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大和郡山の金魚養殖

2008-09-05 | 世界地理
奈良県大和郡山市の古い市街地を抜けると、金魚養殖池が広がっている。養殖は江戸末期、柳沢藩が財政難で藩士に給料が払えず、金魚養殖を奨励したところから始まった。



養殖は条里のため池と水田の転用が多い。値段の安い和金(わきん)が大半である。金魚すくいとか、熱帯魚のえさになる。和金は春には、10日ごとに1000粒の卵を産むので、養殖池はいつも金魚の行列でいっぱいである。


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大和大和は国のまほろば畳なづく青垣山隠れる大和しうるはし

子どもが夏祭りですくい取った金魚3匹のために金魚鉢、水草、餌を買った。最初は子どもが世話をしても、3日で飽きて、親が金魚の世話を始めた。すぐに1匹、2匹と死んで、最後の1匹が死んでも、家族の誰も泣いたりしない。ペットショップで1匹20円で買えば、金魚鉢は元に戻るのであり、生命の尊厳などと大げさに騒ぐことはない。家族の一員の犬・ネコが死んで悲しんでも、似たような犬・ネコを買うと、前のペットのことを忘れてじゃれ合う。
生命の尊さを、生き物を飼育することで覚えよう、とペットショップの宣伝みたいなことを言う教育者や動物学者がいるが、間違いだと思う。
ペットと人間の生命は違う。ペットは生命を含めた全体が商品であり、失われてもカネを出せば買える。しかし、人間の生命はカネで買うことはできないのである。

奈良県大和郡山市駅前では、江戸時代末に金魚養殖が始まった。柳生藩の財政難で給与支払いが滞り、生活に困窮した下級藩士が、農民から稲刈りあとの水田を田植の時期まで借り、金魚を育てた。安物のワキンが主であったが、何度も産卵するので数が増え、生計の足しにはなった。
現在は一年中金魚養殖が行われている。養殖の仕事は手数がかからず、サラリーマン家庭の副業としても成り立つ。稲作をやめて養殖池に転用したり、古いため池をつぶしたりし、金魚養殖池が広げられた。高級品種の養殖も手がける養殖専門業者も増えた。輸出も盛んになった。
商工会主催の全国金魚すくい大会では、三年連続優勝の金魚すくい名人の不正がばれ、その優勝取り消し処分が有効か無効か、長期裁判で争われた。ニセ名人が敗訴した。
金魚養殖池のまわりは小学生の通学路である。歩き始めたころからの遊び場であり、細道を平気で走って行く。


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