の政策目標とした。
そのための具体的政策として、リトアニアの原子力発電所の余剰電力を輸入する、石炭火力発電所をスウェーデン国内に増設する案が検討されている。
しかし、リトアニアの原発はチェルノブイリ原発と同じ設計であり、スウェーデンの原発よりは危険性が大きい。また、石炭火力発電は低コストだが、温室効果ガスと酸性雨の原因になってしまう。
風力発電は、デンマーク・ドイツの発電状況実績から、原子力発電に代わるほどの発電量を期待できないことが、明らかになったのである。
一方、現在稼働中の11原子力発電所を改修すれば、原子力発電所の寿命が30年から50年以上にのばすことができる。2020年までに原発を閉鎖する決定は、見直しが迫られている。


パーセベック原子力発電所の運転休止


スウェーデンのバーセベック原子力発電所は、コペンハーゲン(デンマーク)までの距離が25kmである。1975年に2基の原子力発電炉の運転を開始した。特に事故・故障はなかったが、建設位置についてデンマークから強く批判され、2001 年に1号機が運転が休止された。その代わりに、リトアニアのチェルノブイリ型原発でつくられた電力を輸入することになった。バーセベック2号機は運転中である。
スウェーデンが国内の原発1基を閉鎖し、リトアニアの原発から電力を輸入するエネルギー政策の矛盾が、国内外から指摘されている。
バーサベック発電所の1号機を再開するのか、2号機を閉鎖するのか、他地域に原発を増設するのかしないのかなど、スウェーデンの原子力政策が大きく揺らいでいる。


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