日本の風景 世界の風景

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スイス連邦  Swiss Confederation

2007-08-21 | 世界地理
スイスは中立国だが、徴兵制国家
スイスでは、18才になると徴兵のための身体検査を受ける義務があ。女性には兵役義務がない。男女間に差があるので、厳密な意味の国民皆兵制ではなく、徴兵制である。
18歳の誕生日をむかえた男性は、全員即座に兵役につくのではない。15週の軍事教練のあと、36才まで随時2週間の補充教練を受ける。36歳までに通算260日間の兵役を果たす義務が課されるのである。心身に障害のある者の兵役免除や良心的兵役拒否は認められている。
アインシュタインがスイス在留時(1894~1932)に徴兵検査を受けたが、「扁平足」であることを理由に兵役を免除された。本当の理由は、すでに天才的物理学者であることが世界的に知られていたことと、ユダヤ人だからであった。
ついでながら、わが夏目漱石も徴兵忌避のため、明治25年25歳の時に東京から北海道岩内に本籍を移した。当時の北海道は屯田兵制度が施行され、徴兵制度は適用外であった。

2005年のスイスの人口は725万人、常備軍人数は5000人である。厳格な徴兵制がありながら、兵役につく者は少ない。
18歳で軍事教練を受けたあと、戦闘用具一式を各自の家庭に持ち帰り、非常時に戦闘用具一式を持参し、指定場所に24時間以内に集合することが義務づけられている。
スイスの徴兵制の実質は、スイス人の民兵化訓練であり、同時に国防意識の高揚である。36歳になると兵役期間は終了、戦闘用具を国に返還する。

現代の戦争において、徴兵制で集めた素人に短期間の軍事教練を課しても、近代兵器を使うことはできない。職業軍人の後方を旧式カービン銃を背負ってついて行くだけである。したがって敵軍の人質になったり、同胞を背後から誤射したり、自分の銃で自殺したり、ろくなことがない。米軍のベトナム戦争・イラク戦争の泥沼長期戦が好例である。スイスでは、軍人の中から徴兵制を廃止する声が出ている。


鳥インフルエンザ流行予測で、ボロ儲け
日本は、独占販売権のある中外製薬
2006年末、日本の厚生省は鳥インフルエンザウィルスの亜種が人間に感染し、新型インフルエンザとなって爆発的に流行する。日本で500万人が罹患、16万人が死亡すると予測した。
インフルエンザ感染から48時間以内であれば、タミフルで治療できる。日本の厚生労働省は、1200万人分のタミフル備蓄計画を立てた。日本の独占発売元中外製薬は、2007年3月決算では128億円の利益を見込んでいたが、タミフル特需で238億円に上方修正した。

アメリカの、ラムズフェルド国務長官
アメリカのイラク戦争をブッシュに進言したのは、ラムズフェルド国務長官(当時)である。1997年にブッシュ政権の国防長官に就任するまで、タミフルを開発したギリアド社会長をつとめていた。国防長官就任とともにギリアド社会長は辞任したが、ギリアド社の大株主のままである。
ラムズフェルドは国防長官という地位を利用し、日本をはじめアジア諸国の政治家、マスコミ、医療関係者に鳥インフルエンザの脅威を吹き込み、タミフルを大量に販売することに成功した。3年間で世界中に4800万パックのタミフルを販売、そのうち2800万パックを日本に販売した。ラムズフェルド所有のギリアド社の株は1000万ドルから5倍に値上がりした。毎年100万ドル以上の株主配当を得ている。



スイスのロシェ社がタミフルを独占的に製造販売
タミフルの研究開発をし、特許を得たのはアメリカのギリアド社だが、タミフルを独占的に製造販売しているのはスイスの大手製薬会社ロシェである。ロシェはギリアド社に10%の特許料を払い、世界中にタミフルを輸出している。ロシェ社はタミフルだけで年間10億ドルの輸出をしている。
最大の輸出先は、ラムズフェルドのアメリカである。イラク戦争従軍中の兵士に鳥インフルエンザが流行しないように、大量のタミフルを戦地と米国内に備蓄している。
次の輸出先は、ラムズフェルドの警告に従った日本である。小泉政権は日本国内に1200万人分を備蓄するだけではなく、鳥インフルエンザの発生するベトナム・中国に大量のタミフルを、無料配給したのである。

ロシェの本社はライン川沿いのバーゼルにある


スイス人の風邪対処方法
スイスでは風邪やインフルエンザでは病院の診察を受けない。薬も服用しない。数日安静にしていると、インフルエンザも風邪も自然に治る。罹患数日後であるから、たとえ新型インフルエンザであったとしても、タミフルは効果がない。
風邪もインフルエンザも基本的に医者と薬で治療するものとは考えていない。栄養のある食事をとり、ゆっくり休めば、自然によくなる、と考えているのである。
その背景として、スイスには日本のような国民健康保険制度がないため、病院で診察治療を受けると、非常に高額になる、ということがある。スイスは医師数も看護師数も世界トップクラスで、手厚い治療を受けることができる。しかし、医療費は高いし、一度は全額本人払いである。
スイスでは高額の治療費に備え、民間保険会社の疾病保険に加入する者が多い。なお、1000人当たり医師数はスイスは3.8人で世界トップクラス、日本は2.0人で発展途上国クラスである。

スイス銀行
「1934年スイス銀行法」ではスイスの大小の銀行は顧客情報の秘密保持を最優先し、ユダヤ人資産を、ヒトラーのナチスから守り抜いた。戦後は国際麻薬取引資金の秘密保持、フィリピンのマルコス大統領の横領資金、ペルーのフジモリ大統領の政界工作資金など、巨額の裏金を扱った。
先進国が発展途上国に贈った援助資金が、発展途上国の政府高官によってスイス銀行に秘匿される例も多い。国際テロリストの軍資金も貯えられた。
1990年、スイス政府は、脱税と不正の温床とされるスイス銀行への規制を強めた。スイス銀行は、匿名口座や代理人口座であっても、その資金は最終的に誰のものか、全部掌握することになった。また、政府高官の預金も扱わないことになった。
スイス銀行に資金を隠匿するためには、マネーロンダリングをして、一応は正常な形の資金にしなくてはならない。
不正資金を隠匿する国としてはスイスは不適当であり、カリブ海諸国が使われるようになった。




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